3/10(月)『ジャガーの眼』本読みWS 第6回 その①

2025年3月10日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
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↑20歳前後の頃によく甘酒を手作りしました。良い酒粕を手に入れて、
砂糖は大胆に大量に入れます。生姜を入れるのが好きでした。塩少々


昨晩の『ジャガーの眼』本読みは2幕中盤を読みました。

角膜の取り外し手術を決意した「しんいち」の前に「くるみ」が現れ、
対話のなかで「しんいち」を心変わりさせてしまう場面です。


角膜取り外しを決め、「夏子」に甘酒を買いに行ってもらった「しんいち」
の前に「くるみ」が現れます。髪はほどかれ、藤色のスカートを着て、
前回までの登場とは打って変わった女性らしい姿です。

「しんいち」が角膜の取り外しを宣言すると、「くるみ」は殊勝に
ふるまい、自分は身を退き、もう二度と亡き恋人の角膜を追うことを
しないと言って、「しんいち」が決意した取り外しをやめさせにかかります。

そして、「くるみ」による別れの長せりふ。
台本にして1ページ半に渡って切々と別れを述べたてる「くるみ」に
「しんいち」の心は揺さぶられます。「手術はしない」「その上で、
時々は、夏子がいないところなら会いにきても良い」などと、
不倫めいた提案を「しんいち」は持ち出します。

「くるみ」に同情した「しんいち」の優しさといえばそれまでですが、
そういう「しんいち」の甘さ、優柔不断さに「くるみ」がつけこんで
いるとも言えます。こうなるともう「くるみ」のペースで、彼女は本心を
露わにし、「夏子と別れて自分と暮らせ」「シンジの替わりとしてでなく、
しんいちとして自分はあなたを愛する」などと迫ります。

「しんいち」は最初、「平凡な自分には平凡な夏子が似つかわしい」と
言って「くるみ」の提案を退けますが、「くるみ」に「平凡さを捨てて
冒険せよ!」と駆り立てられ、これに乗ってしまいます。

「くるみ」のせりふの中で、ずっとこの『ジャガーの眼』という劇の
重要モチーフである「リンゴ」が、「くるみ」と「シンジ」が暮らした
幸せの象徴であったことも明らかになります。だから、リンゴの向かう
先に角膜の移植先を占っていたのです。

「くるみ」は「しんいち」に、「このリンゴをつかめ」と迫り
「しんいち」は実際につかもうとする。これは、「夏子」を裏切って
「くるみ」に転ぼうとする動きに他なりません。


・・・という会話劇をメインに昨日は展開しました。
この後に、「夏子」が戻ってくる場面、久々に「田口」「少年(ヤスヒロ)」
が登場したシーンもやりましたので、それは明日。
また、今日ご紹介した「しんいち」と「くるみ」の対話のなかに、
見逃してはならない終幕への伏線がはられていますので、それについても
取り上げます。



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