12/9(水) 「24時。新宿中央公園水の広場。」(米澤)

2020年12月10日 Posted in 劇団員note

今日は米澤が書きます。

 

僕が小屋番をしたときのこと。

 

舞台監督の齋藤さんが、

大変だった小屋番のことについて以前ゼミログに書いています。

大変な時はこんなかんじです。

http://karazemi.com/blog/note/10-20126.html

台風とたたかっていたようです。

 

僕は今回で4回目のテント公演ですが、

自分が小屋番をしたときに大きな出来事があったことはありませんでした。

僕が経験しているのは、

夜に雨が降り出し、テントの幕の継ぎ目から雨水がたれ、

それが照明機材にあたっていたのでちょっと対応したくらいです。

 

新宿中央公園の広場ではスケートボーダーたちが一日中練習しています。

数グループのボーダーたちが、入れ替わり立ち代り常にいるようなかんじ。

練習するのに時間帯は関係なく、

深夜まで続きます。

青テントが広場に立っていた期間は

練習スペースがいつもの半分ほどになっているので、

テントのことを邪魔だと思っていたかもしれません。

 

そんなボーダーたちが勢いよく滑っているあいだをくぐりぬけて、

銭湯から青テントに戻りました。

 

その日の小屋番の相方は、高田三郎を演じていた佐々木覚(さとる)さん。

覚さんが寝ている楽屋テントを覗くと、もう寝ていました。

僕もすべきことを早く済ませて休める状態になろうと

荷物の整理などをして、ちょうど作業が終わって、

寝袋の上に座って落ち着いた頃、

 

「がさっ」


「がさっ」

 

何やら外から物音した。

おそらく楽屋テントの幕をめくった音。

音がした方向は覚さんが寝ているテントがある方向とは

反対からしている。

覚さんが起きて外に出たような音はしていなかった。

覚さんではないはず。

誰なんだ。

じゃあ泥棒か。

スケボーをしている奴らか?

 

「がたっ」


「ごそっ」


っと、また音がしました。

これはきっと衣装などを入れてるブラスチックケースを開けた音。

音の出どころはきっと女子楽屋。

 

寝袋のすぐ横にはLEDのライトが置いてあるので、

まずそれをにぎって、

青テントの幕の隙間からそっと外に出てました。

相変わらず公園の広場ではスケートボーダーが元気に元気に走ってます。

そして、女子楽屋テントに近づくと中から人の気配がする。

 

おそるおそる、ゆっくりと、女子楽屋のテントの幕をめくり、

さっとライトを当てました。

ライトが当たってこちらを見ている人がいます、

僕と目があったのは女性。

 

よく見てみると劇団員の佐々木あかりさん。

 

今回幕間で出てくる看護婦を演じていたあの役者です。

事情を聞くと、

家の鍵を楽屋テントに置いて帰ってしまったらしく

仕方なく自宅から引き返してきたそうです。

 

以上です。


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 (夜の新宿中央公園とビル)


僕は武闘派ではないし、何もなくて安心。

彼女は彼女の事情で大変です。

 

そして朝になり、

もう明るくなり始めている頃、

再び、何か音がするなあ、とゆっくり目が覚めて、

それが新宿中央公園のラジオ体操会の方々の流す音楽だと分かると、

その音楽を聞かなかったことにして二度寝します。

 

こうして僕の小屋番は終わりました。


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