2/14(水)『鐵假面』本読みWS 最終回 その②

2024年2月14日 Posted in 中野WS『鐵假面』
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↑今日は私の誕生日だったので、丸山雄也くんがケーキを買ってきて
くれました。おいしさもさることながら、カットケーキを一個買って
立派な箱に詰めてきてくれたのに感激しました。お店の方は、あるいは
少し迷惑だったかも知れません。でも、そうするところが雄也くんの
気持ちだし、店員さんもプロだったのだろうと思います。感謝!


昨日の続きです。
『鐵假面』WSの最終回ではもう一つのエンディングも取り上げました。
というのも、この台本にはバージョンの違った終幕があるからです。

もともと、雑誌「海」に掲載されたもの。
それから、状況劇場による初演を経て『二都物語』とセットで
新潮社から単行本化されたもの。この二つのバージョンで
最後の4ページの内容が違う。

単行本バージョンでは、タタミ屋に刺される相手が違います。
スイ子と結婚しようとした味の素の部長・味代が刺される。

これは、昨日に紹介した「海」バージョンよりコミカルな
展開です。味代が刺されるのは、初演を唐さんが演じたことと
併せて考えてみるとなんとなくコミカルです。

が、その後が問題です。
犯罪者となったタタミ屋をスイ子が森へと誘う展開は同じなのですが、
そのスイ子をめった打ちにする叔父さんの激しさが格段に増している。
さらに、タタミ屋はなぜか、スイ子が打ちすえられる姿を見て
笑うのです。この笑いは何なのか。

さっきまで思い入れていたヒロインに主人公がここまで残酷に
なれるものなのか。それとも、笑い、というのは嬉しさだけでなく、
真逆の感情がゆきすぎて笑うしか無くなってしまったのか。

巨大な謎、ブラックホールのような闇を残してこの劇は終わります。
最後に紙芝居屋が来て、「夢から醒めろ」と言って終わるのは一緒。
しかし、後味の悪さ、カオスの度合い、そういうものが
単行本バージョンでは増しています。

初演前に雑誌掲載されたものと初演後に単行本化された内容が
違うことはままあります。けれど、ここまでの変化は珍しい。
だから、皆さんと一緒に読み、どこがどう違って、そのことで
テーマの進行がどのように異なり、どちらが好みかを考えました。

このことは、実際に唐ゼミ☆での上演に際しても
最後に選択する大きな問題になるでしょう。
そういう課題もはらんだ『鐵假面』最終回でした。

次回から『腰巻お仙』リリーズがスタートします。
「忘却篇』『義理人情いろはにほへと篇』『振袖火事の巻』を
一気に読もうというこの企画。のべ4ヶ月くらいかかりますが、
アンダーグラウンド演劇好きにはたまらない時間になるはずです。

我ながら、これはすごい。
ついてくる参加者がすごいと思います。
血みどろのアングラのようでいて、ライトな笑いに溢れた
このシリーズをやることで、20代後半の唐十郎を発見しましょう!
2/18(日)からスタート。



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