12/11(水)『御注意あそばせ』本読みWS 第2回 その②
2024年12月11日 Posted in 中野WS『御注意あそばせ』
↑自分も数年前に初めてパリに行き、安ホテルに泊まりました。
唐さんの体験が想像できるようになりました
②「僕」とK.オハラ(幻視のようでもある)との会話
キヨちゃんがいなくなると、シャワーの音が高まり、湯けむりの
向こうから女の声が、その次に、姿が現れます。タオルを巻いた姿です。
美術学生たちにヌードモデルをしているという「K.オハラ」の登場。
そこから、パリのボナパルト・ホテルでオハラにしたインタビュー、
彼女と過ごした時間が甦ってきます。オハラは、パリの語学学校で
佐川一政さんとともに学んだ仲であり、だからこそ、佐川君を
訪ねる前に唐さんが取材をすることになった。
すると、唐さんにとって、佐川君よりも、亡くなったルネよりも、
K.オハラという女性の方が謎めいて輝きだし、物語世界の中の
ヒロインに成長してしまった、という経緯です。
ホテルの一室で飲んだ桜茶の話などしながら、パリが過ぎる。
アンドレ・ブルトンの『ナジャ』の世界が展開する。
そういうシーンです。この場面を通じて、この劇の前段となる
『佐川君の手紙』の世界が見えてきます。
それにしても、この「シャワー」という仕掛けは卓抜なアイディアです。
『少女都市』で満州行軍の兵士たちが登場する「蚊帳」のような
道具立て。シャワーがあるだけで、パリの安ホテルの雰囲気も漂うし、
唐さんによる素晴らしい発見とアイディアです。
③「僕」と看守の会話
そこへ、看守が帰ってきます。と同時に、オハラは消える。
この消え方も、シャワーの向こうに現れた幻想の女を思わせます。
「看守」というと刑務所を想像しますが、この場合は病院の看守です。
佐川君をテーマにしていますので刑務所のイメージが強いですが、
佐川君が人事不省とされて刑事罰を受けず、日本に帰国して病院に
入っていたことを思えば、「僕」という主人公が佐川君に接近するために
病院近くのアパートをウロウロしてキヨちゃんのアパートに転がり
こんだこと、この「看守」を抱き込んでスパイとし、中にいる佐川君に
手紙を託している様子が伝わってきます。
・・・と、一昨日はここまで読みました。
なかなか強引な設定です。キヨちゃんの部屋は刑事の張り込み部屋
みたいになっていますが、「僕」がよくここに転がり込めたものです。
キヨちゃんという得意なキャラクターゆえです。
しかも、速攻でスパイ化する看守なんて、なかなかいません。
「僕」というキャラクターは引っ込み思案の内気な青年を思わせますが、
なかなかの手腕を持つ探偵のようです。
このように愉しんでいければ、なかなか良い作品として『御注意あそばせ』
という台本が魅力的に読めます。
次回は、12/15(日)です。
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