12/24(火)『御注意あそばせ』本読みWS 第4回 その②

2024年12月24日 Posted in 中野WS『御注意あそばせ』
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↑いまや時代は変わり、このようなお祭りさえ行われる
ゴールデン街です。ぜひ一度覗くと、トロワバレの雰囲気も
よくわかります


昨日の続き。『ご注意あそばせ』2幕に進みます。
舞台は新宿ゴールデン街にある「トロワバレ」という店に移りました。
ここにいくつか気になることが。

まず、この店の内部には、真ん中奥に電話ボックス状の物置があります。
実に不思議な間取りですが、何のことはない、これは1幕のシャワー室
が転じたものです。初演を行った吉祥寺バウスシアターには舞台袖がなく
このような空間的使い回しになったのでしょう。

また、店の周囲には坂があります。
これは、1幕のアパートが坂に囲まれていたからで、ではその坂が
どこから来たかといえば、それは明らかに1982年に初演された
『秘密の花園』の影響です。坂に囲まれたアパート、という
設定を踏襲したわけです。しかし、ここは新宿ゴールデン街です。
あそこは平地なので変なのですが、「トロワ・バレ」つまり、
「三つの谷」という名前を持つ飲み屋なので、坂に囲まれているのを
良しとしましょう。ちなみに、『秘密の花園』の影響は、主演女優が
二人の女性「オハラ」「奈美さん」を演じ分けるというやり口に
つながってきます。

そして、最後に大問題です。
それが「オハラ」のものか「僕」自身のものか、
いずれにせよ1幕においてカカト(=人肉)を「僕」が食べたのは、
佐川君への面会の条件となっていたからです。
しかし「僕」は、せっかくその条件を充したにも関わらず、
病院の内部でなく、新宿ゴールデン街に来てしまう。

これではやはり、小説『佐川君からの手紙』の二の舞です。
「僕」=「オオツル」=「唐さん」がどうしても佐川君に会いたくない
のだとしか思えない。そして、佐川君に会いたくなさの勢いで物語は
脇道に外れ、外れたところで妄想大爆発という唐さんお得意の
パターンが始まります。

今晩も長くなってしまった。
ええい、こうなったらクリスマス返上です。
明日も③として続きをレポートします。

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