6/3(月)『腰巻お仙 振袖火事の巻』本読みWS 第4回

2024年6月 3日 Posted in 中野WS『腰巻お仙 振袖火事の巻』
↑出版された本に必ず載っているこの絵。
唐さんが台本に書いたものでしょう!


昨晩の本読みについてレポートします。
読んだ箇所は、3幕後半・4幕前の幕間劇・4幕のさわり、です。

この箇所には、『腰巻お仙』シリーズの定番となった場面が登場します。
3幕の床屋、4幕の袋小路病院。こういったところでは、
場面だけでなく、そこでなされるやりとりもまた前作を受けた
ネタとして繰り広げられます。

床屋が永遠のお客の星型の禿頭を磨いたり、
ドクター袋小路が遊び半分な診断を患者にくだす、
お馴染みのシーンです。他にも繰り広げられるドタバタも含めて、
すごく面白い。ところが、一瞬一瞬のやり取りが面白いほどに、
全体のストーリー、物語進行を忘れてしまう。

ですから、昨日の本読みでは全体の流れを改めて確認しました。
主人公である円谷芳一(つぶらや ほういち)を中心に。

1幕。
芳一は中学を卒業して自衛官になるところ。
後にこの早期教育の理由が、父である床屋が日本帝国海軍出身で、
強烈な軍国主義者だからだと分かる。思いを寄せる仙子との別れ。
が、芳一は、仙子のために一人前の男になる気概に満ちている。

2幕。
一年後。自衛官になった芳一が帰省中に新宿に立ち寄ると、
そこで、街娼となった仙子と再会する。芳一の戸惑いをよそに
仙子は芳一としけ込むが、芳一を待ち受けていたのは、仙子が
これまで堕ろした未熟児たち(明智小五郎を名乗る)だった。
小五郎たちに耳を斬られ、自衛官としての将来を断たれる芳一。

3幕。
芳一の実家の床屋。耳を斬られた芳一は実家で静養中。
息子を立派な軍人にしたかった床屋の嘆きは深い。
旧海軍の仲間として袋小路も訪ねて来ると、禿の客、床屋と
意気投合する。一方、仙子は芳一につきまとう。
仙子や堕胎児にこれ以上、芳一を好きにさせないために、
床屋たちは芳一の体に血縁の文(円谷幸吉の遺書)を書いて
家族とのつながりを身に纏わせ、仙子たちへの結界とする。
自らの家族と、仙子&堕胎児たちの間で、引き裂かれるように
苦しむ芳一。芳一の仙子への想いが仇となり、芳一は堕胎児らの
父となってしまっている。(実際の父親は仙子を買った男たちで
あろう)

4幕前の幕間。
西口おつたの嘆き。おつたは体を悪くし(原因はおそらく性病)、
娼婦をやめてうどん屋になっている。おつたのせりふから、
戦争で弟を亡くしたおつたの身の上が知れる。弟に芳一を重ねる
おつた。
と、チンピラとなった小五郎たちと、ヤクザに身を落とした芳一の
ケンカが繰り広げられる。零落しながらも、仙子への想い、
小五郎たちを捨てた罪悪感に苦しむ芳一(責任感が強すぎる)。

4幕。
袋小路病院にて、どうなるか?


・・・という進行を整理しながらやりました。
どんなふうに大団円するか、来週が最終回です。
かなり爽やかな青春モノとして物語が解決するところが
見どころ。『忘却篇』『義理人情いろはにほへと篇』『振袖火事の巻』、
3作を読むことで見えてくる青春残酷物語とその昇華を味わって
ください。最終回は6/9(日)19:30から!




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