4/8(月)『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』本読みWS 第3回

2024年4月 8日 Posted in 中野WS『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』
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↑このCDの7曲目に入っている「さすらいの唄」冒頭に
唐さんのせりふも入っています

昨晩は第3回。
1幕半ばから2幕半ばまでぐんぐんと突き進みました。

前回のレポートには勘違いがあり、
第2回で読んだのは主人公・忠太郎が登場する寸前まででした。
そこで、昨晩は1幕半ばの忠太郎の登場とお春との出会いから開始。

忠太郎が登場してすぐに吐く独白、
「かえるが泣くから帰るなら〜」はずっと唐さんのお気に入りで、
『四角いジャングルで唄う』CDに収められた『さすらいの唄』
冒頭において唐さん自身が誦じるのを聴くことができます。
オススメです。

それからお春との出会い。
唐さんが幼少期を過ごした下谷万年町の住人にインスパイアされた
このキャラクターは、忠太郎の庇護者としてこれから全編に渡って
活躍します。母ならぬオカマさんにこそ母性が授けられている。
お春さんの境遇の哀しさ、だからこその優しさ、そういうものを
描く唐さんのセンスが光ります。

そして、1幕終わりといえば、『忘却篇』で展開された
お仙とドクターの会話。忘却篇によれば、母を呪う存在である
「お仙」は常に、母親というものの自己中心性をあげつらいます。
かおるとの恋に憧れるドクターに対して、かおるが落としていった
ハンカチの血のシミを示すことで、すでにかおるが少女でなく、
母の予備軍であることを知らしめます。
このあたりは、つげ義春の『紅い花』の影響。

二幕の進むと「恋づくし」というサブタイトルが付いています。
忠太郎が巻き込まれる、かおるを巡るドクター袋小路との
恋の鞘当てが眼目の場だからです。

冒頭の床屋に、極めて壮大なクラシック音楽
ワーグナーの『ローエングリン』前奏曲をかけるところが
唐さんのギャグです。

そこで見習いとして就職した忠太郎が徹底して理不尽な修行を
強いられている光景が描かれます。断っておきますが、この忠太郎に
対する床屋の苛烈さは少なからずギャグめいていて、笑いが起こる
場面でもあります。

そこにお春が訪ねて来て、忠太郎に買い物に行こうと誘っては
床屋と禿の客に徹底して排除された後、ドクター袋小路が訪ねて来ます。
ドクターの狙いはもちろんかおるちゃんですが、床屋は娘を隠すものの
禿の客の失言によってドクターにかおるの存在がバレてしまいます。

ちなみに、ドクターが情熱的にとかおるへの愛を訴える歌は
シャンソン『La vie s'en va』の替え歌です。袋小路のパッションの
ほとばしりがまた、笑わせます。

結果、かおるのワガママ、床屋のドSぶり、ドクターの嫉妬深さ、
禿の客の下世話ぶりが炸裂し、忠太郎はドクターと決闘することに
なってしまいます。武器はトマホーク。唐さんの若き笑いのセンスが
爆発しています。

次回、第4回は決闘シーンを超え、
『義理人情いろはにほへと篇』の核心部である第3幕に踏み込みます。

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