4/22(木)ワークショップレポート(林)

2021年4月23日 Posted in 中野WS『海の牙〜黒髪海峡篇』
『海の牙 黒髪海峡篇』 
ワークショップ、第3回目となりました!


前回は、按摩と男(呉一郎)との会話を掘り下げていきました。
「大車輪」の最中に目が合った女「瀬良皿子」のことが語られるシーン。
なんとも不思議な描写で興味を惹かれます。


さて、今週は、目が合った瀬良皿子の次なる動きから。
いってみましょう!


そういえばあいつ、変なことしたっけ、と記憶を辿り語る呉一郎。

瀬良皿子は、「その大車輪は円じゃない」と言った後、
その自らの手で、呉一郎の描く「大車輪」を切り刻むような動きをするのです。
まるで「北斗の拳」で登場する技、「南斗水鳥拳」のように...!
(というのはあくまでイメージですが、見たことない方は是非youtubeで検索してみてください。)

そうした手の動きで呉一郎の大車輪をメッタメタに切り刻んだ女。一体何者なのか。。
そんなこんなですっかり目を奪われてしまった呉一郎は鉄棒から落下。

按摩は呉の話を聞きながら、実は彼が瀬良皿子の「手」を"乞ふている"と指摘します。

そしてその後、その「手」の持ち主、瀬良皿子に再会した呉一郎。
按摩に導かれるようにその容姿を思い出すと、彼女が"パンマ"であることがわかります。
按摩にとっては商売敵。
弟子たちも思わず立ち上がって合唱。

と、そこへ冒頭のカツラ屋の三人が登場!
(冒頭のシーンについて触れている中野さんの4/13(火)のnote)

女房のオカツは、番頭との仲がバレないように、
寝ている隙を狙われるのだと主人に話し番頭を責めます。
がしかし、番頭がそのオカツの言動を直に受けてしまい、
オカツからもらった手紙を読み上げたりしてしまう。

オカツがあの手この手で言葉を繰り出して、主人と番頭の争いを収めようとしますが
猪突猛進な二人の男たちにはうまく機能せず、
ついには主人が包丁を持って飛び出してくる始末。

結局、番頭はオカツにその手紙も本から書き写した内容だと言われてしまいます。
やけになった番頭は、故郷から持ってきたものだと店にある長髪のカツラをひったくって出ていこうとします。
主人は逃すまいと包丁で切りかかる。
番頭は長髪のカツラでその包丁を振り払うと、その髪の毛が主人に絡みついてしまう。


番頭と長髪の間にピンと張る黒くて長い髪の毛。
そこでのト書きは 
"それを軸に円を描く二人。"

ここでキーワードの「円」ができあがるのです。

ずっと喧嘩を見守っていた呉一郎でしたが、
急に、できあがった円の中心である髪の毛を右手でつかみます。

呉  よせよ。ダントン。 これは鉄棒じゃないんだ。

ずっと動かなかったダントンが、意思を持って動き始めたのです。
そして呉一郎はつづけます。

呉    これでいくらかみえてくるだろうか。昼下がりの坂が。
       その坂を降りるとき、もしかしたらぼくの心臓は、すりきれた自転車のブレーキのように
       シューシュー音を立てるだろう。

カツラ屋の前で女が語った"昼下がりの坂"。
呉一郎の転落を予感させるこのせりふで、今日のワークショップは終了!

今日のワークショップでは、
呉一郎が大車輪の最中、瀬良皿子の描写をするシーンが続いたり、
女房・オカツが主人と番頭に対し、思いついた言葉をどんどん繰り出していくシーンがありました。


実際声に出して読むときも、その瞬間に思いついて言葉を発するというのを実践。
試しながら繰り返し読んだりして、なんだか稽古のような雰囲気もあったワークショップでした。

さて、
ダントンがついに動き始め、呉一郎はこれからどうなっていくのか。
次週やるところでは、新たな登場人物がやってきます。
呉一郎と瀬良皿子の再会も待ち遠しい!

それではまた次のワークショップも、よろしくお願いします!

海の牙.jpg

(唐ゼミ☆ 『海の牙 黒髪海峡篇』の舞台写真より)





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