2/4(火)『ジャガーの眼』本読みWS 第1回 その②
2025年2月 4日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
↑『ジャガーの眼』が初めて活字化された新劇1985年7月号
WS参加者のなかにふたりもこれを持っている方がいてビビりました
皆さん、相当なフリークです。が、のめりこんだ上で、誰にも
分かりやすい「読み」「上演」を心がけるのが私のモットーです
今日は、「その②」として、
「主役は田口」という話題を展開したいと思います。
『ジャガーの眼』の上演を知っている人であればあるほど、
戯曲を読んでみて冒頭に違和感を感じるはずです。
数ある映像では、路地を覗いたのを見咎められて多くの住人たちに
田口が体を押され、辻に引っ張り出されて糾弾されるシーンから
この劇は始まる。
が、台本では、トップシーンは路地に立つ女。
彼女の歌う歌がプロローグ的についています。
ヒロイン「くるみ」はすでに登場し、亡き恋人「しんじ」と
移植された角膜を想って歌う「♪あたしは見ていた〜」が冒頭で
提示されるのです。
これは、これまで見てきた実上演の印象をかなり大きく変えてしまう
シーンです。この冒頭があると、劇全体が「くるみ」の物語となり、
無ければ「田口」の話となる、というくらいに観る人の感じを
変えてしまいます。
どうしてこのようなことが起こったか。
どのような経緯で唐さんは、当初に書きつけた冒頭シーンをカット
したか。ということを考えるのは愉しい。
ちなみに、この『ジャガーの眼』には活字化されたものでは
3種類のバージョンがあり、
1.『ジャガーの眼』雑誌「新劇」(1985.7 白水社)
2.『ジャガーの眼』単行本(1986.7 沖積舎)
3. 『唐組熱狂集成』より『ジャガーの眼2008』
(2012.2 ジョルダン・ブックス)
という具合です。
今回定本としたのは、最初に活字化された「新劇」掲載のものです。
「新劇」版、沖積舎版の単行本には件の冒頭シーンがあり、
ジョルダン・ブックス『唐組熱狂集成』にはこれがありません。
1986年と2012年の間にはいくつもの実上演がありますが、
そのうちに冒頭シーンが無い上演台本が定着したものと思われます。
が、今回の本読みWSはせっかくなので、
冒頭シーンがある上演はどんなものになるか、という問いを大きな
モチベーションとします。せっかく皆さんで読むんですから。
『ジャガーの眼』の原型が掴めるかも知れない、という愉しみです。
一方で、「主役は田口」ということも重要です。
「田口」とは唐さんがよく自作の主人公につける名で、これは
母方の姓なのだそうです。
1970年代に入ってずっと主役をやらなかった唐さんが、
自ら主役になって押し出している作品が『ジャガーの眼』であるとも
言えるし、プロローグ部分のカットによってそれは決定的になりました。
ということも一緒に考えてみましょう。
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