2/21(金)娘のめざす店

2025年2月21日 Posted in 中野note
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↑6歳でも読める!

私の住むマンションの向かい、
通りを挟んだところに、馬肉専門店というのがありました。

通りいっぺん肉全般でなく、馬に限定するという熱の入れようだった
ので興味を持ち、開店時に行っていたセールを利用して一度だけ、
差し入れを買いに行ったことがありました。
けれど、それきり。

自分は馬肉が好きだけど、日用するには高級だし、
差し入れの際に利用したいけど、好悪の別れる食べ物だから、
その後は疎遠になっていたのでした。

やがて、この馬肉店が閉店を決意し、店舗ががらんどうになりました。
新たな店子がついたようで、先日、「おたからや」がオープンしました。

「おたから」という文字を読んで、今、娘がここに行きたがっています。
ひらがなを読めるようになった彼女には、本やアニメで見聞きする
金銀財宝が、ここに行けば手に入ると思っているらしいのです。
それは決して、間違いではないけれど。

考えてみると、うちから徒歩5分圏内に、この手のお店がこれで
4軒目です。つまり、時代はこういうお店を必要としているのかと
実感させられます。自分はいまだに、行ったことがありません。

2/20(木)ジミー・クリフにハマる

2025年2月20日
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最近はジミー・クリフをずっと聴いています。
かなりのヘビーローテーションで。
車の中も、歩いている時もこればっかり。

ロンドン以来、レゲエが好きになって、
あの時に優しく接してくれたおじいさん・おばあさんを
聴きながら思い出します。

カリブ海には行ったことないけれど、
ウィンド・ラッシュでやってきて、英国で生活を築いた
彼らの強さは、あの優しさにつながっていると思います。

日々、やっぱり日本と横浜と、住み慣れた保土ヶ谷は良いなあと
思い続けている自分には、ジミー・クリフも、ロンドンの皆さんも、
思い切り尊敬の対象なのです。

2/19(水)『蒲団』の味わい

2025年2月19日 Posted in 中野note
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日曜日、劇団員の米澤君がレポートしてくれたように
『恋と蒲団』を読みました。

やっぱり面白かったので、いずれ機会さえあれば決定版を
上演するべく、今後のオープン稽古ではこれを煮詰めてみようと
思います。次回は、3/26(水)です。

本腰を入れようということで、
約16-7年ぶりに『蒲団』も読み直しました。
田山花袋の『蒲団』です。

結果、爆笑の連続でした。
だいたい「花袋」という名前もユニークですね。
自分は他に「花袋」というファーストネイムの方を知りませんが、
よくよく考えてみれば「花」の「袋」とは面白い名です。
明治の男性が名乗ったと思うと、ますます面白い。

内容も、まったく破廉恥の極みで、体裁の取り繕い方も滑稽で、
電車の中で読んでいてついニヤニヤしてしまう。
よくここまで自分を晒せるなあと感心しつつ、誰もがこんな風に
心の中で思いながら生きているという共感があります。

一体、人が今まで心の中だけで思い描いた殺人・強盗・強姦を
足せば、その総量は一体いくらになるだろうと思わずにいられません。
かといって病んだ感じはまるでなく、これくらい考えちゃってる方が
健康であるとすら思います。

唐さんは、妄想と自意識の大先輩、巨人に挑戦しているのだと
思わずにはいられません。

2/18(月)『ジャガーの眼』本読みWS 第3回 その②

2025年2月18日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
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↑「くるみ」が他人の家に忍び込んで仕込んだ湯たんぽは
『泥人魚』でも活躍したこのようなデザインのものでしょう
これをこっそり仕込むとは、かなりヘンな行動です

昨日の続きです。
「くるみ」が登場すると、「扉」が喰ってかかります。

路地の家々をめぐり、「くるみ」は何をしていたのか、と。
他人の家に上がり込んで勝手にご飯をつくったり、寝ている他人に
湯たんぽを用意したりしていた人間。それが「くるみ」に違いない、
そう、「扉」「一の戸」「二の戸」は糾弾します。
しかも「くるみ」は、埃の降り積もったところに、大胆にも
「くるみ」というサインまで残していたのです。

泥棒や強盗にしては甲斐甲斐しすぎ、しかも自ら名前まで残していく
ところを訝られながら、こうして「くるみ」は糾弾されます。

そして、「この辺りには、ジャガーの眼を持った男がいる」
という長ぜりふが始まる。やや抽象的な言い回しではあるけれど、
少しずつ「くるみ」の目的が明らかになります。

ここで、面白いと感じたのは2点。

まず第一に、「扉」が必要に「くるみ」に喰ってかかる点です。
まるで、「田口」に道を踏み外させているのはお前だ!と
言わんばかりです。ライバル心の昂まりがすごい。

さらにその際、「一の戸」は「サラマンダ」が怒り狂わないよう、
「サラマンダ」の耳を塞ぐという芸の細かさを見せているのも
ユニークな点です。

次に、「くるみ」が町内を巡って家宅侵入し、家事を行なっていたこと
です。これ、雑誌「新劇」や単行本に掲載された冒頭シーン、
すなわち、女が路地の家を覗き込んでいる場面がしっかりと
上演されれば、ますます活きるのではないかと思うのです。


やはりこうやって何人かで読んでみると、『ジャガーの眼』って
こういう台本だったんだ、という発見に満ちています。
面白い! 次回は2/23(日)です。

2/17(月)『ジャガーの眼』本読みWS 第3回 その①

2025年2月17日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
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↑胡桃は脳に似ています。そしてカラカラと鳴り響き、
カスタネットの役割も果たしています

昨晩は『ジャガーの眼』本読みの第3回でした。
先週来、探偵「扉」の「田口」に対する思いに気づいた時点から、
本読みが俄然、おもしろくなってきました。

もともと書かれていた冒頭の「くるみ」の歌唱シーン、
「扉」という人物の真価が発動することで、今まで何度も観てきた
『ジャガーの眼』に、新しく、しかもより本来的な輝きを帯びる
可能性が見えてきたのです。そういうことを意識しながら、
一昨日も本読みに邁進しました。

第3回の主眼は、「くるみ」の登場です。

「扉」「一の戸」「二の戸」は噂話をします。
路地の奥にある民家に忍び込んでは、食事をつくり、湯たんぽを
セットする謎の人物がいる。しかもそいつは、ほこりに「くるみ」と
書いて自らの存在をアピールしているのです。3人は嫉妬に狂う
「サラマンダ」を刺激しないよう警戒しつつ、「くるみ」を
怪しみます。

一方、「田口」は路地の住人たちの怒りに触れてサンダル探偵社屋を
メチャメチャにされます。その前段では、飼い犬「チロ」を交通事故で
無くした少年「ヤスヒロ」との問答があり、「くるみ」が「ヤスヒロ」
に亡き者の復活を説いていたことが明らかになります。
結果的には、「くるみ」は「しんじ」を亡くしていたわけですから、
「くるみ」と「ヤスヒロ」はシンパシーを感じているのです。

それら前段があって、「くるみ」はやってきます。

登場の直前には、「会社員」「マダム」「婆ア」がサンダル探偵社に
「お金入りの封筒」「ハンドバッグ」「入れ歯」を投げ込むシーンが
あります。これらはすべて、「くるみ」が探偵として働いた謝礼です。
つまり、「田口」がリンゴで行く先を占いながら依頼者「くるみ」が
持ち込んだ案件に向き合っている間、秘書「くるみ」は様々な仕事を
片付けていたこともわかります。

・・・と、これだけの前フリがあって「くるみ」は登場します。
登場すると、「田口」を間に挟んで、「くるみ」と「扉」の対決が
始まります。それは、また明日。

2/16(日)公開稽古『恋と蒲団』(米澤)

2025年2月17日 Posted in 劇団員note
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すみません。
写真を撮り忘れてしまいましたので、先月の『唐版 風の又三郎』の
リーディングワークショップの会場の様子を載せておきます。

先月から唐ゼミでは、
劇団外の方を交えての本読みが続いてます。

1月は風の又三郎WS、公開稽古
そして今日も公開稽古でした、
公開稽古では劇団から中野さん、津内口さん、僕(米澤)が参加し
それに申し込みを頂いた方々を加えて読み合わせを行います。

今行っている劇団員募集に合わせての開催ではあるのですが
稽古の様子をちょっと見て見たい、という方はぜひ気軽にご参加下さい。

今日ご来ていただいた方々は
唐ゼミではないけど唐十郎作品の上演を観て興味をもった方、
いつも唐ゼミの公演を観劇していただいてる方、
毎週オンラインワークショップに参加いただいている方、などなど
で、本読み自体には読み手として参加せず、見学しているのもありで
自分のご意思で、自由に関わっていただければと思います。

今日は冒頭に唐さんが台本を書いた1時間ほどのラジオドラマを
みんなで聴くところから始まりました。
その後、1976年に執筆された『恋の蒲団』の読み合わせです。

なぜラジオドラマを聞いたのかといえば
「匂い」という共通点が『恋の蒲団』との間にあるから、との解説が入りました。
この先、唐ゼミで『恋の蒲団』を上演する際には
きっと分かっていただけるのではないかと思います。
匂いです。

劇団以外の方との稽古は刺激的で嬉しいです。
劇団での公演をしばらく重ねていくと
舞台に立つ上でのスタイルのようなものが生まれてしまって
ある特定のやり方に固まっていこうとする力が働きます。
それが上手くいっているとは限らないのにです。

なので外からの新しい方との稽古は
自分のことを見直していくいい機会にもなっています。

次回の公開稽古は

3/26(水)13〜17時
場所は都内の方には遠いですが横浜市鶴見区です。
(最寄りの駅からバスなのでより遠いです)

その日読む台本はこちらでご用意しますし、
参加費はかかりません。
ぜひご参加下さい。

ご興味のある方はこちらから申し込みをお願い致します!

公開稽古 お申し込み













2/15(土)保土ヶ谷にて

2025年2月16日 Posted in 中野note
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↑右側の数行のなかに、唐十郎新作公演「黒いチューリップ」の文字が
あります

先日、古本屋サイトで、1983年のアサヒグラフを発見しました。

唐さんとアサヒグラフとは1970年台前半に行った海外遠征の記録を
皮切りに、多くの資料を残しています。

『ベンガルの虎』のバングラデシュ公演、
『唐版 風の又三郎』のパレスチナ公演、
そういったお金にならない海外公演の軍資金を、唐さんは紀行文を
書くことで得ていたのです。その恩恵に預かって、私たちには資料が
残されている。

ところが、1983.2-25増大号にも公演の記録があったことが明らかに
なりました。対象となったのは、『黒いチューリップ』公演。
さっそく取り寄せてみると、なるほど、今までに見たことのない
立派な写真が載っています。

しかし、自分にとってさらに重要だったのは、次の文章でした。

状況劇場の主宰者・唐十郎が芥川賞を受賞。
その受賞第一作の「伸子の帰る家」と現在西武劇場で上演中の
新作「黒いチューリップ」とは、同じ一つの素材を小説と戯曲とで
書きわけたものである。

・・・今まで私は、受賞後に書いた作品は『御注意あそばせ』
なのだろうと思い込んできました。しかも、唐ゼミ☆で上演した経験の
ある『黒いチューリップ』に、それと照応する小説があったなんて。

実は、唐さんの小説については、自分はあまりきちんと読みきって
いない節があるのです。そのことを猛省しながら調べてみると、
『伸子の帰る家』は『安寿子の靴』という短編小説を集めた単行本に
載っており、さっそくにこれを読みました。

『伸子の帰る家』のなかで、唐さんは三度、保土ヶ谷駅周辺の
スナックを訪れ、くだんの伸子を乗せたタクシー運転手の「宮地さん」
に聞き取り調査を行なっています。劇では「菊地」となっている
キャラクターです。

細かいことはさておき、自分はこのことをもっと早くに知るべきでした。
大学入学以来の自分の住所は横浜市保土ヶ谷区であり、横浜国大だって
保土ヶ谷区なのです。大学時代にこの小説を読んでいれば、大学から
唐さんと少し脚を伸ばして、どのあたりのスナックに行ったのかも、
さほど難しくなく伺えたはずです。悔やまれてなりません。

明日、散歩をして、保土ヶ谷駅周辺に行ってみます。
唐さんが訪ねたスナックがどのあたりにあったのか、想像するためです。


2/14(金)44歳になりました

2025年2月14日 Posted in 中野note
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↑早朝の首都高を走るのは、なかなか気持ち良かった

今日は誕生日でした。
ここ15年くらい、誕生日は慌ただしく過ごしてきていて、
それはひとえに、年度末であるからです。どうしても予定が混んでしまい、
あまり感慨もない1日になるのが通例でした。

今日はといえば、朝6時前には都内に向かう必要があり、
結局、帰りも早くはありませんでしたが、合い間には、東京の下町を
散歩する時間があったり、意外とゆっくり昼食をとる時間があったり
して、なかなかどうして、ありがたい1日でした。

明日が土曜日なので、夜更かし気味の子どもたちが起きている
時間に帰ってくることができて、彼らとおしゃべりしました。
6歳と8歳。大きくなったのを実感します。
まだ22:00前ですが、早めに寝られるというのは贅沢なことです。

2/16(日)は唐ゼミ⭐︎の稽古に何人か、外部から参加があり
津内口と米澤で『恋と蒲団』をやるのを中心に話題を運ぼうかと
考えています。明日も仕事があるけれど、その合間に、唐さんが
参考にした資料が読めて、ここひと月間中途になっている、
本棚の整理をしたいと思っています。

整理までできるかな。できれば良いけれど。

2/13(木)父子鷹

2025年2月13日 Posted in 中野note

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↑高級だけどさすがに美味しいブレドールのパンの包み


今日の午後は葉山に行きました。

県民ホールが次年度に行う事業の打合せのためです。

思ったより30分以上も早く着いたものですから、

憧れのパン屋、ブレドールに行きました。


私が初めて葉山に来たのは、清水宏さんと神奈川県内各地を

巡ってオリジナルのスタンダップコメディをつくってもらっていた時です。

当時の生涯学習課長さんが懐の深い方で、私たちの企画に乗ってくれ、

清水宏節全開の話芸を完成させました。2020年1月のこと。


以来、たびたび葉山に行くたびにブレドールに行く味をしめたのです。

今日も伺い、初めて買うコーヒーパンを買いました。


そして店を出るなり袋を剥いてかぶりつく。

早朝からあっちこっち動いていたので、遅めの昼ごはんでもありました。

ところが、3口目を口に運ぼうとした瞬間、左側頭部がこすれ、

手にドンッという衝撃が走ったのです。


気づいた時には、コーヒーパンは包ごと舞い上がっていました。


猛々しいトンビがパンを掴んで跳ねると、上空では、

さらにそれを狙った一匹、また一匹が加わる三つ巴で獲物を奪い合い、

それぞれの立派な体躯も相まって、なんだか屏風絵のよう。

コーヒーパンというのが軟弱ですが、あの諍いの獰猛さは本物でした。


・・・数ヶ月前、家の近所で息子がカラスにあんぱんを奪われました。

「お父さんは43年生きていて、そんな目に遭ったことは一度もないよ」

と彼に伝えましたが、これで、同じ体験を得ることができました。


もっとも、8歳の彼はもっと小さな自分に、カラスにこづかれたことがあり、

回数においては遅れをとっています。あんぱんにコーヒーパン。

野鳥は甘党なのか・・・

2/12(水)『ジャガーの眼』本読みWS 第2回 その②

2025年2月12日 Posted in 中野WS『ジャガーの眼』
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↑読みながら、唐さんが憧れたフィリップ・マーロウ像を思い描こう!

一昨日の続きです。

自分としては、「扉」が「田口」に寄せる想いに気づいたことが
大きな収穫でした。思えば、この設定は、同じ探偵事務所を題材にした
『唐版 風の又三郎』の「教授」→「夜の男」の関係性にも似ています。

これから、この視点を以って全体を読み進めていくと、
本来的かつ新たな『ジャガーの眼』が自分に見えてきそうです。

さて、日曜に読み進めた部分の物語について。

アジア探偵社の「扉」が現れ、「住人たち」と「田口」のいさかいを
仲裁します。「扉」は車椅子に女性の人形(サラマンダ)を座らせ、
路地をウロウロしているわけですから、より怪しい気もしますが、
「住人2」の奥さんの不倫を「扉」が告げたことで、その場は上手く
散会となります。さすが興信所員です。

そこからは、「扉」から「田口」に対する口説きが始まります。
要するに、「アジア探偵社」に戻ってきてほしい、戻らないまでも
また一緒に仕事をしよう、と熱心に説得します。

「田口」はこれを断り、断る理由のなかで、「くるみ」の存在が
明らかになります。ある日、依頼人として現れた「くるみ」は
「田口」に何かの捜索を依頼し、「田口」がその仕事に専心するために
秘書まで買って出て「サンダル探偵社」の経営を支えているという
設定なのです。

「くるみ」の存在に、「サラマンダ」は大いに嫉妬して「暴君」と
呼ばれる大風を巻き起こします。

こうして、「くるみ」の登場に対する期待感が昴まっていきます。
いつも上演ではカットされる、「くるみ」の冒頭シーンがあると、
お客はさらにピンと来るように、私は思います。

私が特に面白いと思ったのは、「扉」の部下たちが通り過ぎる
シーンで「扉」と「サラマンダ」が入れ替わるところです。
「扉」が自分の心を「サラマンダ」に託していることがよくわかる
場面であると感じます。

次回の「くるみ」登場がたのしみです。2/16(日)19:30からです。