7/4(火)『夜叉綺想』本読みWS 第1回レポート その②

2023年7月 4日 Posted in 中野WS『夜叉綺想』
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↑冒頭の尋問シーン。熊野は初めて主役をやることになり、
張り切っていた。2013年7月の劇団唐ゼミ☆公演より(撮影:伏見行介)

今日は、一昨日に行った本読みWSの内容をまとめます。
『夜叉綺想』という作品は直前に上演された『唐版 風の又三郎』の
B面的作品だと言いました。

B面というのは、暗めで華やかさに欠ける様子を表しています。
同時にそれが魅力でもあり、この『夜叉綺想』は
とりわけミステリアスで、意味深なトップシーンから始まります。

舞台が暗闇に包まれる中でジャラジャラと鎖の引き摺る音がしたり、
ステージ全体が幕に覆われて、その中央部分に切開するような
亀裂がある。これらは全て後に繋がるシーンの象徴です。

そして、隅に明かりがさすと、そこで尋問が行われています。
青年・野口(弟)がパジャマを万引きして捕まった女・牛乃京子に
保護者として指定された。

しかし、場末の映画館で声をかけられただけという関係から
引き取りに戸惑う野口を、刑事が詰問します。
焦った野口は二人の出会いを語りますが、
「ねい、ちょいと。都こんぶを買いはしませんでしたか?」
という牛乃京子からの声掛けに始まり、野口の描写は延々
6ページにも及びます。

要するに、彼が味わった不可思議さ、刑事の高圧的態度が
ますます野口を焦らせて饒舌にしますが、一向に二人の関係性が
見えてこない。刑事は苛立ち、野口は途方に暮れる。

するとステージ反対側に光が入り、そこではいかがわしい商売の
女が並んで摘発されています。その中で居残りを命じられた女こそ
牛乃京子であり、彼女は手持ちの水銀体温計を割り、
「今度はおまえの番だ」と何やら復習めいたことを言う。

まるで映像作品のサスペンスのようで、謎に満ちたオープニング。

次のシーンに移ると、野口青年は釈放されています。
尋問を終えて警察を後にする。すると男たちに声をかけられます。
リーダーはひっきりなしに、牛乃京子が中でどうしていたか
野口に迫ります。答えようのない野口ですが、京子がいかに
野口を慕い、頼りにしているかをリーダーの男は説きます。

この男たちも謎に満ちていて、牛乃京子とどういう関係か
物語が進むと判明していきます。彼らのゆくところ
常にこぬか雨が降っていて、彼らは穴掘りばかりしている。
というところで、一昨日は時間いっぱいとなりました。

まだまだ序の口です。次週は第2回。
少しずつ、牛乃京子の復讐のきっかけや内容。
どうして野口青年に声をかけたか、わかってきます。



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