11/4(祝月)『少女都市からの呼び声』本読みWS 第3回

2024年11月 4日 Posted in 中野WS『少女都市からの呼び声』
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↑創作現場的に、雪子の顔にかかるガラスの皮膚はとても難しい問題です
2005.3近畿大学構内での唐ゼミ☆『少女都市からの呼び声』より

昨晩の本読みは次のシーンを読みました。
第2回の一部復習も行い、重複も3していますが。

(1)フランケの手術室シーン ※第2回でもやりました
(2)満州行軍のシーン〜フランケ・連隊長の対話
(3)雪子を取り返しにきた田口、対する雪子・フランケ
(4)老人Bと老人Aの再会

特に重要なのは(2)(3)です。

(2)満州行軍のシーン〜フランケ・連隊長の対話
ここで重要なのは、フランケの過去と、フランケが雪子をガラス化
するに至った経緯やモチベーションがはっきりするからです。

戦時下の満州雪原にて、敬愛する連隊長と同僚たちの列から、
フランケは一人離れて日本に帰ることを命じられました。
フランケとしてはともにオテナの塔を目指し、死にたかった。
しかし、彼は病弱ゆえに同行を許されず、厳しい雪原のなかで
障害を負って帰国します。

別れる際、「おまえのオテナを探せ」と連隊長に言われたことが
きっかけとなり、雪子をガラス化し、彼女こそ自分のオテナの塔と
見定めます。他面、このカップルは、生まれてこられなかった
田口の双子の妹・雪子とフランケの結びつきです。
お互いに陽の当たらない存在が強く結びつき、二人はガラス化に
強烈な希望を見出している事がわかります。

(3)雪子を取り返しにきた田口、対する雪子・フランケ
田口が妹・雪子を取り返しにやってきます。
しかし、自信満々なフランケ。フランケにとってみれば、
雪子は望んでフランケを結婚相手に選び、ガラス化を選んだのです。
が、実は雪子のなかにはガラス化への恐怖と迷いがありました。
雪子の心が揺れるたびにフランケは狼狽しますが、そんな彼を
よそに雪子は兄の誘いに応じます。が、すでに途中までガラス化
が進行した雪子の体はかなり繊細で、簡単に兄の手がふれることを
許しませんでした。辛うじてフランケが雪子を手中に収めるなかで
この場を閉じます。しかし、一旦噴き出した雪子の迷いが、これから
行う場面につながっていきます。


今回、読んだなかでは、(3)が特に難所であり、工夫をしなければ
ならないところでした。フランケが悪人として雪子を騙し、無理やり
手術しているように見える。あるいは、雪子を助けに来た兄の田口が
単純な正義の味方に見える。こうなってしまってはこの劇は台無しです。
雪子はあくまで、彼女の意志でフランケを選び、ガラス化を選んで
きたのです。ただ、恐怖も抱いていた。兄の出現により、その恐怖に
よって引き返すことを選んだ。こういう成り行きを押さえる事が肝です。

皆さんと読んで、この三角関係が改めてよく分かりました。
次回は11/10(日)です!

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