11/23(日)村松友視さんのおかげで
2025年11月23日 Posted in 中野note
↑最近、発見した、唐さんについての記述が出てくる本です
村松友視さんは元中央公論社の編集者であり、後に作家として
台頭し、直木賞作家になった方です。その村松さんがいたからこそ、
唐さんは小説を書くようになったのったのだそうです。
この本には、村松さんが若き日の唐さんに仕事を依頼し、
執筆と雑誌掲載ををひとつひとつ達成していく様子が記録されています。
タイトルに「酒」とあるので、もちろんそうした交流もセットに
なっています。作家と編集者の間に酒席がある。かつて当たり前だった
景色がそこにあります。おふたりの黎明期。
面白いのは、村松さんが唐さんのファッションを記していることです。
ある時、唐さんは偉丈夫だったお父さんの上着を借りて着ており、
その大きすぎる様子がかえって似合っていた、という趣旨のことが
書かれており、その視点のユニークさに打たれます。
また、喫茶店で唐さんは紅茶を頼むことがあったようです。
私にとって、唐さんはいつもコーヒーを飲まれており、珍しい記述です。
唐十郎の戯曲を文芸雑誌「海」に掲載する際、村松さんはかなり
難儀し、またそのハードルを突破するための作戦を練られたそうです。
おかげで、今現在、私たちは「海」に掲載されたいくつもの台本の
中に、唐さんのなかにあった原初の着想を汲み取ることができます。
ありがたいことです。
唐さんにとって作家の友人といえば、その筆頭は嵐山光三郎さんですが、
村松さんの存在の大きさにも、感じ入りました。
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