3/31(火)『ビニールの城』本読みWS 第8回

2026年3月31日 Posted in 中野WS『ビニールの城』

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↑コロナ禍では、舞台の映像配信をよくやりました。その中で、

ずいぶんお世話になったのが携帯用のビニール・パーテーションです。

「モモ」が、どうにか一緒にいて欲しいと「朝顔」にお願いするために

用意した道具に似ています。こうしたものを設置しながら、よく

『ビニールの城』みたいだな、と思ったものです。



先ほどまで、稀代の必殺シーンをやりました。

静かな興奮が、余韻として残っています。


『ビニールの城』オンラインWS第8回の主眼は、

水に沈んだ人形「昼顔」を「朝顔」が救出した後に訪れる

カミヤバーでの「モモ」と「朝顔」の会話です。

「朝顔」が身体を酷使した後の朦朧とした疲れのなかで進行するシーン。

下記に引用します。


モモ           あなたが嫌いです。

 

バシンとくの字の銃をまっすぐ戻す。

 

モモ           あんたが恐いほど嫌いです。あんたが、本当はあたしが

嫌いなように、今では、あたしも嫌いです。ムシズが走るように。

開けて、汗まみれの動物の匂いがたちこめるのが嫌なように、

冷たいその目が嫌いです。

 

銃口をビニールを越した朝顔に向けている。

 

朝顔           空気銃なんか恐くないです。皮一枚にめりこむだけだし、

ただこのデンキブランは、射たんで下さい。(そのカップを摑んで

立ち上る)これは、人形たちにおごってもらったもんだから。

モモ           そのデンキブランも嫌いです。


・・・・・・


このダイヤローグは、ふたりの頂上決戦とも言えるものです。

大声を張り上げるようなやり取りではありません。

内省的に抑えて静かながら、ヒタヒタと複雑な胸中が行き交い、

すれ違い、お互いに好意を持ちながら別離して行かざるを得ない

もどかしさが、このやり取りの味わいです。


前段として、「モモ」はビニール製のパーテーションを持ち出します。

「ナマ」や「動物の匂い」が嫌いな「朝顔」も、ビニールに包まれた

ビニ本の自分とは暮らせたわけです。だから、実際の生身の自分とも

間にビニールのパーテーションがあれば一緒にいてもらえるのでは

ないかという、彼女なりの必死の懇願がここに見て取れます。


が、ふたりはどうしようもなく決裂し、空気銃は打たれ、電気ブラン

グラスが割れてしまいます。(せりふに集中しながら、これだけの

仕掛けをこなす俳優は、かなり大変です)

そして別離。最後に、「モモ」が「朝顔」の相方である人形の

「夕ちゃん」を手にいれ、ねんねこのなかに隠していたことが知れて

エンディングに入る手前で、今回の本読みを終えました。


WSに参加してくださっている皆さんの中には、このシーンのファン

が多くて、熱心に思い入れを語ってくださいました。

私自身、正直を言えば、こういう男女の愁嘆場が苦手なのですが、

それでも引き摺り込まれてしまう吸引力がありました。

いくつかの上演を見た時よりも、こうして読む方が、その魅力に

痺れました。


次週、あと一回の本読みで『ビニールの城』を完結します。

次回は4/5(日)19:30から。

詳細はこちら

http://karazemi.com/perform/cat67/post-18.html


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