9/29(月)『お化け煙突物語』本読みWS 第7回
2025年9月29日 Posted in 中野WS『お化け煙突物語』
↑玉ノ井という私娼窟の娼婦「ツレちゃん」に物語が集約されていく
過程を追いました。玉ノ井といえば『濹東綺譚』
演目はこのところ続けている『お化け煙突物語』。
先週まで『唐版 風の又三郎』WSが続いたので久々ではありましたが、
今日を含んであと2回で終わろうと、怒涛に読んでいきました。
読んだ箇所は、二幕中盤から終盤に差し掛かるところです。
盲人たちの定宿「コウモリ・ホテル」で再会を果たした「探偵」こと
「金田」と「江ノ島カイ」でしたが、盲人たちはこの関係が許せません。
つまり、二人が、かつてダイカスト・メッキ工場で負った手の傷を
見せあって交流していたことが、強烈にジェラシーなのです。
手に傷を負った二人は慰められても、目の光を失った自分たちは
慰められていない、とリーダー「蟬丸」は訴えます。
この「慰める」という言葉が、エンディングに向けたキーワードです。
「慰める」には、単に「優しくされる」だけなく、多分に性的な感じが
含まれており、それが、「カイ」の養母である玉ノ井の女郎蜘蛛
「ツレちゃん」の性質と結びつきます。
「蟬丸」の語るところによると、「ツレちゃん」は彼ら国鉄職員を
慰問(慰める)して回った女性だったらしいのです。戦前に増産に
励む男たちを、軍人さんの強要でストリップまがいのことをして
慰めた「ツレちゃん」。ある時、嫌がる「ツレちゃん」を、国鉄職員
たちが軍人に逆らって守った、それが、友情の始まりであったと
「蟬丸」は「カイ」に訴え、養母と同じ「慰め」を期待します。
が、「カイ」は「カイ」で、自分が慰めたために交通事故に遭って
死んだ猫「ロベスピエール」を引き合いに出して、その要望を
突っぱねます。
また、「ツレちゃん」は、彼女が亡くなった時に「お化け煙突」で
焼かれたと「蟬丸」は語ります。つまり、彼らの「お化け煙突」への
愛着は、「ツレちゃん」への想い込みのものだったらしいのです。
もともとこの物語は、「カイ」が「ツレちゃん」の遺品である
「ベッド」を取り戻そうとしたところから始まりました。
「ベッド」の中の「行李」、「行李」の中の「野呂松(のろま)人形」
を取り返して「ツレちゃん」への追憶をしたいと考えてきた「カイ」。
今日読んだ箇所により、その「ツレちゃん」という存在に、
「盲人たち」もまた惹きつけられてきたことがわかってきました。
単に彼らの「アイドル」だったというだけでなく、「女郎」という
立場も加わった人気者、という陰もはらみながら、「ツレちゃん」に
物語が収れんしていきます。次回で最終回です。10/5(日)の開催!
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