10/9(祝月)『青頭巾』本読みWS 第2回 その①
2023年10月 9日 Posted in 中野WS『青頭巾』
↑青年(右)がザクロの木の周囲にいるわけがわかりました。
が、なぜこんな変な格好をしているのか判るには、もう少し物語を
進める必要があります(写真:伏見行介)
唐十郎作品において第2回目はいつも重要です。
何故かといえば。
だいたい、唐さんの劇は冒頭でカマします。
不思議な登場人物。突飛なシチュエーション。
そういうものをバンッと提示して注目をひきます。
そこから、どうしてそういう人物たちがここにいるのか。
それぞれがどういう人間たちなのか。その理由は後で、
徐々に語られていくというパターンをとることが多い。
この『青頭巾』も典型的にそういう経路を辿ります。
なぜ、時代劇に出てくるチャンバラごっこの格好をした青年が
ここにいるのか。彼は浪人生であるにも関わらず、
受験勉強そっちのけで浅草に通い、こうしてザクロの木に佇んでいる。
そしていつしか、粗悪品の醤油を売るテキヤに好かれてしまい
ズルズルとここに通っているのです。
なぜ、そんなことをしているのか。
答えは、この青年の兄が引き起こした事件にありました。
浪人中の青年とは違い、お兄さんはエリート商社員です。
宝石を扱う会社の商社員。それがザクロ石(ガーネット)の
原石を求めてアフリカに赴任していた最中、自動車の人身事故を
起こして現地の女性を殺めてしまいます。
採掘権を求めて交渉に当たっていた山、
その名も「マウントサタン」で盗掘をする少年を発見した
商社員の兄は、少年を自動車で追うなり、誤って少年の姉らしき
女性をはねてしまいました。会社が女性の家族に補償をし、
お兄さん自身は半年の収監を経て日本に帰国。
しかし、その後の兄は行方をくらまし、
その姿を浅草にあるザクロの木の辺りで見た人がいるという。
しかもお兄さんは、青頭巾をかぶった女テキヤのサクラをやっている
という噂です。それで弟の青年はこの場所に兄を捜してやってきた。
そういう経緯が語られます。
こうなると、この『青頭巾』という劇がはっきりしてきました。
青年は兄を捜している。兄に会うために浅草に来た。
ザクロの木の周りにいるのはそのためだ。兄に会えなければ、
青い頭巾をかぶった女テキヤを見つければ良さそうだ。
青頭巾の女と兄を探すという目的が提示されました。
・・・長くなったので、続きは明日!
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