3/23(木)『愛の乞食』本読みWS 第1回レポート(中野)

2023年3月23日 Posted in 外部活動情報
愛の乞食_008.jpg
↑2010年 唐ゼミ☆が日出町の小空間で上演した時の冒頭シーン

『愛の乞食』本読みワークショップの初回レポートです。
初回は、昨日にアップした掲載物の紹介や執筆時の唐さんの様子、
初演時の様子などの説明から入りました。

『愛の乞食』が変わっているのは、
1970年の初演時に唐さんが状況劇場メンバーを三隊に割り、
同時に各地での公演を展開したことです。
風組、雲組、朧組という具合に分かれ、
東京、北海道、沖縄での公演を仕掛けました。

1968年以降、花園神社を追われた唐さんは様々な実験的試みを
行なっています。この流れは、1972年以降に上野不忍池や
夢の島に公演場所を見出すまで続きますが、その流れの中でも
三隊同時公演というのはかなり特殊です。

唐さんや大久保鷹さんから、興行収入を狙ったという話を
聞いたことがありますが、戦力を分散しすぎたせいか、
集客は振るわなかったようです。まだ、同時多発公演を全うする
ところまで状況劇場の制作体制が成熟していなかったのだと
想像できます。

ともあれ、内容は傑作です。
一昨日は初回につき説明部分を多めに取り、内容にはほんの少し、
冒頭部分の対話のみをやりました。

劇は公衆便所から始まります。
「ミドリのおばさん」が金かくしに向かって吐いているシーン
から物語はスタートします。この「ミドリのおばさん」は
あくまで職業名であり、元海賊の尼蔵(あまぞう)という
歴としたオジサンが演じています。

そのオジサンを心配し、通り掛かりの生命保険会社セールスマン
田口が背中をさすっている。この二人の掛け合いはなかなか
面白く、心配するなと言いながら、田口が過ぎ去ろうとすると
ミドリのおばさんが引き止める。気を引こうとしている会話の
妙こそ、冒頭シーンの魅力です。

どうやら、ミドリのおばさんは相手をしてくれる人が現れたのが
嬉しいらしい。ということは、きっと孤独だろうと想像がつきます。
なんだか変な具合に巻き込まれてしまった田口は、お人好しゆえに
ミドリのおばさんを振りきれません。

公衆トイレには水の流れる音がして、それがいつしか
海の波音、轟にもつながっていく。そんな予感を孕んだ約10ページ
を読んで初回は終了しました。まだまだ序の口です。

途中まで進んで「ジョン・シルバー」の話題が出てきたら、
過去作品を振り返って「ジョン・シルバー」シリーズをおさらいする
回も設けます。4月末まで『愛の乞食』。
これから宜しくお願いします!


トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)