12/4(月)『鐵假面』本読みWS 第1回 その①

2023年12月 4日 Posted in 中野WS『鐵假面』
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↑「鉄」の旧字は2パターンあるので要注意!
「真ん中に王様がいる方」と憶えましょう


ついに『鐵假面』本読みを始めました。
私たち劇団唐ゼミ☆は来年3月に公演予定です。
ですから、ずっとこの台本について考えてきました。

まずは、初回恒例で、作品が書かれた背景について説明しました。

(1)前作『二都物語』で上野公園不忍池を初めて使い、その環境を
活かして、序盤が公衆トイレを利用した野外劇仕立てになっている

(2)フランスの作家ボアゴベに『鉄仮面』という作品があり、
唐さんはこれを江戸川乱歩が翻案した少年少女読み物を、おそらく
幼少期に読んでネタにしている。(ちなみに、乱歩版のエンディングは
原作とかなり変えられて味わいを減じている)

(3)山川惣治作の『少年王者』も強力な下敷きになっている。
ヒロインの名前「スイ子」や青年主人公「タタミ屋」の憧れの対象こそ
『少年王者』の真吾という、アフリカを生きる少年である。

(4)初めて唐十郎作『鐵假面』が活字化されたのは、文芸誌「海」
1972.11号であり、後に出た新潮社の単行本『二都物語・鐵假面』とは
劇の終盤に大きな違いがある。今回の本読みは、まずは「海」版を読む

(5)唐さんはタイトルに『鐵假面』と旧字をあてているが、「鉄」の
旧字には「鐵」「鐡」2パターンがあり、前者につき要注意!

(6)劇の途中に何度もフルート(唐さんの表記は「フリュート」)の曲が
取り上げられているが、これはフランス人フルート奏者、ジャン=ピエール・
ランパル演奏によるドップラー作『ハンガリー田園幻想曲』をもとにして
書かれた

(7)ちなみに、私が(6)を知ったのは故・根津甚八さんが生前に
書かれていたブログによってであり、根津さんの書かれた状況劇場時代の
エピソードはかなり貴重で、『吸血姫』創作の様子なども分かって
かなり面白いので、もっと多くの人に読んで欲しい
http://jinpachi.blog.tennis365.net/


・・・などということを伝えました。
初回は盛りだくさんにつき、なかなか内容までいきません。
というわけで、また明日!

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