4/1(月)『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』本読みWS 第2回

2024年4月 1日 Posted in 中野WS『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』
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↑初演時の舞台写真より、腰巻お仙がリアカーから登場する1幕ラスト
李礼仙(当時)さんの右手に握られているのは笛。まるで弁天小僧が
短刀を構えているような見栄の切り方で、キマっています


『鐵假面』公演をはさんで3週間ぶりに本読みWSを再開しました。
唐さんにとって、初めて紅テントを使って上演した劇、
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』第2回です。

まず初めに、久々ですので、
第1回でも話した初演当時の様子について振り返りました。
時期は8月であった点(現在ほど暑くはないでしょうが、それでも真夏)、
山下洋輔さんらバックバンドが共演していたこと。
(ト書きやせりふの端々に、バンドが後方にいてこその記述があります)

その上で、今回は1幕半ばから終わりにかけて読みました。
ちなみに、この劇は変わった構成を持っていて、
唐十郎の作品としては珍しい4幕ものです。といっても大長編でなく、
ひと幕ひと幕がコンパクトゆえに全編で2時間ほどの上演時間。

まずは、前回からのおさらいとして、
ドクター袋小路によるかおるちゃんへの口説きのシーン。
ドクターの手練手管、口八丁が冴え渡りますが(初演時にこの役を
演じた麿赤兒(当時:赤児)さんの得意でを反映したもの)、
一方で大切なのは、口説かれるかおるちゃんのリアクションです。
迷惑がりながらも、好かれることにまんざらでもない。
思わせぶりな素ぶり。少女は「可憐さ」だけでなく、
「強かさ」を持っている。ここがポイントです。

と、そこへ、ドクターの嘘によって場を外させられていた
床屋(かおるの父)と禿の客が戻ってきます。
ここからは床屋とドクターの問答が中心。
床屋は父としてドクターを怪しみますが、
これを強引なロジックでかわしながら、尚もかおるを口説く
ドクターのテクニックが光る。しかし、一旦は物別れに終わり、
ドクターの恋は一旦は成就せずに去ることになります。
このへんの哀愁、去り際に自らの引くリアカーに轢かれる仕草も含め、
滑稽かつペーソスに溢れているのが、唐さんの描く麿さん役の魅力です。

そしていよいよ主人公の登場。母を求める青年・忠太郎が現れます。
この「忠太郎」という名前は、長谷川伸の名作『瞼の母』の主人公
馬場の忠太郎から取られたもので、唐さんが自分流に、母と子を巡る
物語を宣言する象徴ともいえるネーミングです。

忠太郎がひとくさりモノローグすると、オカマのお春が現れ、
彼を気に入ります。忠太郎がお春の母性本能を刺激し、これから
全編にわたって彼を見守る庇護者となるところが描かれます。

そして、1幕の終わりに現れる腰巻お仙。
「お仙」の存在は謎めいていますが、腰巻きを付けて笛を吹く女で
あるところ、ドクターを従えているところ、登場のタイミング自体も
前作『腰巻お仙 忘却篇』を踏襲しています。

この幕の終わりは、かおるの落としたハンカチに生理の血が
こびりついている描写で終わります。男性(=忠太郎)の求める
聖母マリアのような母親像と、実際の女性との対立が予見されて
第1幕が終わってゆきます。

次回は第2幕冒頭から。
4/7(日)19:30からやりますが、この幕もまたギャグ満載で、
おもしろいところです。

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