9/23(祝月)『少女都市』本読みWS 第2回

2024年9月23日 Posted in 中野WS『少女都市』
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↑『ガラスの少尉』を上演した時、ガラス工場を体験しに行きました。
『少女都市』のガラス工場もこんなイメージです


昨晩の本読みでフランケ醜態博士が登場しました。
いうまでもなく「フランケンシュタイン」をもじったこのキャラクター
こそ、この『少女都市』の最重要人物です。そして、このフランケの
置かれている状況を正しく理解し、彼の心情を正確にとらえることが
新しくて、それでいて本来の『少女都市』『少女都市からの呼び声』を
読み解くための重要なカギになると考えています。

昨晩のストーリーを要約します。

ガラス工場の事故により3本の指を失っている雪子は、
兄の心配をよそに平然としています。ガラス工場の主任であり、
フィアンセでもあるフランケ醜態とともにビジネスに邁進していると
胸を張ります。そして、自身の体をガラス製品に改造していることを
伝えます。まずは性器から。自身のガラスのヴァギナをアピールして
みせます。

当然、兄は驚きますが、雪子は自分がガラス化していくことに
希望を感じている風です。生理現象や母親になることから遠ざかり、
ガラスの少女になるのだ、観念の結晶になるのだと強弁して胸を張る。

兄とすれば、どこかいかがわしい。
そういう中で、雪子をガラス化に導くフランケ醜態が登場します。
彼の紳士的な挨拶に兄が圧倒されているうちに、友祈子は手術中の体を
軋ませながら去ります。こういうところは『ガラスの動物園』の
ヒロイン・ローラの影響です。

雪子が去ると、フランケ醜態は兄を翻弄し始めます。
詭弁を用いたり、怪しげなサイコロ勝負を挑んでは兄を追い出そうと
します。それはフランケが、自分と雪子の世界に兄を入らせまいとして
必死にやっていることだという事業が、後で知れます。

フランケの呼び込んだ町の女たちは、生理や出産に関わる女性の
苦しみを歌い、さらに海の上の孤島に舞台空間が変化すると、
フランケが行う花火の光の中に、堕胎されて苦しむ子どもたちや
中絶した子どもらに苛まれる女の苦悩が浮かび上がります。

果ては、『少女都市』のオリジナル・キャラクターである
上海ママが登場します。彼女は男性が演じる女性役なのですが、
それゆえに自分が決してなることのできない母親への憧れを強く
押し出したり、開き直って男娼である自分をアピールします。
一見すると突飛で面白い登場人物である上海ママは同時に物語を
混乱させます。

この後、身体障害を持つフランケと雪子がガラスに憧れる物語世界の
中で、上海ママがどのような役割を果たしていくのかを見極めることが
重要です。来週には『煉夢術』でおなじみの人体模型も登場して、
場が混乱します。混乱するけれど、大局を見失わないようにしましょう。

次回は9/29(日)です。

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