4/8(火)『ジャガーの眼』本読みWS 第10回(最終回)その②
2025年4月 8日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
イタリア人画家Mario Laboccettaが描いた《ホフマン物語》の
オリンピア。「サラマンダ」の最後はこんな具合です
昨日の続きです。
『ジャガーの眼』最終盤のエピローグについて。
エピローグは、「サラマンダ」を車イスに乗せて引く「田口」に
より語られます。語る相手は「くるみ」。
3幕終盤で「夏子」が振りまいた液体により眼を傷つけた「しんいち」
と「くるみ」は連れ立って病院を目指しましたが、その病院に着くや
「しんいち」は姿をくらましてしまったのです。
ゆえに、「田口」による「くるみ」への語りは、
「しんいち」=角膜「ジャガーの眼」の捜索とその失敗のレポート
として語られます。断念と諦念に満ちたレポートです。
「田口」が語る間に、幾人かの人が路地に現れ、
「くるみ」はそれを「しんいち」かと期待します。
が、いずれも「他人」が通り過ぎるばかり。
そのうち、最後までレポートを聞き届けた「くるみ」もさすがに諦め、
「サ・ヨ・ナ・ラ」と言って去ろうとします。
が、そこへ、「幸せのリンゴ」が転がってきました。
眼を治した「しんいち」が帰ってきたのです。
「チロ」を抱えた「少年ヤスヒロ」も。
「いんいち」が引っ張る「サンダル探偵社」を
「ヤスヒロ」「くるみ」「田口」が引くところで劇は終幕します。
彼らが信ずればこそ「チロ」にも「サンダル探偵社」にも温かみが
さし、しかし、先ほどまで「田口」が引いていた「サラマンダ」は
まるでガラクタの様に取り残されます。
全体に希望を感じさせ、しかし、忘れられる「サラマンダ」が
哀しく、苦いエンディンでです。
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