12/20(水)『鐵假面』本読みWS 第3回 その③

2023年12月20日 Posted in 中野WS『鐵假面』
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↑日常から、すぐに撮影プランを閃いた勝新太郎さんみたいな公園課職員
という感じで、この役をとらえています


第3回の本読みはほんとうに充実していたので、
これまでで最長、3回のゼミログをレポートに充てることになりました。
それだけ内容充実。32歳当時の唐さんの好調ぶりを感じます。

日曜に行ったWSのうち、終盤に登場したのは公園課の職員でした。

乞食の群れとタタミ屋がボストンバッグ(生首入り)を巡って争って
いる間、トイレの外にいる姉妹のもとに公園課の職員が巡回で
やってきます。この、常識的な存在であるはずの役人が極めて
ユニークな人物であったことから、三者の短いシーンが
異様な膨らみを見せる。それがこの場面の醍醐味です。

この公園課職員はかなり芸術家肌で、
すぐにインスピレーションに駆られては、まるで気鋭の映画監督の
ように自分に去来した場面展開を、それこそ撮影プランを語るように
まくし立てます。

例えば、
ホステスがトイレの上に腰掛けで酔い覚ましをしている。
これだけで、彼には、このホステスの背景、酒場での情景がありありと
浮かび、脳裏に閃いたアイディアを滔々と語る。

また、尾崎紅葉の『金色夜叉』をヒントに、
有名な貫一お宮@熱海の浜辺の場面、あの高歯の下駄での蹴り上げ
シーンについて、実は貫一の蹴りはお宮にヒットしておらず、
貫一はフェミニストよろしく下駄を空振りしたのだという新説を力説。

さらに、「下駄」といえば「スリッパ」という履き物の連想に
駆られた公園課職員は、近所の医者が情夫の看護婦をスリッパで
叩いては痛ぶるという、まるで日活ロマンポルノのような
妄想にとらわれ、その様子を克明に語ってみせるのです。

・・・という妄想3連発をわずか2ページ余りで展開するという
唐さんの荒技。姉妹に誰かと問われやっと「公園課の職員」を名乗る
ところなど、彼の語ってきた妄想に比べ、あまりに常識的な
彼の肩書きの落差が読む者(観客)を笑わせます。

と、ここ3日間を前回のレポートに費やしました。
それだけカオティックだということです。

当時の唐さんの頭に渦巻いた情報量は伊達ではないということを
確認しつつ、次回、年内最後の本読みは12/24(日)夜に行います。
嗚呼、なかなかのクリスマスイヴ。

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