1/20(月)『御注意あそばせ』本読みWS 第7回
↑この中に入っているシャンソン『ミラボー橋』をみんなで
聴いたりもします。歌詞はギョーム・アポリネール。
『少女仮面』の最後、少女たちの合唱の歌詞にも引用されています
昨晩のオンラインWSは劇中の白眉ともいえる箇所を本読みし、
集中度の高い2時間でした。
わずかひと言を除いて、すべて主人公の「僕」と「奈美」の会話に終始し、
そこで、劇の核心を突いたやりとりが繰り広げられるのです。
まず、この劇の筋を整理してみます。
1幕
(1)日本に帰国し、病院に引き篭もる佐川君に会うこと
(2)面会の条件として佐川君が僕に課したのは、人肉を食べること
(3)パリで出会った女「オハラ」が現れ、「僕」はそのかかとの
肉(皮)を食べる
(4)しかし、その「オハラ」は幻視のようでもある
(5)夢か現か、いずれにせよ「オハラ」は自分のような女に会えと
言い残して去る
2幕
(6)件の女を探して新宿ゴールデン街の「トロワバレ」に来た「僕」
(7)出会ったのは「奈美」という女
(8)「奈美」はパリで佐川くんとトランプの賭け「ファラオン」をする
(9)「僕」もまた「奈美」にファラオン勝負を仕掛けられる
というような物語進行のなかで、「僕」には「奈美」が「オハラ」の
ようにも見え、強く魅了されます。
(ここからが昨日の箇所ですが)が、「ファラオン」勝負の賭けの対象は、
「僕」が「奈美(=オハラ」を忘れること。
自分を魅了する女に拒絶され、「僕」は悲嘆に暮れます。
仕方なく「僕」が諦めかけると、今度は「奈美」自ら「オハラ」に
なることを買って出、「オハラ」として「僕」と別れの儀式を繰り広げます。
花道や階段を使ったこの別れのシーンが昨日の山場でした。
「オハラ」と「奈美」、二人の女性を一人の女優が演じる
「演劇」の仕掛けを、よく使いこなした設定です。
もちろん、これは『盲導犬』『ふたりの女』『秘密の花園』の系譜に
連なる仕掛けでもあるわけです。
当初、「佐川君に会う」という目的のために女を探していたわけですが、
いつしか「女を探すこと」が主眼になっていく。
これは、本作のドラマツルギーのブレや弱さでもありますが、
この脱線こそ唐十郎の真骨頂であり、佐川君より「幻の女性」を
追うところが、いかにも唐さんです。
パリ/東京を貫く『唐版 ナジャ』というわけです。
さすが名場面ですから、皆さんで集中して読みました。
終わった後は、良い疲労感でした。
次回1/26(日)が最終回です。
2月からは『ジャガーの眼』!
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