3/19(水)『ジャガーの眼』本読みWS 第7回 その③
2025年3月19日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
↑演劇史上、掃除機がもっとも輝く瞬間がやってきます!
「しんいち」は二者択一を迫られます。
「リンゴ」を取れば「くるみ」。「牛乳びん」を取れば「夏子」。
土壇場になって彼は「牛乳びん」を取ろうとする。
しかし、突如あらわれた「くるみ」は、「しんいち」が手を伸ばした先にある
「牛乳びん」を張り倒し、強引に「リンゴ」をつかませてしまいます。
つかんでしまった「リンゴ」に呼応し、「ジャガーの眼」がたかぶります。
こうなると、黙っていられないのは「夏子」、加えて「Dr.弁」が身を乗り出します。
自らの移植した「角膜」がこうも「しんいち」の人生を支配してしまっては
「Dr.弁」の信奉する健全な移植手術が立ち行かなくなるからです。
すべてを狂わせるのは「くるみ」。
であるならば、「Dr.弁」は、自分に惚れて操を守り通した老婦長を使い
「くるみ」を巨大な牛乳びんに閉じ込めてしまいます。
(「巨大牛乳びん」はかなり奇抜なアイテムであり、こんなものは現実の
世界のどこにもありませんが、舞台で見ると面白くて、なんだか納得
してしまう不思議なシロモノです)
と、閉じ込められた「くるみ」はここで、自らが「リンゴ」にほどこした
仕掛けを発動させます。それは、リンゴの中から白い煙を噴出させ、
白い煙→夏の入道雲→青春→あるべきだった僕の青春
の連想のもとに「しんいち」を連れてドロンしてしまおうという作戦でした。
しかし、この作戦は「Dr.弁」が咄嗟に取り出した掃除機により
粉砕されてしまいます。もくもくと湧き出る白い煙が、すべて掃除機により
吸い取られてしまうからです。
かくて、「くるみ」は「Dr.弁」と「夏子」に敗北して2幕が終わります。
二方向に引っ張られつつ落ち着かない「しんいち」がどうなってしまうのか
と思わせる終幕です。3幕ものの2幕目は本当に面白い。
・・・ところで、よくよく考えてみると、次の闘い
・巨大な牛乳びんが上空から降りてきて相手を捕らえる
・リンゴから煙玉のように煙幕を発生させて、敵を煙に撒く
・その煙幕を、ものすごいバキュームで吸い取ってしまう
は、おそらく忍者を描いた映画や小説の影響だろうと思わずにいられません。
特に掃除機は、私たちの周囲に日常的にあるものだから面白い。
日常のなかに非日常を見つける唐さんの名人芸が炸裂したシーンでした。
次回は、3/23(日)19:30です。
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