2/10(月)『ジャガーの眼』本読みWS 第2回 その①

2025年2月10日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
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↑"サラマンダー"は火を司る妖精です。"ウィンディーネ(オンディーヌ)"
は水の妖精。唐さんは、ジャン・ジロドゥの『オンディーヌ』に対する、
新たなヒロインを打ち出したのかもしれません


昨晩は『ジャガーの眼』オンライン本読みの第2回目でした。
初回はいつも、作品の背景を説明する必要から私がお話しする分量が
多くなりますが、第2回目をしていよいよ本格始動という感じがします。

昨晩に読んだ約20ページは、冒頭から登場していた「田口」に加えて、
「扉」「サラマンダ」というキャラクターが現れます。
「サラマンダ」は厳密には女性をかたどった人形なのですが、
唐さんのセンスとしては登場人物という扱いです。
彼ら3人のやりとりからわかってくるのは下記の事柄です。

・「二十の扉」とも呼ばれる。「アジア探偵社」の探偵。
・人形「サラマンダ」を造られた男。
・「アジア探偵社」を去った「田口」とまた働きたい

田口
・元は「アジア探偵社」に所属していた。
・「フィリップ・マーロウ」と呼ばれていた。
※「マーロウ」とは、レイモンド・チャンドラーの小説に出てくる
ハードボイルドな探偵
・人形「サラマンダ」と組んで恋人同士を装い、浮気調査など
興信所員的な動きをしていた。
・そういう「実用」に飽きて、独立し「サンダル探偵社」を創立。
・「くるみ」という女性が依頼人として現れ、何かを依頼。
・同時に「くるみ」は「田口」の秘書ともなり、サンダル探偵社を
維持していくための仕事は「くるみ」が行う。つまり、「田口」は
依頼人としての「くるみ」の仕事に専心している。

サラマンダ
・「田口」と組んで仕事をするうち、人格を帯びてしまった人形。
・「扉」によって造られたため、「扉」が「田口」に寄せる好意が
「サラマンダ」に宿っている気配あり。
・嫉妬深い女性を100人集めたくらい嫉妬深い。
・「暴君」「ネロ」と呼ばれる暴風に守られており、「サラマンダ」が
嫉妬にかられると暴風が押し寄せる。そのため、「サラマンダ」の前で
他の女の名を口にしてはいけない


・・・という、なかなかキャラクターの立った3人です。
特異なのはなんといっても「サラマンダ」で、彼女のキャラクターには
E.T.A.ホフマン『砂男』の人形「オリンピア」、江戸川乱歩『押絵と旅する男』
が明らかに影響しています。「サラマンダ」には、彼女を造った「扉」の
「田口」への想いが込まれており、かなり面白い関係性が見て取れます。


長くなったので、続きは明日以降に。
明日、2月11日は唐さんのお誕生日です。


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