2/3(月)『ジャガーの眼』本読みWS 第1回 その①

2025年2月 3日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
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↑1982年の刊行です。寺山さんが亡くなる1年前

お待ちかねの『ジャガーの眼』本読みが始まりました。
再演の回数の多さ、映像が残されているという点からも人気の演目です。
たくさんの方にご参加いただきました。

昨晩は初回ですので、いつものように年代記的に唐さんが
『ジャガーの眼』執筆に至った経緯を追い、
付随して、触れて頂きたい資料を紹介しました。

『臓器交換序説-寺山修司演劇論集(1982)』 

ブリタニカ叢書→1992125日ファラオ企画より再版

『豹(ジャガー)の眼(1975)』 高垣眸 少年倶楽部文庫

『豹の眼-唐十郎第2エッセイ集(1980)』 毎日新聞社

『犬の心臓』 M.ブルガーコフ(水野忠夫訳)河出書房新社

『犬の心臓・運命の卵』 M.ブルガーコフ(増本浩子訳)新潮文庫


ちなみに、『悪魔の辞典』などの短編で有名なA.ビアスにも

『豹の眼』という小説がありますが、これは関係がありません。


『ジャガーの眼』という題名について、高垣眸(たかがきまなこ)さん

の冒険活劇小説と、それを原作とするドラマや映画に影響を受けて

唐さんはタイトルを付けたようです。


1980年に刊行された第2エッセイ集『豹の眼』は主に、

1979年に行った『女シラノ』サンパウロ公演の行程を題材にした

記録です。アフリカと南米を一緒くたにして語るところ、

要するに「なんだか豹がいそう」くらいのイメージで

ざっくりと捉えるところが唐さんの愛嬌です。


寺山さんの『臓器交換序説』には、ヒロイン「くるみ」の歌や

犬である「チロ」が大きく影響を受けています。

寺山さんの好きだったマルセル・デュシャンの言葉(墓碑銘)

「死ぬのは、いつも他人ばかり」という言葉もこの本の中に

出てきます。


ブルガーコフの『犬の心臓』は、ある男に犬の心臓を移植した

ところ、心臓に宿る犬の記憶や習慣が延命後の男に影響して

しまう、という内容です。これはSFチックな話ではありますが、

例えば人間の脳とオランウータンの身体を掛け合わせた

兵士(兵器?)を本気になって模索していたという逸話もある

ソビエト連邦という国家を思う時、あながちSFとも言い切れません。

そういう社会にとって、リアリズム小説と言えなくもない。

と、こういう話をしました。


・・・資料の話で長くなりましたので、続きはまた明日。

ちなみに、『ジャガーの眼』は昨日を含めて全10回の構想で

このオンラインWSを行う想定です。と、いうことは、

4/13(日)が最終回という目算です。


たくさん時間がありますので、ぜひ上記の資料に触れて頂きたい

ところです。



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