3/12(火)『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』本読みWS 第1回 その②

2024年3月12日 Posted in 中野WS『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』
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↑初演時に"かおるちゃんを"演じた中嶋夏さんが3/3に亡くなりました。
お雛様の日に亡くなるなんて、やはり少女の中の少女を演じた方。
ご冥福をお祈りします


今日は昨日に引き続き、
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』冒頭の物語を追います。
序盤に登場する、ドクター袋小路、床屋と禿の客、かおるちゃんが
いかに活躍するか。

まず、ドクターの登場です。
初め、彼の闇稼業である「犬殺し」が行われ、高らかに歌います。
この歌は初演時に同役を演じた麿赤児さんの得意技だったらしい。
また、後の場面で、床屋の飼い犬・ツァラツストラと
禿の客の飼い犬・加山くんが殺されていることが露見しますが、
犯人はこの犬殺しことドクター袋小路だと知れます。

次に、床屋と禿の客の場面。
相変わらず天気の話を呑気にするという、
軽演劇風にして前衛不条理劇風でもある会話が繰り広げられます。
が、よく聴くとその会話には、劇全体の主題である母と子のテーマが
潜んでいます。

こんなに暑い夏には皆が海水浴に行く。
海水浴に行けば子どもが亡くなる不幸が起き、嘆く親があり、
嘆かぬ親は継母だ、という内容の会話です。

こうして、思わせぶりなシリアスな会話になったかと思えば、
すぐさま禿の客の☆型の禿を扱ってコミカルな掛け合いをして
笑いをとります。

と、そこへ、床屋の愛娘であるかおるちゃんがやってくる。
高校二年生だとか、気象庁の電話交換手だとか、設定が語られますが
ともかく彼女は床屋の自慢の娘。
ナンシー・シナトラの『シュガータウン』を歌いながら現れて、
若さと乙女ちっくを振り撒きます。

さらにドクター袋小路が現れて、あの手この手でかおるちゃんに
求愛する。ドクターは嘘をついて床屋と客を追っ払い、
いよいよその求愛が高まると、かおるはかおるで表向き、
嫌と言いながらまんざらでもない、そういう場面までやりました。

ちなみに、この口説きのシーンで、
ドクター袋小路が得意の「二枚舌」を披露します。
口八丁ということでもあり、また実際に肉屋からレバーを買ってきて
表現したとも聞きますが、これも麿さんの得意技だったらしい。

結果的に、これが下町唐座で初演された『さすらいのジェニー』の
「ベロ丸」というキャラクターにつながっていったことをお伝えして
初回を終えました。

唐さんにとって大事な演目です。
だからこそ私が大学三年生の時、唐さんはゼミナールの学生相手に
この台本を課題にしたのだとも思います。
『鐵假面』公演が終わったら、3/31(日)に再開します!

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