10/7(火)『お化け煙突物語』本読みWS 第8回-最終回 その②

2025年10月 7日 Posted in 中野WS『お化け煙突物語』
「江ノ島、カイ!」.jpg
↑2006年春の唐ゼミ⭐︎公演より(写真:平早勉)

昨日の補足です。
エンディングのあり方について、詳しくご説明します。

全体にストーリーとしては分かりやすい『お化け煙突物語』において、
いきなり難解なのが最終シーンです。

なぜ、「探偵・金田」は傘で「カイ」を刺すのか。
それによって、「カイ」は息も絶え絶え、死んでしまうのか。
唐突にそういうシーンがやってきて、読む者、観る者を困惑させます。
惹かれ合う者同士がどうしてこんな凶行におよぶのか。

これについて考える時、まず大切なのは、次の要素において
一見すると凶行にみえる二人の行動がポジティブに捉えられる
ことです。

・動かなかった「金田」の手が動く
・前シーンで「カイ」の胸に浮かび上がった蜘蛛の紋様に血が通い、
精気をおびる

要するに、二人の体のパーツのうち、エネルギーを失っていた
「金田の手」「カイの蜘蛛」が甦る復活劇がここで起きています。
さらによく読むと、この最終シーンで次のことが起きてます。

・「カイ」が久々に、「金田」に対して必殺の流し目をあびせる
・「カイ」のベッドがトロッコとなって動き出し、「金田」はその
トロッコを追うことを決意する

というような事柄からしても、このシーンは刃傷沙汰であるにも
かかわらず、あくまでもハッピーエンドなのです。

ということを最後に念押ししたくてこれを書きました。
正直、2006年に唐ゼミ⭐︎でこれを公演した時には盲滅法に
上演するばかりでしたが、今ならこうして確信が持てるように
なりました。これで『お化け煙突物語』を終えて、次回から
『木馬の鼻』に取り組みます。






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