8/29(日)空きっ腹の限界 (ちろ)

2021年8月29日 Posted in 劇団員note
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既にゼミログで稽古の様子について触れられているとおり
私たちは『唐版 風の又三郎』の再演に向けて、稽古を始めています。
昨年もコロナ禍での稽古でしたが、まさか一年後もまた同じ状況
いえ、それ以上の脅威に晒されながら稽古をすることになるとは
想像していませんでした。
現在私たちは、シーンごとに稽古するよう日程を組み、
少人数の集合で済むようにしています。
従って、自分の出演以外のシーンの稽古を目の前で見ることが叶いません。
残念です。

私自身は、前回公演の動画を見たり、台本を読み返したりして
改めて「老婆」と向き合っています。
自分には足りない事だらけです。
老婆は出演シーンも科白も多くはありませんが
そこに居る意味、科白の意味や目的を
もっともっとよく考えなくてはならないなと感じています。
老婆の登場シーン、最初の科白は「お腹がグー」です。
栃木から東京まで、何も食べずに三日間歩いてやっと辿り着く。
この時の空腹感とはいったいどれくらいのものだろうか?
私の普段の生活では、大概時間になれば食事をとるし
小腹が空けば、飴やお菓子をつまむことができる。

時には仕事が詰まっていて、食事をとるタイミングがなく
比較的長い時間空腹を感じて過ごすこともありますが、
それでも、ほどなく食べ物を口にすることが出来るため
直ぐに空腹は満たされる。
そういう生活では、「あ、お腹が空いたなあ」程度に感じることはあっても
辛くて叫びたくなるような空腹感をもつことはありません。

少し強い空腹を身をもって感じようと、ちょっと実験。
朝から何も食べずにどれくらい過ごせるか。どの程度の空腹感があるか。
さすがに、三日間何も食べずと言う訳にはいきませんが
何か近いものを感じられればと思い試してみました。
この暑さなので、水分補給だけはして。
私は家族と同居のため、彼らの食事を作らなければなりません。
自分は食べず人の分だけ用意、何回目かの食事の準備は少し辛くなりました。
お腹が数回グーっとなりましたが、その程度。
まだまだ。
空腹で歩き続けていた老婆と大学生の感覚には程遠い。

実験の最中、気が付きました。
自分の手の届く範囲に、なんと食べ物が沢山あること。
飴、バナナ、チョコレート、スナック菓子にパン。
お腹が空いてくるとそれらが目に入り、油断すると食べそうになります。
三腐人に柘榴を勧められた大学生は、こんな気持ちだったのでしょうか。

数十年前、会社員時代に初めてダイエットした時のことを思い出しました。
急激に6㎏太ってしまった私は、元に戻そうとダイエットを試みたのです。
始めた時期が悪く、忘年会シーズンが始まった頃でした。
宴会三昧の中でのダイエット。(宴会の多い会社だったのです)
2時間強の宴会で、最初の乾杯用のビール1杯を2時間かけてのみ
とんかつや唐揚げといった揚げ物には手を出さず、
そこに添えられた千切りキャベツのみをちびちびとつまみながら
宴の終わりを待つ。
会社の宴会、つまり半ば仕事でもあり欠席するわけにもいかず
このひもじい思いと戦いながら、1,2か月過ごしました。
この実験、この時の感覚に似ています。

話が大分ずれました。暴れたくなるほどの空腹感、人に裏切られ相手を罵る感情・・・。
これまでに大声で人を罵った記憶はありませんが、そうしたくなるほどの怒りや憎しみ
それに近い感情はあったかもしれない。(?)
自分の経験を振り返り、色々な感情を自分の中で探ったり
想像力を働かせたりしながら、老婆の心をしっかり感じて言葉を出せるようにしたいです。

強い空腹を感じる実験は、家庭の事情により残念ながら中断。
また、トライしてみようと思います。

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