10/2(月)『青頭巾』本読みWS 第1回 その①

2023年10月 2日 Posted in 中野WS『青頭巾』
81XPN5SXRsL._AC_UL640_FMwebp_QL65_.jpeg
↑角川ソフィア文庫の書影。オススメです。


昨日は『青頭巾』を読むWSの初回でした。
状況劇場が1979年秋に初演し、私たち唐ゼミ☆も2015年に
花やしき座で上演、他にも野外演劇に仕立てて東北ツアーを行った
思い出深い演目です。

初回なので、いつもの通り内容に入る前に
唐さんが台本の執筆に至った経緯を年表を仕立てて確認しましたが、
1970年代後半の唐さんが新たな展開を求めるうちの一作だという
ことが、年代を追っていくとよく分かります。

1976年の『下町ホフマン』で大久保鷹さんが辞め、
同年の『恋と蒲団』を最後に天竺吾郎さんが去り、
1978年の『河童』で根津甚八さんまでもが退団した後に、
悪役として華開いていた小林薫さんを主人公の青年に
登用しての公演です。

『蛇姫様 わが心の奈蛇』の権八・伝次や
『ユニコン物語 台東区篇』の八房で跳梁跋扈していた
小林薫さんには物足りなかったのではないか。
唐さんはそんなことは百も承知で、しかし、劇団のピンチで
あるために、薫さんを得意でないポジションに置かざるを
得なかったのではないか。そんな話をしました。

一方で、この『青頭巾』は、唐さんがずっと愛読してきた
『雨月物語』からヒントを得た作品です。若い頃のインタビューで
好きな作家を問われた唐さんは、ホメーロスと上田秋成を挙げました。
上田秋成こそ『雨月物語』の作者です。

大好きなネタを引っ張った分、規模感こそ大きくないものの、
唐さんのコミカルな部分が特に活きて、痛快な作品です。

そういうわけで、ぜひ『雨月物語』を読んでください
という話もしました。手に入りやすいところで岩波文庫と
角川ソフィア文庫がありますが、角川の方が現代語訳も付いていて
オススメです。写真はAmazonのサイトから書影を引っ張りました。

トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)