12/2(月)『御注意あそばせ』本読みWS 第1回 その①

2024年12月 2日 Posted in 中野WS『御注意あそばせ』
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↑台本には、この新劇1985年12月号に掲載されたものをwordに起こして
活用しています。


昨日は『御注意あそばせの』本読みの初回。
唐十郎作品の中ではあきらかにマイナーなこの作品にどれだけの方が
参加してくださるのか不安でしたが、10名を超える皆さんにご参加
頂きました。貴徳な方々!

まずは第一回ということで、周辺情報の確認から入りました。

初めに佐川一政さんのこと。例のオランダ人女性殺人&人肉食は
1981年6月に起こり、映画化を希望して唐さんに手紙が来たところから
『佐川君からの手紙』への扉が開かれます。

唐さんはパリまで行き、周辺をウロウロしたものの、
結局は佐川さんには会わずに帰国、ですから、この小説は
スキャンダラスな装いこそあれ、本質的には唐さんが幻のヒロインを
幻視する幻想譚として描かれています。

『佐川君からの手紙』ではパリで会う「K.オハラ」。
続編の『御注意あそばせ』では東京で出会う「奈美さん」。

ふたりはともに「幻のヒロイン」ということで全く共通していますが、
これは明らかにアンドレ・ブルトンの『ナジャ』に影響されている
というのが、私の見解です。唐さんは、青年時代に影響を受けた
ブルトンを、パリで想ったに違いありません。

さらに、あまり世間を賑わせた事件にダイレクトに
接近し過ぎると、どうしても現実に太刀打ちできなくなってしまう。
作家の創造が威力を持たなくなるであろうことも予想できていたはずです。
(唐さんは用心深い!)

そのようなわけで、この演劇版『御注意あそばせ』も必然的に
幻のヒロインを追う話になる。そのような説明を行いました。
内容については、また明日!

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