12/21(土)はじめて多摩に降り立つ

2024年12月21日 Posted in 中野note
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↑夜のパルテノン多摩

本日、初めて多摩に行きました。生まれて初めてです。
きっかけはまず海老名での飲み会に参加したことで、
これが19:30過ぎ、つまり意外に早い時間に終わりました。
そこで、そこから多摩までは割と短時間で行けることに気づいたのです。

私の年末年始の愉しみは、2024年中のクリティカル・ヒットだった
トゥキュディデスの『戦史』を別の翻訳でも読み、
『ドラクエⅢ』のリメイクをやり、唐さんの一人芝居『マラカス』を
研究することです。で、『戦史』の在庫が多摩の本屋に嗅ぎつけて
脚をのばしました。

多摩センター駅の柱にキティーちゃんがいっぱいいて、
ここがサンリオピューロランドの最寄駅なのだと思い出しました。
ついでにパルテノン多摩にも行き、なるほど丘の上の神殿に似ていると、
アテネのアクロポリスを思い出しました。

パルテノン多摩までの坂道は電飾ギラギラで、
クリスマスイベントで燃焼し尽くした大勢の子どもたちが、
お腹すいたと叫びながらウジャウジャと駆け回っていました。
午後9時ですが、彼らはこれから何か食べずには寝ない闘志に
充ちていました。

多摩センター→京王稲田堤→稲田堤→武蔵小杉→横浜
という最安ルートを選んで帰ってきています。

↓こちらはオリジナル
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12/20(金)視力のちがい

2024年12月20日 Posted in 中野note
最近、さるクラシック音楽関係者と二人で食事をしました。
県民ホールに勤めてもうすぐ2年、そんなシチュエーションが
自分にもぼちぼち訪れるようになってきたのです。

クラシックというとハイソな感じがありますが、
その方は実に叩き上げの劇場人という物腰で、百戦錬磨の雰囲気があり
自分にバイロイト音楽祭に行った時の話をしてくれました。
あの、ワーグナーの聖地であるバイロイトに、その方は2度までも
行ったことがあるそうなのです。

私はバイロイトはおろかドイツに行ったこと自体がないのですが、
以前に照明家の吉井澄雄先生から伺った話をしました。
吉井先生によると、先生の照明デザインがあのように陰影に富む
ハイコントラストを志向したのは、1961年に体験したバイロイトが
源なのだそうです。クナッパーツブッシュ指揮の《パルジファル》、
その時の劇場空間の暗さは、それまで体験していた日本の劇場とは
隔絶していたのだそうです。

そういう話をすると、一緒に食事していたSさんは、
「ヨーロッパ人の目が受ける明るさは、日本人と明らかに違う。
彼らは明らかに、日本人より3割増くらいで明るく見えているはずだ」
と言い出すのです。つまり、体質的にみんな夜目が効くようなもの。

そう言われて膝を打ちました。
ロンドンで暮らした家の、あの暗さ、間接照明で本を読み、
パソコンを打っていた日々には、節約以外にそんな体質的な違いが
あったのだと気づきました。そう。あれはきっとそうに違いない。

帰国した時、好きな時間に電気を点け、好きな時間に風呂に入り、
好きな時間に煮炊きでき、出かけられることに自由を感じました。
今も、夜中に電気をつけて、こうして文章を書いています。自由だ。


12/19(木)ぜんぜん一人芝居じゃなかった!

2024年12月19日 Posted in 中野note
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↑こういうU字磁石が「電子親友」なる存在の重要なアイテムだと
ト書きにあったので、津内口が画像をつくってくれました


今朝、唐さんが1998年に初演した『電子親友』を精読し終わりました。
物語もよく分かったし、唐さんがゲームの世界、ヴァーチャルの世界に
耽溺する人々を、うまく肯定し、ヴァーチャルな出会いにも人肌や
人情を感じていこうとしていることが伝わってきました。
なかなか暖かな、ぬくい芝居なのです。

一方で、この劇は「ひとり芝居」と銘打っていますが、
看板には偽りがあり、ありまくりました。
主人公の田口泥作(たぐち どろさく)が右往左往するなかで、
サッと舞台袖から腕だけ登場したり、人形2体がセットの隙間を
横切ったり、スタッフの人の動きも含めて、主人公のほかに人間の
気配が充分に濃厚なのです。

果ては、ラストシーン。
追い詰められて自殺を試みる田口を、スタッフたちが刑事に扮して
止めにかかるのです。正確には「刑事たちに化けたスタッフが・・」
とありますが、舞台に出てしまえば人はみな出演者であり、
役者なのですから、かなり苦しいエクスキューズです。

唐さんはもともと、一人芝居ぎらいを公言していますし、
唐(もろこし)に十人の強者(つわもの)あり、ということで
唐十郎なのですから、集団性を重んじる人なのです。
結果、思わず一人芝居の枠をはみ出してしまったのでしょう。

こうなると、残る一本の一人芝居『マラカスー消尽』がやたらと
気になります。数日のインターバルを経て、『マラカス』いってみよう!

12/18(水)年賀状お休みします〜郵便とわたし

2024年12月18日 Posted in 中野note
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↑ダイアンに贈ったカード。ぎゅっと詰めて140円。こちらは安い!

先日来、唐ゼミ☆関係者やお客様にメールをお送りしています。
唐さんが亡くなったことで私たちも喪に服する気持ちが強く、
年始のお祝いを失礼させて頂こうと考えてのことです。

毎年、津内口が苦労して舞台写真や劇団員写真を配置して年賀状を
つくってくれていました。特にここ数年は、元旦にしっかり届くよう
みんなで手分けしてメッセージを書き、12/25には投函するように
してきました。クリスマスは私たちにとって、年賀状の〆切で
過ごしてきました。けれど、上記のような理由から
今回は失礼をさせていただきます。

世の中には資源の重要性を気にする向きも強まり、
メールやLINEなどの発達から年賀状をとりやめようという方が
多いようです。加えて、郵便の値上がり。これは私たちにとっても
大ダメージで、考えてしまいます。

ですが、もともとお祝いのおハガキは合理性とは真逆をいくところに
一段深い合理性があると思うので、また来年末になったら、撮り溜めた
写真を組み合わせて作りたい。現在の自分はそう希望しています。

特に、しばらく疎遠にしている方々との交信の良いきっかけになるのが
ありがたいところです。また、歴代の年賀状はどれも気に入って、
本の栞にしているために、本棚から本を取り出した時に
ハラリと落ちたりして、愉しい気持ちになる効能もあります。

現在、ハガキの郵送日は一葉85円。
先日、ロンドンにクリスマスカードを送ったら、
封筒にカードと写真を詰めて140円でした。

後者は飛行機に乗っているのに。ハガキの遠出は割安に感じます。

12/17(火)劇団集合〜年始にむけて

2024年12月17日 Posted in 中野note
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↑発送前の台本です

今日は劇団集合して皆で作業をしました。
先々を考えながら仕込みをしているこの時期ですが、
直近の目標は年明けのリーディングワークショップです。

『唐版 風の又三郎』第1幕が目標の課題ですが、
細部は全体に宿り、全体は細部につながりますので、
断固として全編の台本を作りしました。

これを今から参加の皆さんの元にお送りして、
事前にパラパラと眺めてもらい、それで1/11(土)を迎えようと
いう計算です。製本テープを貼るのはちょっと難しいのですが、
細やかな齋藤が丁寧に貼ってくれました。

唐さんは台本を大切にする人で、ご自身オリジナルの表紙を付けたり、
しおりをはさんだりして意匠を凝らしていました。
皆さんにも大切にしてもらいたいです。

今回が上手くいったら、第2幕をやる会を設けよう、などと
夢は膨らみますが、まずは目の前の1幕です。
2021年以来、久々に『唐版 風の又三郎』に耽溺するのを
愉しみにしています。

12/16(月)『御注意あそばせ』本読みWS 第3回

2024年12月16日 Posted in 中野WS『御注意あそばせ』
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↑すき焼き食べたくなりました。年末に実家に牛肉を買って帰り、
やってみようかと思います。唐さんの庶民派センスが冴えています


軌道に乗った感のある第3回の本読み。
『御注意あそばせ』という作品が何を問題にしているか、
いよいよはっきりしてきたのが、今回でした。

主人公の「僕」はキヨちゃんのアパートに潜入して、
目の前の病院にいる「佐川君」にアプローチしようとしています。
そのモチベーションになっているのは、小説『佐川君からの手紙』を
めぐるイザコザです。

「僕」=唐さんは、当初は佐川君から、自分の引き起こした事件の
映画化を依頼する手紙を受け取っていたのです。しかし、パリまで
行った唐さんは、実事件に関わることへの警戒心と得意の妄想が
大爆発。実際に佐川君には会うことなく、佐川君と語学学校で一緒
だったという女性「K.オハラ」を唐十郎流のヒロインに仕立て上げ、
『佐川君からの手紙』を書いて芥川賞までとってしまった。

しかも、佐川君から7通受け取った私信のうち、1通を引用すら
しているのです。これでは、佐川君が自分をダシに使われたと
受け取るのも無理からぬことです。また、当の唐さんの方でも
申し訳なく思い、それでアプローチを試みているというわけです。

それで、「看守」も抱き込んだわけですが、よく考えるとこの役名も
おかしい。佐川君がいるのは病院なのですから、せめて「警備員」
とすれば良いのに・・・

というわけで、「看守」は「僕」にマッサージをさせながら、
佐川君との交信の結果を使えます。佐川君は、オハラの肉を
食べたなら会ってやろう、と、「僕」に難題をふっかけている
らしいのです。

困ったところへ、キヨちゃんが帰ってくる。
キヨちゃんはスキヤキを作り始め(肉を食べる、がこの劇のテーマ!)、
初対面の「看守」にとっては、キヨちゃんは実は、自分の見合い相手の
お兄さんだということもわかり、「看守」はキヨちゃんへの敬意を
あらわにします。キヨちゃんは「看守」をうっとうしがりながらも、
その度量の大きさから食事をともにしようと一緒に準備する。

その間、僕は再びシャワー室にオハラ幻視します。
佐川君とルネの、あの決定的な事件の時に自分も同じ部屋にいたと
語るオハラ。さらにオハラは、佐川君に会うために自分を食べろと
「僕」に持ちかけます。目前には、自分の肉を食べろというオハラ。
背後には、スキヤキができたから一緒に食べようと誘うキヨちゃん。

かなり面白い展開になってきました。
続きは12/22(日)19:30!
※年内最後の回は12/28(土)の19:30です

12/15(日)WS(米澤)

2024年12月16日
年明けの唐版風の又三郎を読むWSでは会場でスタッフをしている予定です。
僕も台本についての解説を聞きながらそこにいるのかなと思います。
公演のことをいろいろと思い出してます。

短いですが終わりです!

空。
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12/14(土)このところの成果

2024年12月14日 Posted in 中野note
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↑アルバート・スポルディングの演奏が、ホームズに似合うのではないか
と思ってきました


年明け1/11(土)-13(祝月)に行う『唐版 風の又三郎』WSの募集が
定員に達しました。いくつかの希望が重なって思いついた企画です。

①劇団員を増やしたい
②唐十郎作品への取り組み方をシェアしたい
③傑作『唐版 風の又三郎』の世界を味わいたい

と、考えて、唐ゼミ⭐︎としては初めて一般の方向けの集中講座を
やってみようと考えました。私たちの本拠地Handi Laboというのは
鶴見川の近くにある住宅街・工場街にある拠点でアクセスはあまり
良くないのですが、ここにこんな活動の場があることに親しんで
もらいたいと思って、あえて本拠地にお招きしようとも思いました。
唐ゼミ☆の創作の日常を体験してもらいたいのです。

現在、15名定員に達して、新たにお申し込みくださる方にはキャンセル
待ちを頂いています。上手くいったら数ヶ月に一回、連休のある月を
狙って継続していこうかとも考えています。どうなればありがたいです。

一人芝居『電子親友』を1周目読み終わり、明日から2周目にかかります。
まだちょっと内容が入ってこないので、今度はノートをつけながら
シーンごとのあらすじを整理して読みます。

移動や仕事の合い間には、こつこつヘロドトスを読んでいます。
『歴史』中巻に至って、ずいぶん読みやすくなりました。
この本が、要するにプロレスのプロモーションの仕組みだと
わかってきたからです。頂上決戦は、サラミスの海戦による
ギリシャ側の勝利です。その前にテルモピュライの戦いがあり、
マラトンの戦いがあります。

その前段として、ペルシャ帝国がいかに強大な国なのか、
ペルシャが苦労して制圧したエジプトの歴史も含めて物語るわけです。
強大なヒールの半生を語った後にベビーフェイスが彼を倒した方が
盛り上がるからです。そう考えると、くだくだしい前段が愉しめる
ようになりました。年末までに倒したいです。

それが終わったら、『鏡の国のアリス』を読みます。
『唐版 風の又三郎』に出てくるエリカのせりふのネタ元がアリスに
出てくることを知りながら、これまでどの箇所かはっきりさせて
いなかったので、これを機に突き止めようと思っています。
年明けに自信満々でWSに臨むためです。

年末年始はたのしみです。
息子が『シャーロック・ホームズ』シリーズを読み始めたので、
ジェルミー・ブレット版のドラマを観ながら以前に買っておいた伝記を
読めたらさぞ面白いでしょう。ホームズの弾くヴァイオリンの曲を
イメージすることにも興味があります。

できれば『ドラクエ3』もやりたい。息子の興味を惹きつけることが
できたら一石二鳥です。彼の相手と好きなゲームが同時にできるからです。

望むすべてを達成することは難しいでしょうが、
今から色々と望みを託しています。

12/13(金)あるゲーム・プログラマーの物語

2024年12月13日 Posted in 中野note
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↑初演された時のビジュアルです。演出の「骸馬二(がい うまじ)」
というのは、唐さんの別名で、要するに唐さん本人です


毎朝、唐さんのひとり芝居『電子親友』を読んでいます。
この劇の初演は1998年で、例のポケモン・ショックを受けて
書かれています。ピカチュウの発光により、多くの小学生が
緊急搬送されたという、あの事件です。
事件が起こったのは1997年12月のことでした。

唐さんの『電子城』は1989年、『電子城Ⅱ』は1991年です。
最近リメイクされ、私も年末年始にやりたいと思っている
「ドラゴンクエストⅢ」に影響を受けた台本です。

こうしてみると、ドラクエからポケモンまで10年かかって
いなかったのだという事実に気づいて、10代の数年間というものは
大変に大きな隔絶を生むものだと思わざるを得ません。

あと1週間ほどで読み終わる『電子親友』は、
プログラマーの格闘を描いたもので、唐さんなりにヴァーチャルを
生み出す人の頭の中や皮膚感覚を想像していたことがよくわかる劇です。

一方で、これが一人芝居といえるかどうか、
というのも、チラッと過ぎる人形や、人の気配や、声や、
舞台裏には三人くらいは控えていないとまわりそうにない台本
だからです。そうやって「一人芝居」という、ある種のナルシシズム
を茶化す唐さんが元気です。

どこかで挑戦できる機会をつくってみたいものです。
引き続き読みます。

12/12(木)唐さんの好きなことば

2024年12月12日 Posted in 中野note
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唐十郎を偲ぶ会で頂いたカード。
表面は唐さんのお写真。かえすがえすも優しい表情です。
裏面には唐さんの好きなことば「青春、愛、挫折、希望!」。

このことば、以前は『吸血姫』のせりふだと思っていました。
主人公の青年・肥後守がエンディングで決めぜりふとして言うのが
このフレーズなのです。

「青春、愛、挫折、希望!」と言って、劇中歌に入る。
これが『吸血姫』必殺のエンディングです。実にカッコイイ。

一方で最近、自分で『少女仮面』に取り組んでみて、
その初出が少女・貝のお婆さんのせりふだということに
気がつきました。そのようなわけで、「何よりも肉体を!」
とセットになっているわけです。

めでたく写真たてに入り、我が家のメインどころに飾っています。
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