9/16(月)『少女都市』本読みWS 第1回 その①

2024年9月16日 Posted in 中野WS『少女都市』
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↑学藝書林から出版された『少女仮面 唐十郎作品集』。ここにも
『少女都市』が掲載されています。1970年3月5日発行。

昨晩から『少女都市』の本読みがスタートしました。
よくよく考えれば、『少女都市』にちゃんと向き合ってきませんでした。
『少女都市からの呼び声』が人気作品である一方で顧みられることの
ないオリジナル版ですから、私としても力が入ります。

昨日は初回ですので、まずは執筆の背景から。
この芝居の初演は1969年12月です。

先行して『少女仮面』が早稲田小劇場により公演されています。
1969年10月中旬から12月まで。これは週末ごとの上演であったようで
それが鈴木忠志さんの劇団運営だったでしょうし、稽古場兼劇場を
持っている強みであったとも言えましょう。
評判がたてばお客がやってくる仕組みともいえます。

唐さんが他団体に書いた『少女仮面』の向こうを張って『少女都市』
に着手したのは明白です。『特権的肉体論』の中で「少女」を論じた
唐さんにとって、自分なりのテーマを手を変え品を変え展開して
みせたのでしょう。要するにそれは日本論でもあります
様々な他人が通り過ぎるのを強かに受け入れながら初心を装う。
そういう共通点で唐さんは「少女」と「日本」を語ってみせます。
「都市論」は、変貌を遂げる東京を生きる当時のインテリの
流行り言葉であったでしょう。

具体的な執筆時期としては、1969年7-9月に行った南下&北上興行の
途中、東京に帰ってきた後の10月頃が考えられます。
『少女都市』という台本はあまり緊密とはいえませんから、
少し時間不足だったかもしれません。

しかし、『少女仮面』を理解すると『少女都市』の特性がよく見えて
きます。後に『少女都市からの呼び声』を書くことによって、
唐さんはこの問題を解決にかかったように自分には思えます。

また初日明けた翌週に起こした寺山修司さんの天井桟敷との
乱闘により、唐さんが警察に引っ張られた結果、ただでさえ少ない
公演回数がさらに減ってしまったことも評価の定まらない原因と
考えています。当初は12回公演でしたが、これが少ない10回に
なってしまった。

警察に捕まらなかった大久保鷹さんが、あの時はお客に
公演できないことを謝ったと伺ったことがあります。
唐さんが復帰してからはかなり盛り上がったでしょうが、
スキャンダルへの喝采の陰に作品への評価が隠れてしまったことも
容易に想像がつきます。

そのようなわけで、恵まれない『少女都市』に光を当てましょう。
具体的な内容はまた明日!

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