12/5(火)『鐵假面』本読みWS 第1回 その②
2023年12月 5日 Posted in 中野WS『鐵假面』
↑文芸雑誌「海」1972年11月号。『鐵假面』初演と同時期に出版された
この中に初めて活字化された同台本が収録されています。後に出た
新潮社の単行本とは終盤が違う。これをもとに本読みし、最後に
単行本との違いを検証するつもりです。『二都物語』併録の新潮社版↓
今日は進んだところまでの内容を振り返りましょう。
この劇は公衆便所でのやり取りからから始まります。
これは上野公園を前作で初めて借りた唐さんが、
再びこの場所で公演するにあたり着想したアイディアだと推察します。
夜更けに公衆便所にやってきた青年が目にしたのは、
手洗いで髪を洗い、トイレに隠した鬘を颯爽と付えけてどこかへ
出かける女でした。青年の視線に気づくと、「何見てんのよ!」と
言って啖呵を切ったことから、女性の気の強さが窺えます。
対して青年は、なんとも気弱。一人になると「誰かいませんか?」
と言ってトイレの中に消えます。
すると、始まったのはこの公園にたむろする乞食たちの
ファッションショーでした。彼らは実に堂々と自分たちの泥だらけ
の衣裳を誇り、高らかに歌さえ歌います。なかなかの朗らかさ、
そして、気高さです。心は実にノーブルな感じがする。
するとここへ、おしろいを塗りたくったお婆さんがやってきます。
彼女の頭は少し正常ではないらしく、男を誘惑するような媚態を
見せるので、乞食たちにからかわれます。
そこで、「真吾!」と助けを求める。
「真吾」といえば、『少年王者』に出てくる主人公の名前です。
すると自分はヒロインのつもりなのか。いずれにせよ、
助けに入ったのは今は廃れつつある紙芝居屋で、
後にこの男は、婆さんの息子と知れます。
多勢に無勢で紙芝居屋は乞食たちに襲われ、
商売道具のせんべいを奪われる始末です。乞食たちは去る。
取り残された親子の前に、冒頭の青年が現れます。
この青年のあまりの頼りなさに憤る紙芝居屋ですが、
青年が『少年王者』のファンだと知れると態度が急変。
意気投合の後に、青年は親の代からの家業を継いだタタミ屋と
知れます。
紙芝居屋とタタミ屋、時代遅れのシンパシーが効いたか。
二人がなかなかに良い関係になったところで、第1回の本読みは
おしまいでした。
次回は12/11(月)の開催です。
初回に漏れた方にも説明をよくしながら本読みを展開します!
トラックバック (0)
- トラックバックURL:
コメントする
(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)