3/17(月)『ジャガーの眼』本読みWS 第7回 その①
2025年3月17日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
↑オッフェンバックの歌劇《ホフマン物語》には、ホフマンの『砂男』を
もとにした人形「オリンピア」の場面があります。「サラマンダ」の造形の
参考になります
日曜恒例の本読みWSを今日に振り替えさせてもらいました。
月曜開催ですのでご参加の方は少なめでしたが、欠席されたみなさんの
ためにも、力を入れてレポートします。
読んだ箇所は2幕終盤。唐さんの3幕ものの2幕終わりはいつも面白く、
今回も会心の展開を見せます。
まずは、「サラマンダ」が「田口」に迫るところから。
「くるみ」の運ばれてきたベッドとともにもう一台のベッドが部屋に
運ばれてきていました。そこに眠っていたのは、「サラマンダ」。
彼女は、探偵「扉」によって造られた人形です。
浮気調査の尾行時など、「田口」が一人でいて不審がられないよう
生み出された「サラマンダ」は、対象の男女を追ってホテルに身を潜めた
こともありました。そうするうち「サラマンダ」に心が宿った、という設定です。
その実、「サラマンダ」は、造り主である「扉」が「田口」への好意を込め、
託した存在でもあるわけです。
「サラマンダ」は控えめながらも「田口」にそばに置いてくれるよう懇願し、
「田口」はこの願いを拒絶します。追いすがる「サラマンダ」ですが、
動けるのは「田口」の前でだけ、「少年(ヤスヒロ)」が現れると、
ただの人形に戻ってしまいます。
ここまでくると、先週に展開した、くるみ→しんいちへの口説きと、
このサラマンダ→田口のやり取りが同じ構造を成しているのは明白です。
そして、しんいちの心は動き、田口は動かない、という差も際立ちます。
健気な「サラマンダ」のうちひしがれようは悲哀に溢れて、
観る人の心を打ちます。人よりも人形に情感が溢れる、寺山修司さんが
好きな「人形」を扱いながら、そこに唐十郎流のアレンジを加える面白さが
いっぱいです。
続きは、明日。
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