9/17(火)『少女都市』本読みWS 第1回 その②
2024年9月17日 Posted in 中野WS『少女都市』
↑戦争後に街に立った傷痍軍人たちの姿をよく心に留め、思い起こし
ながら「老人たち」の描写を読みましょう
一昨日は全94ページ中、14ページを読みました。
『少女都市』は『煉夢術』に引き続きて各幕が「場」に分かれており、
唐十郎作品としては珍しい構成をとっています。
昨日はプロローグと1幕1場・2場を読みました。
まずプロローグ。少女(雪子)が登場し独りごちる。
彼女が階段の上にいることから、何やら塔の上を想起させます。
すぐに『オテナの塔』を歌うので、なおさらその感興が高まります。
次に1幕1場、すぐさま男(雪子の兄)が彷徨う場面です。
男の目の前に老人たちが現れ、大正琴を弾いて物乞いします。
これは、戦後の傷痍軍人たちを意識したシーンです。
この「傷痍軍人」というモチーフは重要ですから、
上演の際は役者たちの造形に気を配りたいところです。
次回以降で触れますが、これは「フランケ醜態博士」という存在への
強い伏線です。
男は10円玉を投げるのと引き換えに、老人たちから妹の情報を
聞き出します。オテナの塔に彼女はいるらしい。
続いて1幕2場。男と妹・雪子が対面します。
兄に行き先を告げることもなくここにやってきた雪子は
ガラス工場の主任と一緒に出張に来たのだと説明します。
どうやら長期の出張らしい。
一方で、兄のだらしなさが会話の端々から聞き取れます。
会社のお金をちょろまかしてクビになったり、他人の保険証を
使って医者に行ったり、妹を探していたのは金を無心したがって
いるフシも見受けられ、とにかくだらしない男であることが
露呈していきます。
その最中、雪子が工場の事故によって指を三本失っていることが
わかります。兄としてショックを受けますが、本人は至って前向き、
雪子自身は落ち着いています。
兄としての情けなさが身に沁みたところで、初回は終了。
次回はフランケ醜態が登場します。
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