7/24(月)『夜叉綺想』本読みWS 第4回レポート その①

2023年7月24日 Posted in 中野WS『夜叉綺想』
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↑野口をアパートに誘い、眠らせた京子は、水銀を彼に飲ませる
復讐の一手が打たれる1幕の終わり(撮影:伏見行介)


昨日は「夜叉綺想』第4回目の本読み。
1幕の終わりから2幕冒頭にかけてを読みました。

1幕の終わり。
いつの間にか、牛乃京子のアパートに野口がやってきたところから
始まります。しかも不思議なことに、野口はこのアパートに何度も
通っている、という風な展開であることが二人の会話から読み取れる。

そのあたりのスピード感、不思議さ、
復讐譚である『夜叉綺想』の面白いところです。

そして、牛乃京子が野口に披露する彼女の日記。
最初、それは白紙に見えましたが、火で炙ってみれば字が浮かび上がる。
それから、アパートの部屋の奥の方からうめくように響くチェロの音。

を通して、野口がなぜ牛乃京子に映画館で声をかけられ、
万引きで捕まる京子の身元引受人に指名され、
今、このアパートに誘われているかが明らかになります。

それは、野口の兄である医師の野口博士が、
京子の兄である牛乃ゴーシュの執刀医であったからです。
心を病んで暴れ回るようになったゴーシュは、
野口博士のロボトミー手術によっておとなしくなったものの、
子どものようになり、それからセロ(チェロ)を欲しがって
エディット・ピアフや越路吹雪の名曲『愛の讃歌』ばかりを弾く
廃人になってしまった。

京子はその報復として野口に接近し、彼をアパートに引っ張りこんだ。

アパートには、当の執刀医である野口博士や、
博士の同僚であるマニキュアの紳士もやってきますが。
博士は妻であるケイコが弟と浮気しているのではないかと野口をつけ回し、
マニキュアの紳士は同性愛の志向において野口に惚れ込むという、
切実でありつつも、二人ともかなりコミカルな理由です。

そういうコミックレリーフをスパイスとして挟みながら、
京子の復讐はついに決行されます。野口に睡眠薬の飲ませ、
彼が眠り込んだところで今度は水銀体温計を割り、水銀を飲ませる。

すると京子のアパートの襖が開いて、
奥でチェロを弾くゴーシュ、彼の周りには新平民である雨の男たちの姿。
たなびく『愛の讃歌』とともに1幕の終わりです。

・・・長くなったので、2幕のおさらいはまた明日。

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