12/6(日)公演終了宣言/津内口

2020年12月 6日 Posted in 劇団員note

今日で『唐版 風の又三郎』公演終了から2週間が経ちました。

出演者、そしてご観劇いただいたお客様からも新型コロナウイルスに感染したというご連絡はなく、

これをもってやっと「公演終了」を宣言することができます。

改めて、ご来場いただいた皆様、そして応援してくださったたくさんの方々、本当にありがとうございました。


それにしても、ホッとしました。

劇団で制作をしている私は、今回の公演で対お客様の感染対策を担当していたからです。

感染症対策なんて初めての経験。

どんな対策が必要なのか、どんな物品が必要なのか頭を悩ます日々でした。

消毒液ひとつ取っても、どの商品が安全で効力があるのか、

どの用途でどの商品にするか、劇団員でリサーチしてひとつひとつ選んでいったのです。


上演前、私は受付でお客様の対応をしていました。

開場時間直前、消毒液が入ったボトルを2つ抱えて右往左往する新木が目に入りました。

その様子は明らかにテンパっている。

思わず「どうした?」と声をかけると、

「消毒液がなくなりそうなので補充したいんですけど、どこにありますか。」


量が足りなくなっている事には気づいていました。

ただその時、ちょうど消毒液の種類を切り替えている最中で、

新木が持っているのを使い切って、新しい種類の消毒液に詰め替えようとしていたのです。


今回の公演、新木は裏に表に本当によく頑張っていました。

器用なタイプではありませんが、思い切りは人一倍良い。

苦手な作業にも挑戦し、彼女なりに丁寧に一生懸命、最後まで楽しんでやろうとしてくれていました。

私が「困ったな。手伝ってくれる人がいたら嬉しいけど、みんな忙しいよな...

と誰かに声をかけるのを躊躇ったり、その作業を進めるのを諦めようとすると、

それを察知して「やります!」と言ってくれるのは決まって新木でした。


その時の新木は、開演直前に予期せぬトラブルに見舞われ、思いつめた顔をしていました。


その顔に一抹の不安を覚えつつも、

補充が女子楽屋にあること、そして中身が違うから、ひとつのボトルに残りを移して、

片方を空にしてから補充して欲しい旨を説明しました。

が、テンパっていたのか、聞こえなかったのか、

新木は私の話が全て終わる前に、消毒液がある女子楽屋に突入していきました。


対応中のお客さまを前にその場を離れるわけにはいかず、

その背中にかけた私の咄嗟の一言は悲しいかな、


「混ぜるな!」


でした。

彼女にその言葉が届いたのか否か、定かではありません。



DSC_0797.JPGのサムネイル画像


















(今回の舞台写真で一押しの新木。待ち受けにしたい)



これは終演後に聞いた話ですが、その一部始終を目撃していた大学の同期・小山が彼女を追い、


「混ぜると爆発するぞ」


と追い討ちをかけてくれたそうで、この件は事なきをえました。

全ては先に使っていた消毒液を捨てることができなかった私の貧乏性が招いた出来事です。



でも今思い返すと「混ぜるな!」と言われた時の新木はニヤついていた気もする。

頼もしい後輩です。


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津内口

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