1/28(木)ワークショップレポート(佐々木)
みなさんこんにちは。佐々木あかりです。
今回のワークショップでついに『唐版 滝の白糸』も最終回となりました。
それではレポートをお送りします!
(2013年にKAATの大スタジオで上演した際の写真)
突然ですが、皆様は「水芸」を見た事はありますか?
「水芸」というのは、演者の持つ扇子から突然水がでたり、
何もない(ように見える)ところで扇を開いたりしたりすると、
その場から水が飛び出し、
あたかも水を操っている様に見えるという日本の伝統芸能です。
参加者の皆様の中でも、実際に見たことがあるのは4人の方のみでした。
(私も機会があれば是非見に行きたい!)
そんな「水芸」ですが、『唐版 滝の白糸』ではお金をもらうために、
ヒロインのお甲さんがこの「水芸」を
廃屋と化したゴーストタウンで披露するシーンがあります。
この芝居の見せ所の一つですが、唐ゼミの上演の際には、
老朽化した雨樋(あまどい)や水道をたたくことで、
水が飛び出し、それを水芸とするという演出を行いました。
ゴーストタウンならではの「水芸」、ということですね。
中野さんは、『水芸』について
どうしたら上手くいくのかとずっと考えていたある日、
駐車場の車止めに、
錆び付いた原付バイクの排気筒をぶつけ穴を開けてしまい、
そこから漏れる排気ガスをみて、思いついたそうです。
この話を聞いた時本当にすごいなと思いました。
私ならきっと落ち込んで終わりです。。
日常から何かを吸収しようとアンテナを貼ってみようと思います。
そうしてゴーストタウン版『滝の白糸』を披露していると、
この戯曲の悪役で、
先週出てきた《ツルリズム》こと工事人夫達がやって来て
無言でゴーストタウンの取り壊しを始めます。
彼らの衣装を〈白〉でツルハシを〈赤〉にして
《ツル》の様な見た目にする演出をしたそうです。
彼らにゴムホースを切られ
『滝の白糸』が舞えなくなってしまったお甲さんですが、
芸を続けるべく、自らの手首を切り水道管に血を垂らします。
すると赤い滝がのぼり、
流しが空飛ぶ流しとなって客の頭上を飛び交います。
なぜ赤い滝なのかというと、
水道管は血管の様に全て繋がっているので、
1箇所に垂らすと全ての水道管の水が血で赤く染まり、
血の水が溢れ出すというからくりです。
お金という生活のためのものを奪いあう戦いは、
赤い『滝の白糸』芸で大スペクタクルを迎えます。
10万円は一体誰のものになったのか、
ゴーストタウンはどうなってしまったのか
そして彼らの今後は?
気になる事はたくさんありますが、
この戯曲はここで終わりです。
参加者の皆様、2ヶ月間お疲れ様でした!
来週からは1973年に蜷川さん率いる櫻社に向けて書かれた
『盲導犬』を読んでいきます!
ちなみに、この作品は『唐版 滝の白糸』に雰囲気が似ているらしいです。
(私も今読んでいます。)
次回もよろしくお願いします!
1/21(木)ワークショップレポート(佐々木)
みなさんこんにちは。佐々木です。
本日は1月20日のワークショップの
レポートをお送りします。
ついに『唐版 滝の白糸』も終盤。
主人公アリダ君の持つ10万円を巡って
ヒロインお甲さんとタカリ男の銀メガネの戦いもヒートアップ。
そこにお甲さんを心配して(本当はお金をもらえたか確認しに・・。)
小人症のプロレスラーたちが登場するシーンから
始まりました。
今回は台詞の言い回しについて2つほどとりあげたいと思います。
まずは一つ目。
アトム『そは永劫の敵、鶴だ!空という空に鶴!鶴、鶴、鶴だ!』
(中略)
小人4『ミニタリズムにキャピタリズム、ナチズムにシオニズム。
アラヴィズムにツルリズム。』
アトム『すると何だ、おれたちの闘っている鶴とは皆、カタカナの化物か!』
小人たちの戦いについて、上記のようなセリフがあります。
このセリフ、私は歯が立たなかったのですが、解説しますと、
そもそも〈イズム〉つまり〈主義〉を持つことができるのはお金持ちであり、
貧乏な彼らにとっては全てが敵に見えます。
そして彼らの永劫の敵は「鶴」なので、(これは中国の小人伝説がモチーフ?)
最大の敵は《ツルリズム》。というロジックです。(もちろんそんな主義ありません)
ですから、小人4のセリフに出てくる〈イズム〉を全て同じに言ってしまっては駄目で
《ツルリズム》という言葉だけが単独で立ち、またその面白さを伝える必要があります。
意味がわからないと、セリフを正しく発声できない。
細かい様で大切な事なので今後も何度も出てくるポイントになりそうですね。
(しかし、《ツルリズム》って・・・)
そして、もう一つ。
お甲さんの台詞で
誰かが手首を切ってその血をたらしたら、月は赤い月。
流しのセンを抜けば、それがとぐろをまいてジョウゴに流れ込むでしょう。
という部分があります。
この台詞のポイントは、ずばり速度にあります。
血がポタポタと垂れる速度。とぐろをまいてジョウゴに流れ込む速度。
この速度に合わせてセリフを言う事で情景がより伝わります。
今回私もこの部分を読ませて頂いたのですが、ついつい早く読んでしまいました。
アドバイスいただき、セリフの速度をイメージに合わせて読んでみると
セリフの中に「体感している」というリアリティが出てきたのを実感しました。
速度一つでここまで差があるとは...。
大変勉強になりました。
来週のワークショップはついに『唐版 滝の白糸』最終回。
10万円の争奪戦はいよいよクライマックス。
自分の『芸』を見せて、お代をもらおうと思いつくお甲さん。
その芸こそが『滝の白糸』芸。
しかしそこに、真の敵《ツルリズム》が姿を現します。
来週もよろしくお願いします!
1/15(金)ワークショップレポート(中野)
1/14(木)ワークショップレポート(佐々木あかり)
こんにちは。佐々木あかりです。
本日も13日に行われたワークショップレポートをお送りします!
昨年から読み始めた『唐版 滝の白糸』も物語の中盤。
『唐版 滝の白糸』の登場人物は主に3人。
主人公アリダくんとヒロインのお甲さん、そして"タカリ男"の銀メガネ。
ようやく三人が揃ったシーンに差し掛かり、
お甲さんの本性がチラチラ見えてきます。
今までは二人での対話がメインでしたがここからは三人になり、
一人増える事で当然会話が複雑になります。
その中で『第三者をどう扱うのか』が本日のポイントでした。
例えば、会話に混ざっていない人に対して、
聴こえないようにセリフを言うのか、わざと聞こえるように言うのか。
内緒話なのか、嫌味を言っているのか、
きちんと読み解いていく必要があります。
これ、私も良く間違えて読んでしまうので大変耳が痛かったです。
正しく読むには色々な文章を読む必要がありそうです。
読書量を増やさないと!
また、会話の中になんとも陰険な部分が出てきたのが面白かったです。
アリダ君の持つ10万円を巡って銀メガネとお甲さんはライバル関係にありますが、
お甲さんを責めすぎれば、銀メガネはアリダくんに嫌われてしまう。
これが弱みになって適度にバランスを取るのがおもしろい。
アリダ君に嫌われたくない銀メガネは、ソフトに、ソフトに
お甲さんが水商売の女であり、ふしだらで自己中心的な人間であることを
あらわにし、アリダ君が彼女を嫌うように仕向けます。
お甲さんはお甲さんで、
女性経験の少ないアリダ君の前で泣いて見せることで、
自分が被害者であることを強調します。
こう言う場面のやり取りは、
アリダ君のリアクションが上手くできると
グッと上演に深みが出るのだなと思いました。
ところで、
今まではアシスタントとしてワークショップに参加していましたが、
実は今回、初めてせりふを読みました。
とても楽しかったですが、まだまだ未熟だなあと痛感しました。
次回も皆様と一緒に楽しみながら、唐十郎戯曲を読み、学びたいと思います。
暖かく見守って頂ければ幸いです!
『唐版 滝の白糸』のワークショップも残り2回。
三人の会話に小人プロレスラーたちが加わり、
物語はいよいよ終盤へとなだれ込みます。
来週もアシスタント兼参加者の一人として
よろしくお願い致します!
(ワークショップ中のデスクはこの配置で落ち着きました。
いつも似た写真なので、来週は面白いものを・・!)
1/7(木)ワークショップレポート(佐々木)
あけましておめでとうございます。
劇団員の佐々木あかりです。
今日はワークショップのレポートです!
今日のワークショップは物語の中盤、4人目の登場人物である
「羊水屋」という男が出てくる所から始まりました。
それでは、ワークショップの見どころを紹介していきます!
まずはカタカナの単語について。
端的にいえば
「カタカナの難しい言葉はなんかすごそうだな」という話です。
実際に羊水屋のセリフで、
『フランチャイズ』『テリトリー』『プレミア』
という単語がまとめて出てくる所があります。
しかしよく読むとこれは特に意味はなく、実は小難しくて凄そうに聞こえるように言っているだけです。
確かにカタカナが羅列していると複雑な事を言っているように感じますね。
そして小人プロレスについて。
『唐版 滝の白糸』では、ヒロインのお甲さんの住むアパートに
小人プロレスのレスラーが7人住んでいて、
お甲さんが彼らの巡業についていくほど仲良く暮らしています。
私は知らなかったのですが、皆様は小人プロレスをご存知でしょうか。
小人プロレスとは、正称がミゼットプロレスと言って、
女子プロレスの前座として行われていた
低身長症の人が試合をするプロレスの事です。
なぜ急にこの作品に小人が出てくるのかと言うと、
『オズの魔法使い』にはマンチキン(小人)という小人が出てきます。
『唐版 滝の白糸』は『オズの魔法使い』からインスピレーションを受けている部分が多数ありますが、
小人の登場も『オズの魔法使い』から繋がっているとは。
新たな発見でした。
そして、ようやく登場するヒロイン。
「お甲」さんのアリダくんへの巧みな感情の揺さぶり。
女性経験の少ないアリダくんに対して
女の涙や愛情を上手く使い
どうにかお金を引き出そうするお甲さん。
何という作戦でしょう。
女として学びたい技術です。
今回のワークショップは比較的ゆっくり進んでいきました。
次週は物語もいよいよ終盤に向かっていき、複数の登場人物が出てくる面白いシーンになっていきます。
来週もよろしくお願い致します!
12/28(月)ワークショップレポート(佐々木)
こんにちは。劇団員の佐々木です。
今日はワークショップのレポートです。
今回から毎回ワークショップのレポートを私とちろさんで
ゼミログにアップします!お楽しみに!
今月のワークショップの題材は唐版滝の白糸。
昨日は4回目でした。
中野さん曰く先週までのテーマをまとめると
オズの魔法使いを見ておいた方がいいよ。
だそうです。
あれ、そんなに簡単な話でしたっけ...
(久しぶりに読み直しました。なかなか面白い。)
今回のワークショップは、いつもよりだいぶ
実践的で
内容の読解はもちろんですが、台詞として言葉にする事への
アドバイスが多かった様に思います。
時間の流れの整合制が取れているか確認する。
唐さんの戯曲はどうしても現実的ではない様に思えてしまうので、
時間とか時代とか存在しない気がしてしまいます。
私も時々その罠に引っかかりかけて
よくないぞ!と思いながら読み直すことがあります。
この作品の日は5月5日と銀メガネが言っている。
ヒロインお甲さんとアリダくんのお兄さんの心中未遂があって、
お甲さんが去年の暮れに子供を産んで
今5ヶ月の子供がいる。
アリダくんに会うのがアリダくんの兄の1回忌。
これは台本に書いてある事実だけなので、
ちゃんと筋が通っている。
当たり前だけどそういうちょっとしたことが
読んでてわけわからない事態を防いでくれる。大事ですね。
そして私が実践的だなと思った部分で
言葉のどこに句読点がつくか
どの言葉を立ててしゃべるかで
言葉がどこにかかるかが変わる事について。
これ、難しくはないはずなのに間違えた使い方をすると
意味や立場がガラッと変わってしまうから本当に厄介です。
でも逆に、句読点と言葉を立てるのが上手くいくと
本当にスッキリとわかりやすい文になるので
役者としては問題なく使いこなしたいと日々感じます。
そして言葉のアクセント。
アクセントって本当難しいですよね。
でも正しく伝えるためには大事です。
『製品』のアクセントについて話しましたが
私は間違って覚えていました。直します。
年明けも引き続き題材は『唐版 滝の白糸』です。
アシスタントは佐々木あかりが務めさせて頂きます。
よろしくお願いします!
(年末の金欠の原因はきっとこれですが勉強になるので良しとします)