3/22(日)『ベンガルの虎』と『村岡伊平治自伝』/椎野
2026年3月22日 Posted in 劇団員note
唐さんは『ベンガルの虎』に女衒(ぜげん)でのし上がった男、
村岡伊平治を登場させています。
ということで、読んでみました『村岡伊平治自伝』。
なんだか『我輩は猫である』的、軽快な文章に感じまして、
内容も嘘かホントかわからないような芝居がかりっぷり。
「これは盛ったな」とツッコミながら読んでる自分がいました。
村岡伊平治は1867年長崎・島原生まれ。
女衒(ぜげん)といえば、女を売って儲ける大悪人。
ただ、もともと女衒(ぜげん)になろうとして海外に行ったわけではなく、
真っ当な商売で一旗あげようとしていた伊平治くん。
ひょんなきっかけで不当に誘拐され
海外で体を売らされている日本女たちがいることを知ります。
「かわいそうだ!」と救いだしたものの、大量に抱えた彼女らをどうすることもできず、
改めて売りに出したら、その商売が軌道にのった、ということらしいです。
さらには、女たちにすぐ好きになられて、結婚を迫られたり、
お金を渡されたりで困った困ったとつらつらと書き連ねています。
確かに、男を好きになったこともない、少女である年齢から
海外に「いい働き口」があると騙されて、体を売らされてきた娘が、
異国の地で、20歳そこそこの日本人男子を見たら、
心底燃えるのもわかります。
そして読み進めると、やはり、出くわす
唐さんがまるっとせりふに使っている箇所。唐さんの常套手段です。
ここまでまるごとよその本に書いてあることを自分の作品に使っていても、
唐さん独自の世界観に仕上げてしまうのは、
「天才の所業」としか言いようがありません。
長いせりふ2ヶ所。そして劇中歌。
村岡伊平治は、短歌や俳句のつくりかたを女たちにも教え込み、
「嫁にしてくれ」と希望する女たちに「3年後な!」とかなんとかいいくるめて売り払い、
娘たちは遠い国から歌を書いてくる。
下の段、「シンガポールのタマヨさん」の歌。
これはまるっとではありませんが、すこしアレンジして劇中歌として登場します。
鬼と閻魔に誘われて 腐乱地獄に投げ込まれ
恋しい人には死に別れ 行李の旅が恨めしや
確かに、この『村岡伊平治自伝』を読んだ唐さんが、
ビリッと刺激を受けたのは、とても納得いたしました。
「国家のために」という大義を持って、純粋な気持ちで
女郎屋を経営し、海外に逃れてきた罪人をも使って商売に励む。
極端で、豪快な魅力を持った人物です。
ただ、女性側の視点から読み直し、彼女たちの人生に想像を巡らすと
途端に話は重くなり、この『ベンガルの虎』の重要なテーマが浮き上がってきます。
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