12/2(水) まもなく参ります(齋藤)

2020年12月 2日 Posted in 劇団員note
舞台監督の齋藤です。
『唐版 風の又三郎』 ご来場いただいた方、またご支援いただい方、本当にありがとうございました。
本番が終了して10日経ち、大精算大会も終えて、徐々に日常に戻っています。

さて、ここからまた週に2回ほど、劇団員がゼミログに登場します。
これに際して、中野さんから、「公演中に自分だけが見た、面白いこと」というお題が出されました。
劇団員が見た風景にご期待下さい。

さて、本題に戻りますが、唐ゼミの公演では、本番中の場面転換は手の空いている役者全員で行います。

今回の公演で言えば、二幕から三幕への転換がそうだったのですが、
場面転換に参加できない役者(着替えなど)が多く、かつ転換するセットが多いと、
緞帳の裏は、まさに「戦場」で、声こそ出さないものの、なんとも言えない「勢い」があります。

10分そこらで、全てのセットチェンジを終え、息を切らせながらスタンバイに入り、すぐに本番。
スタッフワークからまた役者に帰る瞬間、皆の目はものすごくギラギラします。
僕はその顔が本当に好きで、極力皆に声をかけて本番を始めるようにしている節があります。

お客様が見ることのない光景ではありますが、あの瞬間、なんとも言えない独特の雰囲気を醸し出しているのです。
ミッションをこなした安堵感とこれから迎える幕への高揚感&緊張感で、はっきり言って「カッコいい」顔をしています。
「まもなく参ります」と声をかけた時の顔。
写真では残せない、そんな素晴らしい一コマです。




そういえば、千龝楽の日。
僕は転換終了後に資料として舞台の写真を数枚撮影しました。
資料のためだけにセット転換を頼むのは心苦しく、またこの日は早く転換が終わったのもあって
舞台の上手、下手と1枚だけ写真を取りました。



まず下手側。
20201202_1.jpg


次に上手側
20201202_2.jpg


そして、皆に「まもなく参ります」と声をかけようと下手側を振り返った時、
出演者の「としとし」こと小林くんが突然電話ボックスの中に立っていました。
しかも、満面の笑顔で、ピースをしながら。

そもそも本番中に役者さんが記念写真をとる文化が好きになれないのもあり、
(本番に集中して欲しいと思ってしまうので)
また何よりそんな自分が写真を撮っている後ろめたさもあり、
思わず口からでた言葉は「記念写真じゃねーよ」でした。

今まで数えきれないほどの「まもなく参ります」の顔を見てきましたが、
あの笑顔が、一番印象的だったのかもしれません。
そしてあの顔ができるとしとしは、間違いなく大物です。

今考えると、撮っておけばよかったかなぁと思う今日この頃です。
ごめんね、としとし。


(齋藤)




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