1/26(金)写真展2日目と『鐵假面』本読みWS 第8回

2024年1月26日 Posted in 中野WS『鐵假面』
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↑『青頭巾』で演じた「ガセ象」役の写真の前でパチリ。重村大介くん

本日は齋藤が写真展当番で、元唐ゼミ☆劇団員で
現在は唐組の重村大介くんや、『鐵假面』に出演してくれている
平泳ぎ本店の松本一歩くんが来てくれたらしい。
まことにありがたいことです。

他方、こちらは横浜で一日仕事をして、
それから夜には本読みWSを行いました。
本来ならば日曜日行うものですが、今週末は写真展の
ギャラリートークがあり、振り替えたというわけです。
金曜夜にも関わらず、いつもの皆さんにご参加いただきました。

特に取り組んだ箇所は、鉄仮面裁判の序盤です。

タタミ屋によれば、自分は子どもの頃に谷中の墓地で怪我した
ところをスイ子に助けられ、しかも、直後に治療薬のドクダミ草を
取りに行ったスイ子は、大勢の男たちに襲われてしまったらしい。

タタミ屋はそういう記憶を目の前の千羽スイ子に重ねますが、
彼女は頑として、それは自分ではないと拒否します。

一方で、スイ子自身の思い出の中にも大勢の男たちに襲われた経験が
あって、微妙に重なりながら、完全な一致は見ないというチグハグさで
裁判は進みます。

この際、わかりにくいのは、
タタミ屋は自分の記憶に沿わないスイ子を糾弾する検事であり、
スイ子は被告、味代は弁護士、リュックサックを背負った叔父さんが
裁判官、新たに登場した鉄仮面の群れは傍聴人であり、裁判員でもである
ということです。

群れなして現れた鉄仮面のおどろおどろしさ。
一転、子どもっぽい身振りで首を振ったりして可愛らしい鉄仮面。
さらに、さまざまなギャグが散りばめられて裁判の序盤は無駄話
ばかり繰り広げられ、それらが結構おもしろい。

だからこそ、青年主人公がヒロインを攻める構図と原因が
分かりにくくなってしまい、何を争点にして裁判が行われているか
見失いがちなのが、この場面で面白く、また難しいところでもあります。

スイ子が延々語り始めた夏の思い出は、
青春期独特の虚無感に満ちており、自分が海の上のヨットで
男たちにたらい回しにされ、復讐にヨットを燃やした激しさも、
どこか投げやりです。ここは特に、唐さんの情景描写力が光るところで、
映画『八月の濡れた砂』や石原慎太郎の小説『完全な遊戯』を思わせます。

WS参加の皆さんには、それぞれの方が裁判を傍聴した話や、
男性として、女性として、タタミ屋やスイ子の感じ方をどう思うか伺いながら
本を読みました。あと2回で『鐵假面』もおしまいです。

スイ子とタタミ屋のボタンの掛け違いがエスカレートしていく結末を
丁寧に追っていきましょう。次回は2/4(日)!

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