3/20(祝金)稚鰤と書いて「ワラサ」
2026年3月20日 Posted in 中野note
年度内すべての公演を終えて、ここ数日、心に余裕が出て来ました。
劇団員で集合して掃除をするのもたのしいし、余裕があるからこそ、
昨日のように神社を訪れて人形を供養することもできるのです。
前に、吉本隆明さんのエッセイを読んでいた時、
若い頃、政治運動をしていた時は日々追いまくられて余裕がなかった、
就職をしてみたところ、子どもたちを連れて銭湯に行った帰りに、
目を細めて夕方の空を眺める余裕ができた、
という意味の文章が印象的だったことがあります。
(何という文章だったか、それは忘れました)
それ以来、自分は折に触れて、束の間この文章に倣って余裕を味わうように
なりました。空を眺めて、やれやれと思ったりする。目は自然と細まっている。
思い立って、唐さんの台本のうち、処女作を研究することにしました。
こうなると身が引き締まって、朝は、事業に追われているのとは別の感覚で
早く目覚め、すでに知っていたつもりになっていた台本のなかに、
「こんな設定があったのだ」「こんなせりふがあったのだ」という発見の連続で、
充実してきます。
例の、やたらと長いタイトルの、
『24時53分 "塔の下" 行きは竹早町の駄菓子屋の前で待っている』
という作品です。
冒頭から、「ろうそく」がいっぱい出てくる。これまで実感してこなかった
そういう事実がわかるだけで、目が細まってしまいます。
ところで、久々に魚屋さんを覗くと、唐さんも好きなホタルイカが売って
います。うちの近所の魚屋さんは優れていて、置いてあるのは富山県産
です。内臓のおいしさが抜群です。
それから、「ワラサ」が売っていたので、思わずもとめました。
『少女都市からの呼び声』で兄の田口が妹の雪子と会話を繰り広げる
あの「ワラサ」です。
少女 その春、噂には聞いたことある。
男 風景だけじゃなくて、思春期とか青春というのもあるんだぞ。
少女 シュンの魚もある?
男 今は、ワラサかな?
少女 そのワラサ、食べたいよお。
室井先生が好きだと言っていたせりふです。
「稚鰤」と書いて「ワラサ」と読むそうです。成長途中の鰤ですから、
脂が少なくて、あの鰤の充実感には程遠い。けれど、塩焼きにして食べると
その拙さだからこその、春の味がします。
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