2/28(日)鶏を作った話(津内口)

2021年2月28日 Posted in 劇団員note
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『唐版 風の又三郎』で登場する「鶏」。
テイタンチームが崇め奉る、劇中の超重要アイテムです。
状況劇場の上演では、生きた鶏を実際に舞台の上で絞め殺し、
その鶏を終演後の宴会で鍋にしていたというのだから驚きです。

唐ゼミでは公演の準備に取り掛かる際に、「小道具リスト」と「衣装リスト」を作ります。
台本から必要な小道具と衣装を書き出し、一覧が完成したところで
舞台監督サイトウ差配のもと、それぞれに「難易度」がつけられます。
「安く買えるもの」や「簡単に作れるもの」は「難易度C」
「この世に存在しないので創作しなければならないもの」や「手に入りにくいもの」は「難易度A」
といった具合です。
その難易度に合わせて、予算や担当が振り分けられます。

今回私が担当した鶏は、「難易度A」。

なるべく立派でリアルに見えるものを!と気合いを入れて探索しましたが、
はく製やぬいぐるみではなかなか「これぞ!」というヒットに恵まれず、
ようやく見つけた一羽は、中国からの発送でした。
不運にもコロナ禍での海外発送遅延が重なり、首を長くして待つこと一ヶ月。
ようやく届いた箱の大きさに、愕然としました。



小さい・・・・・!!



恐る恐る開けてみると、なんとも可愛らしいサイズの鶏が、箱の中からこちらを見上げていたのです。
しかもなかなかに粗雑なつくり。
あのときの絶望感は、推して知るべしです。

念のため消毒を施し、呆然としながら鶏を見つめること10分。
その粗雑さも相まって「つくれるかも...」という希望が湧いてきました。

そうと決まればそこからは早いもので、
発泡スチロールと羽毛にまみれながら格闘すること5日間。
最近自分で一から作った小道具としては会心の出来で、とても愛着を持っています。

その後、夜の男を演じる丸山さんの「もっと死んでるように見せたいんだよね...」というリクエストに応えるべく、
首が取り外せるように改良したりもしました。


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(↑首が外れた鶏)


結果的に、「懐から鶏を取り出す」というト書きに対応するため、
あの中国製の鶏(小)にも活躍の場が与えられることになりましたが、
あの絶望感は二度と味わいたくありません。

状況劇場では食べられてしまった鶏たちの供養のためにも
少し可愛がって大事にしようかと思う、今日この頃です。


津内口







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