5/27(月)『腰巻お仙 振袖火事の巻』本読みWS 第3回
2024年5月27日 Posted in 中野WS『腰巻お仙 振袖火事の巻』
↑第3幕の床屋。軍国主義が根強いため戦艦大和の絵が飾ってある
読んだ箇所は2幕半ば〜3幕半ば。
1幕で描かれた中学3年の卒業から1年が経ち、
自衛官となった円谷芳一が片桐仙子と再会するのが2幕の主眼です。
しかし、仙子は新宿西口の夜に立つ街娼になっている。
当然、芳一はショックを受けますが、
ポン引きに押し切られ、仙子としけ込むことになります。
そして2幕終盤では、仙子の堕胎児たち=明智小五郎に耳を
切り落とされた姿となって現れます。
まるで耳なし芳一のように、耳を失ってしまった芳一。
ここで面白いのは、仙子がこれまで堕ろしてきた堕胎児たちの群れに
とって、肉体関係が未遂の芳一が父親にされてしまっている点です。
時間的な厳密さを以ってすればこれはおかしいわけですが、
小五郎たちにとってみれば仙子と寝ようとするすべての男が潜在的な
父親になってしまう。この逆転がユニークです。
あるいは、もっと単純に考えても、堕胎児たちなりに、
母を犯そうとするすべての男から母を守った、そうともいえます。
いずれにせよ、芳一は耳を失ってしまった。
身体に負った障害は自衛官として致命的です。
こうして2幕が終わります。
3幕は『腰巻お仙』シリーズ名物の「床屋」という設定です。
ただし、この演目では細かな設定がもうけられ、この床屋は
芳一の実家ということになっています。
つまり、円谷理髪店とでもいいましょうか。
芳一のお父さんの床屋は元日本軍という経歴で、
戦艦大和の乗組員として生き残ったという過去の持ち主です。
軍国主義の家風が濃く、そのために芳一を中学卒業と同時に自衛隊に
入隊させたという背景もまた、この第3幕により明らかになります。
そのような背景があるので、芳一が耳を失ったことはとりわけ
ショックであることを前提3幕が展開していきます。
・・・という進行でした。
昨日読んだシーンには、看護婦の姉妹アキ&マキとドクター袋小路に
よるSMショーまがいのミュージカルシーンなど、メインストーリーを
撹乱する面白シーンがたくさんあるのですが、筋を見失わないために
ほどほどにしておきましょう。
次回、物語の本筋は「耳なし芳一」のパロディシーンに進みます。
6/2の開催!
トラックバック (0)
- トラックバックURL:
コメントする
(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)