6/18(火)『少女仮面』本読みWS 第1回 その②

2024年6月18日 Posted in 中野WS『少女仮面』Ⅱ
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↑現在のAmazonで買える人体模型。三万円弱。
唐さんは20代前半の無名の頃、人体模型を伴って新宿の喫茶店に
行っていたらしい。果たしてどこで手に入れたのか。
そういう経験が、『少女仮面』の腹話術師に生きているはず!


昨日の続きです。
執筆背景の説明を終えて内容に入ると、冒頭から8ページを読みました。

①少女・貝と老婆の会話。
②老婆の歌『時はゆくゆく』。
③喫茶《肉体》における、腹話術師と人形のやり取り。
④継いで、腹話術師とボーイ主任のやり取り。
を読みました。

「すてたパンツに聞いてごらん」というせりふが有名な①の場面。
ここは、少女・貝がこれから、宝塚スター・春日野八千代の経営する
喫茶店に押しかけて売り込みをかけようとしている前段と考えれば、
会話の意味が見えてきます。

貝と老婆のおめかし。貝の高揚感が彼女の冗談口を呼び、
宝塚の裏側やタブーについて言及させます。
老婆も乙女チックな女性ですが、そこは年の功。
人間や芸能界の裏側を知っているわけですから、忠告をしたくなる。
でも、これからという少女の夢を壊すわけにはいかない。
それでああいう会話になります。

恋愛禁止の宝塚スターだって人肌恋しくなる時がある。
彼らが演じる『嵐が丘』の世界では主人公ふたりが亡霊となっても
お互いのからだを求めて荒野をさまよっている。
老婆となった自分が求めるものは、若き日の「肉体」。

ということで劇中歌『時はゆくゆく』。
ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』やメルロ=ポンティの
視覚論を識っていることも大事ですが、それ以上に必要なのは、
この歌の中間部に、戦中・戦後の雰囲気を嗅ぎ当てることです。
数多くいた子ども。垢だらけで一人だけ帰ってきたそのうちの一人。
そういったフレーズのうちに、この劇に欠落している老婆と貝の
中間世代を感じることができます。
その中で老婆の、自ら宝塚に打って出たかった、今も打って出たい
心情、貝にその願いを託す心持ちが描かれます。

それが終わると、喫茶《肉態》。
火山が噴火した絵画。飛び交うトンボ。
後にこれらが、空襲を想起させるに役立つことに触れつつ、
メリー・ホプキンや、シャンソン歌手ダミアについて説明しながら
腹話術師の世界に入っていきます。

喫茶店に人形を持ち込み、
「コーヒー2つ」と頼んでみせる腹話術師のナルシズムが
ボーイ主任の癇に障る様子を追います。彼らはともに浮かばれない
芸能関係者、現代風に言えばパフォーマーであるからこそ、
ボーイ主任は近親憎悪ともいえる悪感情を腹話術師に向けるわけです。

その精神構造を理解するとき、ボーイ主任がかくも高圧的になった
ことの原因は、腹話術師にあるといえます。
昨晩はタイムアップになってしまったので、このあたりから、
来週は話を起こしていきます。あと4回で終わるつもりです!

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