10/29(水)『木馬の鼻』本読みWS 第2回

2025年10月29日 Posted in 中野WS『木馬の鼻』
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↑屋上に観覧車を含む遊園地を残す「かまたえん」(木馬はいません!)
このように、全国で数件は残って頑張ってくれています


『木馬の鼻』の主人公「谷也」の職場はデパートの屋上遊園地です。
この屋上遊園地という設定自体、いまは失われつつあるもの、
懐かしいもの、という感じがあります。

そもそも、デパートとか百貨店という存在は、
かつてとても輝いていたのだと思います。
なにしろ「百貨」ですから、「すべての物が買える!」という夢、
大袈裟に言えば、人類の気概と希望!を感じます。

アニメで『サザエさん』を観ると、デパートに行く際は
オシャレや正装をしている向きがあって、単なる買い物を
超えたハレの機会であったことが伺えます。

同時に、とても子どもの多かった高度経済成長期に、
アミューズメントパークとしてもデパートが機能した。
屋上遊園地はそういう子どもたちの楽園を思わせます。
メリーゴーランドに乗り、レストランでお子様ランチを食べる。
至福の時であったことは簡単に想像できます。

上野で成長した唐さんは、松坂屋の屋上でバルーン広告の
見張り番のアルバイトをしたことがあるのだそうです。
ああいった広告もいまでは見かけません。

ただひさすらバルーンの見張り番をしながら唐さんが
どんな時間を過ごし、どんな着想を得たか、想像するのは
愉しいことです。

10/27(月)『木馬の鼻』本読みWS 第2回 その①

2025年10月27日 Posted in 中野WS『木馬の鼻』
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↑箪笥のなかの寝室に引きこもって休もうとする「谷也」
(唐ゼミ☆2014年公演より、撮影:伏見行介)

先ほどまで、オンラインWSを行いました。
昨日がリニア新駅でのイベント予備日にあたっていたので、
前回の火曜開催に引き続き、今回は月曜開催ということになりました。
それでもお集まりいただき、ほんとうにありがたいです。

『木馬の鼻』2回目の本読みです。
先週に読んだところにも少し戻って、「谷也」の登場から読み直し
ました。「谷也」はデパートの屋上遊園地の清掃員。それが、
あるしくじりをします。園の花形であるメリーゴーランドの
木馬の鼻に鳩のフンがこびりついたのを最後のとっておきに
したところ、これをすっかり忘れて終業時間になってしまったのです。

それに気づいた「谷也」はバケツと雑巾片手に戻ろうとしますが
上司に規定時間外の仕事を禁じられ、掃除道具すら、家に帰って
きれいにしろと言われる始末で、それで、バケツと濡れ雑巾を抱えて
自宅の箪笥屋に帰ってきたということでした。

それまでイチャついていた姉「竹子」とお隣のラーメン屋「市」が
手をとめて帰宅した「谷也」を気にするも、「谷也」は仕事着のまま
箪笥の中に入っていきます。劇冒頭から「竹子」が寝室に仕立てて
いた箪笥は、「谷也」の部屋だったのです。

着替えもせず、風呂にも入らず狭い空間に自らを押し込めようと
する「谷也」を「市」はたしなめます。すると、自分がどうして
ナーバスになっているかという上記の失敗が、「谷也」の口から
語られるのです。

と、そこへ、来客です。
「谷也」の職場であるデパートから、遊園地を管理する庶務部の
「林原課長」と、遊園地を任されている園長「天雨(あまさめ)」が
やってきます。

最初は「竹子」に対して世間的な挨拶を交わし、言葉も丁寧だった
二人ですが、やがて、「谷也」の仕事がいかにダメかを咎め、
さらに、明日の幼稚園・保育園生への開放日に木馬の鼻に鳩のフンが
こびりついている弊害を熱弁します。その上、
実際の木馬を箪笥屋に引っ張り込み、ここできちんと掃除をしろ
と迫るのです。

仕事を言いつけて食事に出かけた「林原」と「天雨」。
残された「谷也」を励ましつつ、「竹子」と「市」は手伝います。
すると、家族と友人の情愛により、「谷也」は少し元気を取り戻す。

・・・上記が読んだ箇所のストーリーです。
続きの解説はまた明日。

10/21(火)『木馬の鼻』本読みWS 第1回 その①

2025年10月21日 Posted in 中野WS『木馬の鼻』
『木馬の鼻』オンラインWSが始まりました。
いつも、このワークショップでは台本が書かれることになった背景から
話をします。必然、唐さんが横浜国立大学の教授になった経緯や、
高校時代の私が所属先である教育人間科学部マルチメディア文化課程を
目指すキッカケになった話から、本読みを始めました。

ことに、唐さんを大学に呼ぼうとした室井尚先生の存在は重要で、
実際に台本の中にも、それは色濃く反映されています。

いままで、さまざまな資料をもとに行ってきた説明が、今回は
ひたすら自分の個人史も絡めて話すのが変な感じもしましたが、
必ずや『木馬の鼻』の理解につながると考えてお話ししました。

幸いにして、現在はYouTube上に、
唐さんが1998年に出演したNHK BSの深夜番組
『20世紀演劇カーテンコール(司会:扇田昭彦さん)』が
アップされています。

この中で放送されたのは『ジャガーの眼』初演の抜粋版ですが、
その前段として扇田さんと唐さんが対談をしたところに、自分は
相当、影響されました。ネット検索を知らなかった当時の私にとって
唐さんが大学で教えていることを知ったのは、まさにここだったから
です。また、1997年10月に行われた初講義の様子も、
「KARA JURO YOKOHAMA」で検索すると伺うことができます。

さらに、樋口良澄さんが岩波書店にお勤めの時代に編集して下さった
『教室を路地に!』を読むと、そのあたりのことは室井先生によって
かなり詳しく描かれています。

Amazonで探すと、なぜか定価より高価な新品がいくつもあるようです
(3,200円くらい)。手にとって読んでもらえるとありがたいです。

↓『教室を路地に! 横浜国大vs紅テント2739日』(岩波書店)
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