10/31(日)カーテンコール〜禿恵
先ほどまで『少女仮面』WSをしていました。
レポートは明日、アシスタントの佐々木がしてくれます。
皆さんと台本を読んだ興奮もあり、気持ちを切り替えてこれを書いています。
10/17(日)の千秋楽を終えてから今日で2週間が経ちます。
ハンディラボでの片付けを終えてホッとしながらも、
私たちは緊張感を持って過ごしてきました。
日付が変わったところで、コロナ的にも一区切り。
そのような感慨で今を迎えています。
☆禿恵(とく めぐみ)
禿とは大学入学と同時に会いました。同じ学課の同級生。
彼女の姓の頭文字は「と」、私は中野だから「な」。
隣り合わせの学籍番号を持つ私たちは同じクラスに配属されました。
初対面の時、彼女の髪の毛はオレンジ色。
興味の対象が違うことは明らか、ひと目で話の通じない相手だと判りました。
こちらは名古屋から来た演劇青年、唐さんに教わることだけを目標に
入学したのです。これからたくさんの舞台を観る、戯曲を読む、
何とかして芝居づくりにたどりつく。そのことだけを考えていました。
私たちが関わったのはそれから約一年後。
こちらが先行して入っていた演劇サークルに、なぜか禿と椎野が入ってきた。
彼女たちはそこでは裏方をしていましたが、そのあと数ヶ月後、
いくつかの理由があって私たち三人揃ってサークルをやめることになった。
そして唐さんに鍵を借り、木曜日の他は教授のいない唐十郎研究室に
入り浸るようになった。何をすれば良いか分からなかったけれど、
集まって話をするようになりました。
大学3年生になった時、私たちは正式な唐十郎ゼミナール生となり、
お題を課せられます。唐さんの選ぶ『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』
を上演するべし。当時はちんぷんかんぷんでしたが、私も役をやるように
言われ、禿と椎野はダブルキャストで「お仙」を演じました。
先陣を切ったのは禿。
第三幕を稽古していた時に、禿が異様な集中を見せ始めた。
唐さん得意の長ぜりふを最初にものにしたのは彼女でした。
大学3年といえば、人並みに将来に迷う時期です。
劇全体は滅茶苦茶だったけど、あの長ぜりふからエンディングに至る
感触が、私をほんとうの意味で劇の道に、唐作品へと惹きつけました。
以来、禿には回り道をさせてしまいました。
当時の禿には美容師になりたい夢もあり、椎野が主役になっていく。
『盲導犬』で再び主演もしたけれど、対抗馬のクセの強い役ばかりをやって、
禿はともすれば、面白い人になり過ぎてしまった。
『黒いチューリップ』の「ノブコ」、『鐵假面』の「暁テル子」
『木馬の鼻』の「群馬(ぐんま)」はストレートに似合いで、
変わったところでは、『下谷万年町物語』の「軽喜座の座長」や
野外劇版の『青頭巾』で演じた「カラス」が印象深い。
それから、これは実際に演じたわけではないのだけれど、
『お化け煙突物語』の稽古中にやってみせた「蜂丸」のせりふ
「夏が来れば、思い出すだろ?」には抱腹絶倒しました。
別に何ということはないせりふにも関わらず、
出身である福井県と禿独特のイントネーションのブレンド、声色が
ひねこびて恨みがましい役柄と相まって、今も耳にこびりついて離れません。
禿は、平地と見える場所にお宝を掘りだし、
何でも無さそうなせりふを、独自の感性でコミカルにする名人になった。
それが、椎野の妊娠とともに『腰巻お仙 振袖火事の巻』から真ん中に戻ってくる。
禿が一番に覚醒した『腰巻お仙』シリーズでのヒロイン復帰。
年齢的にはかなり強引なセーラー服姿は計算通り面白く、
禿がトップに出るおかげで、唐ゼミ☆公演に笑いの要素が増えていく。
『ジョン・シルバー三部作』の「小春」も、禿が演じると妙な面白さにつながる。
失踪した夫を追いかけ回す姿は椎野がやれば剛速球の狂気になり、
禿がやれば可笑しさと哀しみが共存して、その粘着性が際立つ。
この『三部作』は思い出深い。我ながら、さらに派手な構えでやれば、
もっと禿が評価されるはずだと思う。それだけの仕事を彼女はしました。
『唐版 風の又三郎』初演を終えた時、自分は禿に不満でした。
千秋楽を終えた帰りの車を運転しながら「お前はもっとできるだろう」
そう言って、後部座席でくたびれていた禿とケンカしました。
今回の延長戦は褒めてやりたい。
どこか苦手としてきたヒロイック・パートと充分に渡り合いつつ、
自分が大好きなシーンを生み出してくれた。それは二幕。
フンドシ姿の帝國探偵社チームと罵り合う場面、禿が完全に遊んでいるように見えた。
「感じろ、感じろと言ったって〜」のくだりで、緩急自在、
書かれたせりふであることを感じさせない喋り方をした。
雄也くんの肩にもたれかかりながら、脚をヒラヒラさせる動きも良かった。
自分はああいう瞬間をつくりたかったんだと思います。
実は二枚目なシーンは、学生時代からそう変わりません。
当時から役者を追い込んでいけば、これぞ唐十郎という名ぜりふに導かれて
天を突き刺すような叫びが生まれました。
他方、観客と劇をもてあそぶような瞬間は、経験を経てしか手に入らない。
真剣さと余裕と遊び心と。絶妙なバランスが愉しさを導き出す。
清潔な愉しさ。ことばがや仕草がその場で生まれているような即興性。
毎回が違って、演者みんなが本当の意味で適当。それでいて、
数分後にはドライブがかかり、物語の求心力が確実に発揮される。
テント幕の隙間から観ていて、掛け値なしに面白かった。
ああいう瞬間を宝物にして欲しいと思う。
不器用な性格から回り道も多いけれど、自分の備えている地力を信じ、
周囲の期待を力に変えて欲しい。私は同級生に恵まれたと、心から思います。
11/24(火)現場入り16日目〜完全撤収
トラックやハイエースを結集させて皆が荷積みや掃除をする一方、
私自身はお世話になったさまざまな方々を訪ねて、歩き回りました。
新宿区の皆さんや公演管理事務所の皆さん、警備員さん、
歌舞伎町タウン・マネージメントや歌舞伎町商店街振興組合
近所の交番や熊野神社さん、ハイアットリージェンシーさん、
ラジオ体操の役員さん、本番中に静かにするよう取締りを
勝って出てくれた方まで。
本当にお世話になりました。
今日からようやく11月らしい気候に。
曇天で、時には小雨も降りましたが、ここまで続いた幸運を思えば
何でもありません。
午後2時半には積み込みを終えて、落ち葉を拾い集め、
皆で整列しながら前進して地面をくまなくチェック。
16日間を完全燃焼した新宿中央公園を後にしました。
その後、かなり久しぶりの感のあるハンディラボに帰ってきました。
広いこの倉庫の作業スペースを埋め尽くす機材、資材、道具、衣装の数々。
改めて見ると途方に暮れるようなの物量が、
あの劇場空間と舞台を構成していました。
午後10時までかかって作業し、残りは明日に持ち越すことに。
いよいよ明日で一区切りつきます。
翌日は10:30に会おうと約束して、皆、帰宅して行きました。
11/23(祝月)現場入り15日目〜バラシとお別れの準備
千秋楽から一夜明け、一気呵成に舞台と劇場を解体。
組み上げる大変さに比べて、片付けの何と速いことか。
資材を仕分けながら、
ああ、この座組みも解散なのだという感慨が湧いてきました。
春に集まったメンバーでZOOM本読みを重ねました。
最終的に加わった気田睦さんとヒガシナオキの合流により座組みは完成。
よく稽古をし、よく作業をし、
みんなでお客さんを誘導して、総力戦で公演を築きました。
良いメンバー、申し分ない贅沢なメンバーでした。
ここで、劇団外から参加してくれた面々について、
改めて感謝とともにご紹介したいと思います。
【福田周平 珍腐 役(真ん中)】
劇団員の熊野が共演した縁で参加してくれました。
帝國探偵社のトリオの中で、もっとも生真面目で、
それが故に可笑しさのある珍腐を、生真面目に演じてくれました。
「唐作品はどうして前を向いて喋るんですか?」
という根源的な質問に応えてした
コインパーキングでの稽古が忘れられない。
福田君には「王様は裸だ!」と言ってのけるような大胆さがあって、
けっこう追い込まれた私は全身全霊でこの問いに答えることになりました。
2幕の「ゴツン!」といういささか無茶なせりふを実に巧みに言うのを、
私はいつも楽しみで舞台を観ていました。
【宮本悠我 電話できなかった自衛官(真ん中)】
横浜の劇団虹の素に所属する俳優です。まだ10代。
けれども実力は確かでパッションに溢れています。
3幕、熊野に絡んで職務への熱意を見せるシーンに
彼を送り出せることは、とても贅沢なことでした。
大道具の仕事もプロで、演じながら、
さりげなく舞台の仕掛けを起動させたりもしてくれました。
【小山祥平 喪章を付けた男(一番左)】
現役横浜国大生。後輩です。普段は映像製作をしている。
彼はノリがよくて、本領では無い演劇にいつも興味を持って
参加してくれます。おばあちゃん子であり、高齢者施設で
アルバイトしているからか、写真のシーンで老婆をあしらう
笑顔が堂に入っていました。2幕で高田を糾弾するせりふがどんどん
上手くなったけれど、俳優を目指しているわけでは無い彼の今後に
あの能力は役に立つ日が来るのだろうか。
【小林敏和 自衛官のリーダー(一番左)】
3幕でソーセージ片手に禿を追い詰める自衛官を演じた彼は、
本来ダンサーであり、映像の役者でもある。
さすが身体の仕上がりが違う偉丈夫であり、当然、動きがキレる。
唐十郎という存在に圧倒的な関心を持って、年明けにバーはる美を
訪ねてくれた。唐さんのせりふや複雑な段取りに四苦八苦したことも
あったけれど、興味を持てばニューヨークのハーレムにも乗り込む
突撃力で、せりふもものにしていった。
休憩時間、『特権的肉体論』についてトシトシと話していると
こちらまで学生時代のように熱くなってくる。
【ヒガシナオキ 淫腐(左から2番目)】
劇団を上手く辞めるのは難しく、戻ってくるのはさらに難しい。
それを体現してくれた人間性に、私は感謝と敬意を持っています。
社会人も経験し、しぶとく演劇を続けている彼は、
大人になった責任感や有能さ、演技と、あまり変わらないなあ
と感じられる表情を次々と見せてくれました。
ナイーブだった彼が、嬉々としてわざと贅肉を付けた身体を晒している
のを見ると、真の"プライド"とはこういうものだと納得する。
男の顔になったな。
【佐々木覚 高田三郎(右)】
『ジョン・シルバー』シリーズに引き続き、今回も参加してくれた
劇団820製作所の主演俳優。
普段は穏やかな佐々木君の表情、その彫りの深さにはどこか陰りがある。
だから、"死の青年"たる高田役をお願いした。
皆がこぞって自分について喋り、どんな奴だろうとお客さんに期待されて
出ていく愉しさを味わってもらえたと思う。
3幕でエリカが高田に後ろ髪ひかれるシーンを本番中も何度も稽古して、
これまでにない説得力を示してくれた。くれぐれも、普段は優しい人です。
【竹林佑介 宮沢先生(右)】
福田君と同じく、熊野と共演した縁で参加してくれました。
俳優らしい俳優。こちらのオーダーを受けて、作品のテーマの一つである
"変装"を次々に重ねるこの役をものにしてくれた。
演じわけにより優れてキャラクターを作るだけなく、
時には竹林君自身の声でせりふを自分のことばにして伝える術を一緒に探しました。
フィジカルが強く頼り甲斐があって、休憩時間には
内田光子さんのCDを聴くのに付き合ってくれた。どうもありがとう。
【丸山正吾 夜の男(真ん中)】
レギュラーメンバーとも云える役者です。みんなが彼を慕っている。
"変態"でなく"変態にならざるを得なかった"夜の男を一緒に追究しました。
2幕で伝説の男・樫村にビビりながら歯向かうところ、楽しみにしていました。
俳優がいかにも、このせりふを自分は好きなんだ、
この所作や場面を自分は好きなんだ、と全身で訴えながら演じる時に、
やっぱりお客さんも嬉しくなる。そういう役者です。
【気田睦 大学生(左)】
気田さんが「大学生」を受けて下さったことは、
今回の公演に起こった僥倖のひとつでした。
軍人家庭の末弟たる誇りと、厳格すぎる故の哀しさを生きてくれました。
他の共演者に送り続けてくれたエールや、
ダブルキャストによる稽古不足の不安に慄く新木とちろを辛抱強く
受け止めて下さった大きさに深謝します。どこかでこの恩を返さないと。
気田さんの小道具の捌き、リズムの作り方を、劇団員も見習って欲しい。
【鳳恵弥 桃子】
これまで桃子役に与えられてきた評価をどうしても覆したくて、
鳳さんの力を借りました。この役は夜の男に鉄槌を喰らわす重責だけでなく、
しっかりと織部に絡むんです。状況劇場作品はどうしてもヒロイン偏重で、
他の女性役に分量が裂かれない傾向にある。
けれど唐さんは、高田やエリカを中心とした三角関係の他に、
織部を中心とした三角関係も成立させたくてこの役を造形した、
それを体現しようと、鳳さんと一緒に目標を立てました。
3幕への振りとして、2幕までをちょっとコミカルにし過ぎた嫌いも
あるけれど、彼女の思い切りの良さに支えられました。
・・・とこう書いていると、だんだん感傷的になってしまう。
どうかまた一緒に仕事をしましょう!
最後に、千秋楽の直前にみんなで撮った写真を紹介します。
11/22(日)現場入り14日目〜『唐版 風の又三郎』千秋楽
今日も晴れました。そして昨日より温か。
朝、皆を集めて、終演後の段取りを打ち合わせました。
今日は唐さんが来て下さる予定になっていました。
唐さんに私たちの芝居をご覧いただくのは、
実に2014年1月以来のことです。
5年の間、どんな風に私たちが台本と向き合い、
そこに響く唐さんの声に耳を澄ませつづけて来たのか、
その成果を観ていただきたいと思いました。
唐さんが思い、書きつけたことを、
自分たちが汲み取れているかどうか、
それを舞台の力に昇華させて、役者たちが体現できているかどうか。
5日目の本番を受けた私からにアドバイスはほんの数点でしたが、
皆、いつもより念入りにアップしていました。
古参メンバーの、久しぶりに唐さんをお迎えする緊張。
最近入ったメンバーの、初めて唐さんに会えるという嬉しさ。
それぞれの高揚が相まって、千秋楽直前をして稽古に精を出しました。
日曜なのでお客さんの集まりも早めで、
何としても定時に芝居を発進させたい私たちには大助かりでした。
そして14:00きっかりに開演。
皆よく声が出て、身体がキレていました。
思い切りは良いけれど、怪我や事故に結びつくような危なげはない。
積み上げて来たものが生きたラストステージでした。
カーテンコールをして、唐さんも登壇をして、
コロナ禍を切り抜けた千秋楽に駆けつけて下さった記者さんたちに
取材も受けました。そして、唐さんや室井先生を中心にして、記念撮影。
欲張りな一日でしたが、これをやり切りました。
そして今、再演について考えています。
観に来られなかった方、定数制限によりお断りせざるを得なかった方、
もう一度観たいとリクエストして下さる方の期待に応えたいと思っています。
何より、『唐版 風の又三郎』のもっと先の可能性を考え抜きたい。
もちろん、同時に、まだやったことのない別の演目も追究したい思いも
溢れて止まりません。。
今日は欲張りです。次から次へと、もっともっとという気持ちが湧いてきます。
先ほど、唐さんに接したからかも知れません。
唐さんに会うと、何故だか疲れを忘れて、夢ばかり膨らんでしまいます。
11/21(土)現場入り13日目〜公演5回目
今日は1幕を終えたところから急に冷え込みました。
考えてみれば11月下旬。これまでが恵まれ過ぎだったとも云えます。
すぐさまホッカイロをお客さんに配る。
ずっとストックして使わずにきたのが、ここでやっと活躍することに。
今日、現場に遅く入った禿は、
昨日から喉の調子が悪く、医者に行ってきたようでした。
全体にはいよいよお互いの連携が高まり、場にも慣れて芝居は登り調子。
しかし、如何せん声や喉は消耗品、どんなにケアしていても
あれほどまでに喋り、叫んでいれば、どうしても負担がかかる。
昨日の劇中歌練習からすでに不調は明らかでしたが、
何とか4日目の公演を乗り切り、
今日は禿を別動させることにしました。
残すところあと二日間、なんとか保ってくれよと
祈るような気持ちでいましたが、
お昼にやってきた彼女は「いけなくは無い」という表情をしていました。
話は少しズレますが、ここにきてようやく
私たちはこの新宿中央公園での公演に慣れてきました。
単に芝居を通すだけでなく、それが「公演」であるためには、
劇の他に様々な要素を整える必要があります。
受付の仕方や、お客さんの案内の方法、本番中に広場に集まってくる
皆さんに静かにして下さるようお願いするやり方まで。
初日以来、さまざまな局面で発生する摩擦をちょっとずつ、
少しずつ解消しながら、やりくりしてきました。
それが今日の本番開始直前、「あ、これでこの場所での公演が完成したな」
と実感できた。それほどまでに、本日の開演準備はスムーズに運びました。
それから、いつもの前説に立つ寸前、私は女子楽屋に禿を訪ねて、
今日はどのくらい強気のあいさつをしたら良いかを訊きました。
彼女のコンディションによっては、勢いに溢れ開始より、
落ち着いた感じの開演コールの方がフィットすると思ったのです。
禿の答えは「昨日の声の出を10とすると、今日は11くらい」
・・・それならイケると思いました。
例え緩やかでも、要するに右肩上がりには違いない。
そういうわけで、今日はさらに、自信満々の開演コールにしました。
結果、禿は確かに昨日より調子を上げていたように感じました。
役者の様子を見ながら、あとは任せた!という思いで
いつも開演前のステージに進みます。
11/20(金)現場入り12日目〜公演4回目
公演4日目の今日は曇天。
湿気が出て暑いほどでした。
昨日からの強風に加えて、昼間には小雨がパラリ。
公演には影響なく、助かりました。
新宿中央公園の落ち葉の量は半端ではなく、
朝にテント内を見て笑ってしまいました。
一晩かけて見事に吹き溜まっている。
これはもうチマチマやってもくたびれるだけなので、
稽古や食事、メイク、劇中歌の練習をいつもより早めに済ませて、
開場寸前にまとめて落ち葉をやっつけようという作戦にしました。
あれだけあれば、どれだけ焼き芋が焼けるか。
昨晩の小池都知事による会見は、
私たちにとっては、何とか千秋楽まで公演できそうだという
希望を持たせました。一方で、日々感染者数が増大していることは
純然たる大問題で、座組みやテント劇場の中から病気が、
ましてクラスターが発生しないよう、薄氷を踏む思いです。
本番中は元気いっぱいなのですが、
人によって疲労が目立つメンバーもいる。
喉もだいぶくたびれてきていて、主演の禿恵や、
重村大介、佐々木覚、小林敏和など、
舞台の進行をオペレーション室から観ていると、
かなりハラハラさせられました。
吹きすさぶ強風と舞い込む落ち葉。
それから、やたらと通り過ぎる本物の飛行機はなかなか良い味を出していましたが。
ここまできたら、何とか日々を全力でやりつつ千秋楽まで保たせるしか無い!
風邪の予防とコンディションの回復。
明日は30分遅らせて9:30集合。
11/19(木)現場入り11日目〜公演3回目
未明、目が覚めました。
時計を見れば午前3時半。
なぜ起きてしまったのかというと、
終電上等の猛者、スケートボーダーが夜中じゅう、
孤独に練習を繰り返していたからです。
もう、ゴーゴーゴーゴー響いてくる。
私は良いのですが、一緒にテント番をしていた佐々木覚が気に掛かる。
彼は今回、高田三郎を演じて死の匂いをさせています。
3幕の畳み掛けるようなせりふのために少しでも多く眠り
温存して欲しい。
長編『唐版 風の又三郎』はとにかく多くの人間がよく喋る。
最後まで保ってもらいたいと切望しています。
午前9時に集合してからはいつものペース。
今日は記録用の映像撮影を計画していたので、
横浜国大の後輩たちがカメラとともに来てくれました。
それに応えてか、芝居の出来はゲネプロも含めた4日間で
もっとも充実していました。
朝から吹き始めた強風にテントや楽屋が煽られたり、
大量の落ち葉が劇場に舞い込んで、終始これを掻き出していましたが、
常に北風ばかり吹いている劇の内容にこの強風、
幸か不幸かマッチしていました。
上演を進めながら、目の前の都庁では、
小池知事が感染者の拡大を受けて会見を行っているようでした。
結果、かなり警戒感を強めていくことに。
すでに責任ある立場の方から、
それを受けてキャンセルの連絡が来ました。
残念ですが仕方ありません。
週末まで何とか公演は出来そうですが、
とにかく私たちはできる対策を徹底した上で、
日々、集まったお客さんに死力を尽くそうと申し合わせて、解散。
明日も9:00に集合。
11/18(水)現場入り10日目〜公演2回目
2回目の本番が終わりました。
緊張の初日から一夜明け、全体に柔らかさが出てきました。
それは、お客さんを入場からお見送りするところまでの対応もそうですし、
何より、せりふに喋り言葉としてのニュアンスが出ました。
唐さんのせりふは七五調を基本とした韻律を持っています。
かなりふざけた言葉も並んでいますが、一見、下品な物言いにも
美文調が薫っている。すると、ひたすらその美文調を追いかけて
しまいそうになるのですが、やっぱりそこは、役者が自分のことば
として言いこなす必要があります。
そうすると、登場人物同士のやりとりはずっと"生"になって、
彼らが何をしているか、お客さん的には体感的に理解でき、
話の進行がぐっとわかりやすくなる。
そういう兆しのある公演でした。
しかし、同時に、早くも喉の疲れの見え始めた本番でもあって、
公演終了後は即座に片付けをして、早く帰って寝るように促しました。
19:00前には解散。
本番を進行しながら、休憩時間にニュースに目をやると、
感染者数がかなり厳しいことがわかってきました。
明日には、何やら都庁で動きがあるらしい。
この建物の中でいつも見る会見をやっているんだな、と
思わず目の前の都庁を見上げてしまう。
そういえば、今日、ずいぶん前から予約していたお客さんから、
何人もキャンセルがありました。体調を悪くされたり、世間の情勢を
ご覧になってのご判断と思いました。
こういう時世ですから、事前に連絡してくださることをありがたく思います。
無理を押して公演をご覧になって、どなたか発熱した、
ということになれば大変なことになってしまう。
欠席のご判断を事前に頂くことで、当日券にも回せますし、
そういうご連絡でもって、公演を支えてくださっていると感じています。
その上で、立ち会ってくださる目の前のお客さんと、
3時間かけて圧倒的な場をつくることが、私たちの役割です。
加えて、一日一日、かなり厳しい状況になるだろうとも予想しています。
最悪、中止を迫られることもあるかも知れない。
今、やっている今日の舞台が、突然、千秋楽にならざるを得ないかも知れない。
だから、日々、健康管理と上演環境の衝動や換気に細かく気を配り続けて
惜しまずに死力を尽くす本番にします。
・・・何か悲壮感があるようでもありますが、
考えてみれば、これは"演劇"のいちばんシンプルな状態だとも思います。
もともと、体調管理して普通、一回に賭けてこそ! ですから。
興行的には色々なリスクがあって頭を抱えてしまいますが、
"本番"が掛け値なし、一回こっきりの"本番"となって燃えてきます。
いっそ、わかりやすくていい!
余念なく準備して、明日もやります!!!
ちなみに、そのようなわけですでに確実キャンセルも出ていますので、
当日券が何枚かずつ出ます。
迷われている方は劇団にお問い合わせください。
070-1467-9274(劇団携帯)
11/17(火)現場入り9日目〜本番初日
本日も晴天。
上着をきて動いていると汗ばむほどの暑さ。
11月下旬を目前にして、幸せを感じます。
下北沢で公演している先輩劇団・新宿梁山泊の皆さんも
同じ気持ちでいるに違いありません。
『犬狼都市』、ついに観に行かれなさそうですが、
『犬狼都市』、ついに観に行かれなさそうですが、
きっとあちらも気を吐いているに違いありません。
先日の取材から一夜明け、
東京スポーツ(あの東スポ!)に記事が掲載されました。
周辺には、やれ薬物だ!不倫だ!という話題に溢れていますが、
私たちのことを書いてくださった文章は正統的で、
新宿の皆さんと唐さんに少し恩返しができたのではないかと思います。
9:00に集合をし、
10:00に稽古をし、
11:30から食事とメイクに入り、
12:30に劇中歌の練習、
13:00に受付開始、
13:30に開場モードに入るルーティンは、
昨日までと同じ。
そこに加えて、今日は実際にお客さんをお迎えするわけで、
ギリギリまで場内の消毒に時間がかかったり、
当日パンフレットを設置し忘れていることに開場直前に気づいて
力技でやっつけたり、初日らしい初日でした。
芝居も初日らしく硬さがあったけれど、昨日より格段にスピーディで、
自分の要求によく役者たちが応えてくれた本番でした。
本番中も、スケボー選手たちに理解を求めたり、
公園に来た演劇サークル風の若者たちが稽古に入ろうとするのを
静止したり、テント公演をやっている実感の湧くこと仕切りで、
劇の中と外、全員で一丸となって対峙しました。
コロナ対策でお客さんのお見送りも満足にできない状況ですが、
長い夜にかけて仲間うちで初日公演の総括や明日への改善点について
ゆっくり話すことができるのも、この時期に許された大きな贅沢と
受け取っています。
そうそう。19時を目指してテントに来た方、何人かいらっしゃいました。
実はこれ、どなたも先輩演劇人。
勝手知ったる皆さんにとって、テント芝居は19時開演とインプット
されているところに、唐さんの偉大さを再確認しました。
開演時間、今回は全て14:00です!
11/16(月)現場入り8日目〜ゲネプロ
今日の目標は14:00からのゲネプロ。
公演本番と同じ時間にやりますから、
ここから日曜までは同じタイムスケジュールで動くことになります。
↑ご支援いただいた方のお名前を載せた唐ゼミ☆流芳名板も設置完了!
集合時には1日のスケジュールを確認して後、
舞台復旧とテント周辺の整備にかかりました。
10:00からは稽古。
特に序盤の集団シーンを中心に気になるところを1時間稽古。
その後はフリーで各自が気になるところを稽古。
11:30から食事とメイクに入り
12:30から歌練習
12:50に客席を作り、受付開始時点からの役割分担
13:20頃にはスタンバイしました。
13:40の開場時間手前から、
今日のゲネプロにお招きした関係者が集まってきました。
いつもとは違い、公演本番には定数制限があるので、
出演者の事務所スタッフや懇意にしている劇団のメンバーなど、
お迎えすることにしたのです。
それから、今回はメディアの方を何社かお招きすることにしました。
コロナ第三波の到来が告げられてもいますし、
様々な理由から現場に来られない方のために、
少しでも現場の様子を伝えたいと考えたのです。
せっかく『唐版 風の又三郎』という唐さんの中でも屈指のメジャー作品に
挑むことでもあるので、間口を広くしたいとも思いました。
14:00から私の挨拶とともにゲネプロ開始。
テントで各幕をノンストップで通すのは初めてとあり、
想定よりタイムが伸びてしまいましたが、
休憩時間=場面転換にかかる所要時間を含めて、まずまずのタイムで終わりました。
17:12頃に終演。終了後は、囲み取材を行いました。
18:00より明日への改善目標を伝え、急いで片付けをして19:00には解散。
夜には早く休むことが肝心で、明日も朝早めに起きて一同に介することになります。
朝型生活をルーティーンにしようと誓い合って、私たちは本番体制に入りました。
気づけば、『唐版 風の又三郎』上演を決め、
このゼミログを毎日更新しようと決めた日から、1年ちょっと経ちました。
明日が初日!
11/15(日)現場入り7日目〜最終調整日
今日も晴れている。
現場入りの日からずっと、晴天。
おそろしく恵まれています。
こんなことは東北4カ所を巡回して以来だと、
何人かで話し合いました。
逆に、テントの雨漏り想定ができず、少し心配ではありますが。
このまま晴れのまま走り切る公演なのかもしれない。
そんな風に希望を持っています。
今日は一旦、稽古から離れて、
残りの作業を詰めて行きました。
客席や場内のほころびを整える仕事。
劇場の外装を飾り切って受付を設える仕事。
そのどれもが公演に欠かせないものです。
何人かのチームに別れて役割を負い、
ひとつひとつ、皆で解決していきました。
そしてなんと言っても、
今日のメインディッシュはエンディングの仕掛け。
これに午後から夕方、夜にかけての時間を総出で費やしました。
結果、首尾は上々、皆で明日の舞台に強い希望を持って、
帰途につきました。
何人かの人間は、まだテントや楽屋に残って仕上げの仕事をしている。
こういう献身を見ていると、どこまでも本番の舞台に向けてのみ
聚斂していく劇団の表現が、やっぱり演劇の基本だという
信念を強くします。
気づけば20年。よく続けてきたなと思うと同時に、
もう一息、明日に向けた考えをまとめてから、
テント番を米澤と小林に任せて横浜に戻ろうと思います。
11/14(土)現場入り6日目〜3幕場当たり
ほとんど寒さを感じませんでした。
ここにきて、冬への移り変わりは
少しペースを落としてくれているような気がします。
もっと極寒かと怖れをなしていましたが、僥倖です。
今日は3幕の場当たりをメインに、
場面転換の練習にも取り組みました。
3幕の上演時間は1時間ほどです。
1幕の方が量感がありますが、
如何せん芝居全体のクライマックスとあって、
舞台に続々とそれまでの登場人物たちが結集してきますから、
照明を合わせるのに時間がかかります。
さらに、危険度を伴う大仕掛けについては、
何度も反復練習をしてシステムを確立させ、
安全性を確保する必要があります。
また、場面転換もけっこう重要で、
空間的に連続していた1〜2幕から一転、
3幕はお茶の水周辺にやってきます。
その分、丸ごとセットを変えなければならない。
うちの劇団は専属スタッフは齋藤と私のみで、
あとはキャストがスタッフワークを兼ねて行います。
それが、2幕から3幕の間が多くの人間が早替えを要求させるので
戦力に乏しく、困った状況です。
なんとかやり繰りする方法を思案と実験を繰り返して捻り出しました。
昨日と併せて全編が流れるのを確認すると、
すっかり陽が暮れて寒くなり、限られたメンバーを残して早々に解散。
ここで誰かが熱を出したらゲネプロや初日に差し障る時期に入りましたので、
風邪予防、感染症対策からして、早く帰宅して早々に休むよう言い渡しました。
明日にエンディングの仕掛けを整え、
観客導線はじめ細部を詰めて整えきったらいよいよ本番モードです。
ご支援を頂いた方のお名前を入れた芳名板、
劇中に出てくる代々木月光町地図(津内口デザイン)が届きました。
明日、劇場の前に掲示板をたてます。
11/13(金)現場入り5日目〜1-2幕 場当たり稽古
ヘトヘトだった4日目から一夜明け、太陽の光が再び戻ってきました。
皆で元気を取り戻し、今日から本格的な稽古を再開しました。
実際の舞台セットや照明の中で各シーンの立ち位置や動きを確定させていく
「場当たり」という作業です。
舞台装置の転換に関わる不具合などもあぶり出して、
同時に解決にかかります。
皆、川崎で稽古していた時以来、
久しぶりに衣装を着て稽古に臨みました。
スタート時点では、舞台の寸法や道具の立ち位置、
登退場口の狭さ、共演者との距離感など、
問題が一緒に押し寄せてきて面食らっていましたが、
7時間をかけて、1-2幕を整えることに成功しました。
夕方からはぐっと気温も落ちるので、
片付けをしっかりしたら早めの解散として、
明日も日照時間をフルに生かして3幕に取り組みます。
それにしても、開演時間を14:00にして良かったとつくづく思います。
常態的な換気を確保するとなると、やはり夜は寒すぎて、
観劇や演技どころではなくなってしまいそうです。
昼間は、これで結構快適です。
寒くなってきたな、と思ったらエンディングに突入!
そういう時間の計算です。
初めての参加メンバーに、テント空間での立ち方や視線の向け方、
せりふの伝え方を伝えると、あっという間に馴染んでいきます。
様々なバックグラウンドを持つメンバーが、
一つの美学に向かって急速に合流しています。
初日まで、あと4日。
11/12(木)現場入り4日目〜寒さに揉まれる
雨こそ降らないから良いものの、深々と底冷えがして、
私たちの体力を奪っていくように感じられました。
週明けから皆で躍起になって働いてきましたが、
ちょっと冷静になる時期に差し掛かりました。
作業の要である舞台監督の齋藤など、
もう朝に出会った瞬間からくたびれ果てていて、
痛ましいような感じ。
皆が皆、寒い寒い言いながら働いています。
テント公演に慣れた劇団員はここまでくると口数少なく、
寡黙になる。まるで体力を少しでも温存するかのようです。
初参加のメンバーは、興奮と疲労をせわしなく行ったり来たりしていて
ハラハラもするけれど、やっぱりテント公演の現場に出会って
彼らが嬉しそうにしていると、こちらも嬉しく、
誇らしい気持ちになります。
テント芝居というと"演劇"という全体の中の1ジャンルのように
思われるかも知れませんが、私たちには特段変わったことをしている
感覚がありません。むしろ、小屋掛け芝居って正統なんだと任じています。
参加してくれたメンバーがそれに共感してくれる。
今度はその自信を全体でもってお客さんにぶつける。
そういう機会が、もう目前に迫っています。
今日は舞台の仕掛けを確認しつつ稽古を再開しましたが、
若葉町WHARF以来のブランクと、ここ数日間の疲労と寒さ、
初めて立つ今回の本舞台に、もれなくすべての身体が戸惑っていました。
それでも、エンディングを試してみんなが一発で決めたことに、
希望を持ちました。
ここは一旦寝て、明日からもう一度仕切り直します。
初日まで、あと5日。
11/11(水)現場入り3日目〜ご支援への御礼
今朝も9:00きっかりに体操からスタートしました。
今日は3幕もののセットをかわるがわるたてては
明日から始まる場当たり稽古の準備をするのがミッションです。
当然、音響や照明も仕込む。
特に照明仕込みは大変ですが、
今日もまた多くの助っ人の力を借りて作業を前進させました。
と、レポートはここまでにして。
今回は、現在までに頂いてきたご支援への御礼を申し上げたいと思います。
情報解禁をした3ヶ月前から、
いつも頂戴してきた差し入れやお花のかわりに、
公演案内に併せて封書やネットで皆様へのご支援をお願いをして参りましたが、
ほんとうに多くの応援を頂き、改めて感謝申し上げます。
去年の『ジョン・シルバー3部作』を終えた後、
私たちは次回公演について話し合いました。
唐十郎ゼミナールが始まって20年、劇団の公演回数が第30回、
節目の公演をどう飾るのか、私たちは思案しました。
その中で、主に私の身辺にさまざまな事情があって、
ここ数年に劇団活動が停滞してきたこと、
劇団や劇団員が思い切り暴れ回ることができる機会が
減少してきたことにも向き合いました。
ですから、2020年は唐ゼミ☆が劇団として再生し、
再生する以上に以前よりも飛躍しようという願いを込めて、
演目には、唐十郎戯曲の金字塔たる『唐版 風の又三郎』を選び、
公演場所には都内の中心地を目指しました。
日常の中でもっとも劇団活動を上位に置いて勝負をかけよう。
そう気合いを入れました。
しかし、そうした矢先にコロナが・・・
正直に言って勢いを削がれた時期もありましたが、
やはり私たちは、公演が実現できる可能性に賭けることにしました。
それからは、多くの役者が集まり、
公演場所も新宿区に多大なご協力を頂き、
そして、皆様から激励のメッセージとご支援を頂戴することができました。
今現在も、いつ中止になるとも知れない公演ですが、
可能性があることへの希望や、応援のありがたさがリスクを遥に凌いでいます。
もしも年明けの日常が続いていたら、
ここまで公演に漕ぎ着けることに感謝し、燃えられなかったようにも思います。
それほどの力を、すでに私たちは頂いています。
テント演劇や、唐さんの作品に取り組む集団があって欲しいという
皆様の後押しを強く感じながら、ひとつひとつの作業に当たっています。
ここ数日間でクリアしなければならない課題は山ほどあります。
疲れてくればリスクも増す。
けれども、このような挑戦の場にいられること自体、
私たちにとっては僥倖です。
ほんとうにありがとうございます。
皆様のご厚情にお応えする第一義は劇の内容であると受け止めていますが、
それとは別にも、何かお返しができる方法がないかと、
現在、劇場の壁面デザインと外装づくりに励んでいます。
これが完成し次第すぐにレポートしますので、愉しみにしていてください。
11/9(月)新宿中央公園 現場入り
天高く、胸も高鳴る新宿の朝。
やってきました、中央公園。
トラックを2台並べて、怒涛の荷下ろし。
道ゆく人も足を止め、
ここに劇場ができることを知る。
空中戦も久しぶり。
初参加メンバーは地上からサポート。
作業はトントン拍子に進み。舞台上の拡張部分に差し掛かる。
重村の、火花を散らす鉄パイプ斬り。
ついにたった! 4年ぶり、新宿中央公園の青テント。
『君の罠』第17回 本番3日目
中野です。
冷たい雨の3日目。
劇場番をしたところ、昨夜は9時消灯と同時に寝てしまいました。
というわけで2時過ぎには起きている。
同じく番をしていた八重柏に一声かけて、ちょっと散歩に。
東口の花園神社にお参りに行きました。
さらに、この日記を書いたり、ノートをとったり、久々に本を読んだり。
近所の珈琲ブラジルに行ったところ、平凡者から初夏に発行された『作家の珈琲』というソフトカバーを発見。
様々な作家のコーヒー談義をペラペラめくっていたら、鴨居羊子さんのコーナーがあり、チュニックの牛島社長の寄稿があり、おもしろく読みました。
早起きして過ごす、良い時間でした。
このころはまだ霧雨で、本格的には降らず。
今日は10時集合ですが、9時半ごろから皆が集まってきました。
土曜日だけあって、道が空いていたらしいのです。
五月雨式にせっせと劇場を整えて、全体集合。
とにかく雨と、今日はたくさんやってくるお客さんに備えよう。
ミーティングの後、もくもくと動き始める。
2日目までやってみて、いまいち上手くいっていなかった2幕終盤〜エピローグとのつなぎを練習。
12時前から修正稽古を始めて、終わったのが13時。
ずっと浅草でお世話になってきたお蕎麦屋さん「十和田」のおかみさんがカレー弁当を差し入れてくれました。
皆で浅草にいた頃を思い出し、やっぱり旨いよなあ、と頂く。
14時メイクと着替え開始。
15時を過ぎると、お客さんが来る気配が高まる。
3日目にして、初めて野外劇恒例の整列入場、初めて満席でした。
開演と同時に本降り。
劇は、よくウケました。
役者たちもだんだん自信ついてきて、ちょっと重村と禿の喉が心配ですが、いよいよ激しくなってきました。
この日だけ作者が不在でしたが、今日の本番を見せたかった。
片付けや雨対策をして、あとは差し入れを食べ尽くし、21時に解散。
明日も10時集合。
ここまでくると、休むのが大切な仕事!
『君の罠』第13回 新宿中央公園2日目
中野です。
今日は新宿にたどり着いて2日目。
まずは早朝起きだして、6時からの体操に参加しました。
これは近所の方たちで結成されているチームによるもので、
単なるラジオ体操かと思っていたら侮るなかれ、
オリジナルの3曲が連続する中でみっちり体をほぐしました。
白いパーカーを来た方たちが中心メンバーのようで、インストラクターの役割も果たされています。
皆さんについて、
体操→ストレーッチ→体操と3本立て、20分コースでした。
早朝の西新宿にこんなコミュニティがあったなんて。
9時前に皆で集まって、今日はもう作業、作業、作業。
途中、雨が降ることもありましたが、劇場の外装を完成させるとともに、舞台装置や客席もつくり、照明にまで踏み込まねばならいない今日は、疲れたなどと言っていられません。
さすが中央公園は人気で、他のイベントも数多く行われています。
その関係で、とにかく時間がない今回の公演です。
自分は正面にある高級ホテル「パークハイアット」にご挨拶に行きました。
以前に他団体が同じ場所で行った音楽イベントが爆音だったため、ホテルから不信感が寄せられているらしいのです。
立派なロビーエントランスで緊張しながら担当の方が降りてこられるのを待ちましたが、
実際に企画内容を説明したところ、
逆に応援しますので頑張ってくださいと励ましをいただきました。
かくも野外での演劇は様々な手続きが必要なのですが、
こつこつとクリアしていけば、
人の善意に触れて「よし、やってやるぞ!」と燃えたぎってくるところも、
一つの醍醐味なのです。
午後3時過ぎには、ゲスト出演している鳳さんの知り合いで、かつて宇宙刑事ギャバンを演じた大葉健二さんが激励に来てくれました。
夏の仙台公演に新崎人生さんが現れたのに続き、ワダタワー大興奮。
小さいころ仰ぎ見ていたヒーローに「デカイねえ」と言われ、嬉しそうでした。
受付や楽屋も徐々に完成。
明日は17時からゲネプロやります。
『君の罠』第9回 10月20日(火)〜24日(土)
中野です。
仕事が溜まってきた〜。
劇団メンバーの会話から決まってこんな一言が漏れるようになってきています。
宣伝もする。裏方もやる。衣装やメイクの見当をつけつつ物品確保。
そしてもちろん、役者として深めなければならないことたくさん。
本当に間に合うのか。
自分はいろいろと不安なせいか、朝早く起きてしまう。
しかし、今日は早朝から大学でのテント建て。
いよいよこれからは朝から晩までの舞台装置づくりや稽古の体制に入ります。
10月も残り少なくなり、あと2週間ちょっとで新宿に突入。
残り作業を数え上げればキリがないが、ひとつひとつやるしかねえ。
ここ最近の稽古で、後半2幕のクライマックス近くまでいきました。
公演の準備はともかくとして、劇本編のゴールは見えてきている。
望月さんは周到にひとりひとりのことを考えてくれていて、
さあそれぞれの散り際がはじまった、という感じです。
20日(火)
望月さんが講義のため来校。学生たちへの指導に熱が入り、予定より1時間遅れた19時から稽古を見てもらった。この日は2幕。特に良かったのは、野島健太郎さんに作曲してもらった劇中歌の歌い方についてアドバイスをもらったこと。椎野と熊野と丸山くんが方向性を指南してもらった。
21日(水)
皆がぼつぼつ、衣装を提案してくるようになる。また、2幕のクライマックスが迫り、稽古は賑やか。望月流オレオレ詐欺の場面に、可笑しいやら哀しいやら。
(クライマックスの演技をひねり出す丸山正吾)
22日(木)
稽古は休みなので、皆で都内にチラシを撒きに行く。衣装や小道具探しも、街に出たついでに行っている。お客さんの集まりがよくない。最大の懸案事項だ。
23日(金)
これまでの通し稽古。1幕全編と、2幕6割というところ。至らないところはたくさんあるが、まずまず流れている。休憩入れて2時間ちょっとの芝居になりそう。
24日(土)
リハーサル用テント建ての準備。搬入作業。舞台装置づくり。
去年の初夏以来、久々のテント建てなので、作業手順の確認を綿密に行った。
これから作業の数日。これまで酷使してきた皆の喉や休まるといいのだが。
(久しぶりにテントが収納されている倉庫に光が入る)
(昨年のノマド演劇で旅をともにした金畑里奈が応援に駆けつけてくれた)
(テントの建て位置をわりだすマーキング作業)
(ボルトの仕分けをする椎野裕美子。ラチェット握って誇らしげ。)
(おっと、これは25日のテント建て作業。日記の先取りですが...)
『君の罠』第7回 10月10日(土)〜15日(木)
中野です。
これを書いている今、雨が降っていてとても寒い。
公演を一月後に控えこの寒さ。
当日は曇りや雨だと大変なことになりそうです。
どうか晴れであれ。
そうだ!
ようやく公演場所が発表できる状態になりました。
ずばり、新宿中央公園です。
ここ5年ずっとお世話になってきた花やしきの駐車場に
新たな遊具「立体迷路」ができることになり、私たちは久びさに流浪の民となりました。
ホームグラウンドが定まらないというのは不安なもの。
ずっと庇護してくださった花やしきさんに感謝しつつ、
次なる公演場所探しに乗り出しました。
春に望月さんと都内を散策して、辿り着いた場所が新宿中央公園。
唐さんが公演を強行して機動隊に囲まれ、伝説となった場所。
(唐組 状況劇場全記録 PARCO出版より)
新宿区で育った望月さんにとっても、思い入れの深い公園。
使用の許可をもらうまでには紆余曲折あり、時間もかかりましたが、
多くの人の厚意を得て、晴れて公演できることになりました。
大江戸線の出口からすぐ。
新宿からは動く歩道で、ぜひ来てください。
もう一度。
公演場所は、新宿中央公園!
この数日は、1幕を終えた後の幕間や、2幕の冒頭にてこずっています。
1幕は数寄屋橋交差点が舞台でしたが、幕間に築地を通り、2幕では月島に至ります。
月島で繰り広げられる決闘!
望月さんの敷いてくれた展開、とっても面白いんだけれどなあ。
役者がもっと押し出して、笑いのセンス発揮しないと。
俳優の思い切りが悪いので、稽古を見ていて、歯ぎしりしてしまう。
この週末でぐっとおもしろくしてやろう。
今日は稽古なしなので、そのための作戦を練りつつ悶々としています。
10日(土)作業日 舞台装置作り
11日(日)1幕の修正と幕間、2幕の本読み
12日(月)休み。月島に取材に行ってもんじゃ焼きを食べた椎野が、値段の高さに怒って帰ってきた。
13日(火)よく一緒に仕事をしている舞台美術の車田さんの依頼で、団員何人かでオペラ『ラ・ボエーム』の仕込みをしに行く。我が劇団も、初めてオペラの美術を作るようになったのだ。
14日(水)1幕後半の修正と幕間の立ち稽古
15日(木)幕間と2幕の立ち稽古
(稽古前の合わせに白熱する禿恵、渡辺宏明)
(前回のガイアプロジェクトから参加している米澤剛志、田中郁未)
(今回すごい量の台詞をしゃべる丸山正吾と今回は津内口淑香も主役級の活躍ぶり!)
(鷲見武、鳳恵弥のペアが光る二幕。ご期待あれ)
(唐ゼミのビッグコンビワダタワーと八重柏泰士。心やさしい二人。)
8月21日(金) 東北巡業16日目
2015年8月22日 Posted in 25_特別野外公演_青頭巾 Posted in 公演記録
中野です。
忙しかった石巻〜仙台の移動、仕込み日が終わり、落ち着いた朝を迎えました。
8月21日(金)は仙台公演リハーサルの日。
朝5時。
公演会場である西公園は、夜間の道路工事が終わったと思えば、早朝からジョギングや犬の散歩で多くの人々がやってくる。
さらに、パンパンという響きがテンポの良いリズム。
見れば、格闘技に熱中する青年二人がスパーリングに打ち込んでいる。
こちらは日記を書き、いくつかメールの返信をして、早朝を過ごす。
仙台市内は銭湯が少なく、しかも22時閉店であるために、昨晩は風呂に入りそびれてしまった。
タオルを水道で濡らして、体を拭く。
将来の自分が例え一時とはいえこんな風に生活できるなんて、高校生のころは思いもしなかった。
ああ、自由だなあ。
8時になると鷲見が起きてきたので、彼と一緒に公園内をランニング。
あくまで番をしているのだから、常に楽屋テントや劇場が視界に入る位置を走る。
鷲見はこの旅中に93kgまで絞れたと嬉しそうだ。
その後も読書したりしてゆるゆる過ごし、集合時間を待つ。
10時半。
皆がやってくる、昨日は初めての仙台宿舎で、これが工場街にあるのでお店も少なく、食事に苦労したそうだ。
対策を練り、今日からは大丈夫だろう。
体操して、劇場を展開。
昨日やりそびれた細かい作業を12時半までかけて詰め、そこからは自主稽古。
学生たちも、前座パフォーマンスの稽古に熱中する。
自分は、チラシを置いてもらったギャラリーや古本屋に挨拶に行った。
仙台の街はコンパクトで回りやすい。
さらに、現場に帰ってきて、自分だけ挨拶がてら公演場所近くにある源吾茶屋で昼食をとった。
14時。
皆がお弁当を食べ始める。
食べ終わって再び稽古。
ここで面白いことが起こった。
昨晩、何人かのキャストの登場方法に、ほふく前進を提案していたのだが、彼らの練習中、ワダ・タワーのズボンが犬だか猫だかのウンコまみれになったのだ。
ワダから漂う猛烈な臭い。
『青頭巾』の劇中には、唐さんの幼児性が炸裂してウンコを取り沙汰する場面がある。
劇中の話題は小学校の時の検便に及んで、それが劇クライマックスの美しい科白やシーンに結実するのが唐さん一流の劇世界だ。
中でもとりわけ面白いのは、ヒロインがウンコの付いた小道具を持って皆を追い回すところで、今日のワダは、それを地でいっていた。
自分だけ不運に襲われた腹いせに、皆を追い掛け回すワダ。
皆、逃げまどっている。
これに比べると、我々がこれまでやっていた演技は必死さに欠けるなあ。
そういうわけで、今日のゲネプロからこのシーンは良くなるだろう。
やっぱり、基本はリアリズム。
銭湯が開く時間なので、自分は昨日の汗を流しに行って、皆の洗濯係もする。
ワダのウンコズボンは、一本で洗濯乾燥機を独占する超VIP待遇。
フローラルな香りを売りにした柔軟剤も大量にブチ込む。
15時過ぎ。
本格的に雨が降り始める。
洗濯物抱えて現場に帰ってきたが、皆カッパ着て練習している。
16時。
さらに雨足が強まったので、皆を楽屋待機をさせる。
リハーサルは大事だが、お客さんのいないところで風邪をひかせたくない。
17時。
少し雨足が弱まったので、エイヤッと雨宿り用のテントを建てて客席に屋根をつけた。
舞台に出ていない者はここで出番を待てばいい。
17時半過ぎに前座パフォーマンスのリハーサルを開始。
なぜか皆、いつもより動きが良いので、楽しんで見た。
本番ともなれば、もう落ち着いて鑑賞する余裕もないだろうから。
現地制作について色々と手伝ってくれた南川さんが仕事を終えて駆けつけてくれた。
ともにいるだけで心強い、優しさと芝居好きが全身から溢れているような人だ。
18時。
1幕スタート。
公園の2辺が主要道路に接しているために車通りがかなりうるさいが、科白は通る。
地面のコンクリートの反響と雨の湿気が助けになっている。
それになんといっても、方々で公演してきた経験から、野外での場の鳴らし方を、皆が自然に体得しているのを感じる。
一方、室井教授が客席をウロウロし始めた。
舞台下手の道路を、ライトを点けた車が行き来するのが気になるらしい。
これはできる限り、手持ちの車両でふさぐことにする。
1幕が終わったところでドカ雨。
これ以上やったら逆効果と判断し、2幕を割愛する。
ただし、仕掛けものは一通り当たった。
エンディングからカーテンコールの流れも確認し、19時半前には片付けに入る。
今日は皆で西公園の近くにある駒の湯に行って、それから帰りしなに食事をして、宿舎で休ませることにする。
20時半過ぎの時点で、楽屋テントでひとり。
本番2日間の天気予報は五分五分。
なんとか誰にも風邪をひかせずに、週明けまで乗り切れればいいのだが。
8月13日(木) 東北巡業8日目
2015年8月14日 Posted in 25_特別野外公演_青頭巾 Posted in 公演記録
中野です。
これを書いている今は、すでに14日(金)の午前4時です。
夜中に降ってきた大雨に叩き起こされました。
昨晩は疲れ果てて、風呂にも行けず寝てしまいました。
本番の日は色々あるので、昨日の朝がはるかに前に感じられます。
これを書くことで思い出してみましょう。
さて、13日(木)山形公演当日の朝。
小雨とともに午前5時起床。
いつもの習慣でノートをつくり、日記を書く。
この生活リズムにもすっかり慣れてしまった。
6時半。
1㎞くらい離れた最寄りのファミリーマートに山形新聞を買いにいく。
載ってる。載ってる。
学生チームが衣装を着ていまにも駈け出さんとする勇姿を、けっこう大きく取り上げてもらっている。
さあ、これでお客さんが、何人来てくれるか。
7時。
鷲見が起き出してきたので、合羽着て雨の中を歩く。
涼しいなあ。いまのうちにガンガン降っちゃって、夕方晴れてくれるといいなあ。などと話す。
8時になると、衣装をケアするために入山がきてくれたので、自分と鷲見は朝食を食べに出かける。
公演場所の近くに山形警察署があって、今日はここの食堂を狙ってみた。
以前、催しもの開催届を署に出しに行った際、中にある食堂を利用したが、これがなかなかオツだった。
味をしめて、今回も夜勤明けの刑事さんたち混じって納豆を練ろうと思ったが、あいにく食堂はお盆休み。
警察にお盆休みはないのだから食堂も頑張れよ、と言いながら別の店へ。
昨日、ゲネプロの日は2人して朝風呂に入ったが、鷲見の調子が振るわなかったので今日はやめにしておいた。
その分、時間が空いたので、トラックで馬見ヶ崎川の上流、唐松観音に行ってみた。
ここの風景は実にのどかで、木の橋なんかもかかっていて、とりわけ趣がある。
それに、なんといっても「唐」松観音なので、ぜひともお参りしたい。
夕方から晴れますように。
10時に全体集合。
皆で1日の予定を確認する。
天候の推移によって数パターン想定しておかないと。
その後、設営作業。
観客席の上に屋根を張る。
自分は洗濯に向かい、東北芸工大に横井さんをピックアップ。
12時。
受付や看板、お客さんの導線、前座パフォーマンスを展開する場所を調整。
この段階の予報によると、夕方に晴れる可能性が強まってきた。
希望を持ちつつ、油断せず。
12時半。
学生たちを車に乗せて山形駅でチラシを撒きに行く。
1時間に1回到着する山形新幹線は、きっとお盆の帰省客でいっぱいだろう。
彼らが興味を持ってくれるかも知れない。
そこまでいかなくとも、自分たちがここで公演していることを知らせなければならない。
少しでも多くのチラシを渡さねば。
が、改札前でのチラシ撒き3日目にして、ついに駅員さんに注意されてしまった。
もう少しでたくさん降り客が来たのに。
いや、たくさん来るから注意されたというべきか。
2日間は見逃してくれた駅員さんの言うことを聞き、改札前から駅の入り口に撤退。
これでもけっこう渡すことができた。
ところで、横井さんによれば、昨日今日と、彼女の知り合いの間で我が学生チームの奇矯な恰好やチラシ撒きの声出しが話題になっているらしい。
駅前でヤバいの見た、なんて。
山形には、個性的なおじさんはいるが、派手な若い奴はいないらしい。
東京や横浜に比べれば小さな街だから、目立ちもするのだろう。
それ、わたしが世話してるんだよ、と教えてあげたと笑う横井さんは、本当にイイ女だ。
彼女はこういう時、いつも学生チームの横について、道案内したり、写真を撮ったり、色々と気を遣ってくれている。
13時45分に現場に戻り、昼食。
14時半から30分間、昨晩のリハーサルの結果を受けて劇の要所を調整。
天候、好転しているが、まったく気を抜けず。
15時から衣装・メイクを付け始める。
雨が降ったらやることは沢山あるので、早め早めに動く。
16時、劇中歌の練習。
16時45分、思い切って客席頭上の屋根を外す。
上演中に降ってきたら、劇を中断して屋根つければおもしろくなるさ。
せっかく野外でやるのだもの。開放的な方がいい。
降らなければ盛り上がる。降ったら降ったで盛り上げること。
17時、お客さんが来はじめる。
秋田と同じく、早めの来場。
地面が濡れているので、イスを出して待ってもらう。
この時点での予報では、20時に再び雨雲がかかるらしい。
終演後、ギリギリだな。
前座パフォーマンスの開始、お客さんの集まり具合も鑑みて、予定よりせめて5分早めよう。
それぞれのスタンバイ位置に伝令を飛ばす。
17時15分、前座スタート。
今日もウケている。
特に、山形あるあるを使ったラップと、名作ドラマ『おしん』の名場面が反応よし。
川沿い、マンションのベランダから見ている人もいる。
20分で前座を終えると、例によって客席へ誘導。
ポンチョの合羽をお勧めして着てもらった。
17時40分開演。
全体に地面が濡れているので、踏ん張りが利かない様子。
何人かコケるが、奮闘している。
こっちはオペレーション席にいて、屋根が音を立てると、雨か、雨か、とヤキモキしながら見守る。
休憩時間を過ぎても降らず。
2幕も中盤を過ぎれば劇が過熱し、こりゃ降っても止められないという雰囲気に。
いや、熱演して熱演して、雨を降らせなければいい。
冒頭、張り切りすぎた禿が最後まで保つか心配だったが、出やすい低音を駆使した結果、エピローグの科白はいつもより良かった。
そして、山形用のエンディング。
結局、本番のみならず、終演後の宴会も降らなかった。
山形の人たちと小さな輪をいっぱい作って、皆、嬉しそうに喋っている。
21時、椎野の劇中歌でお開きにして、片付け始める。
自分はコインランドリーへ。
22時過ぎ、ようやく降ってきたので、作業を翌日に回して撤収。
恵まれた1日、「唐」松観音に感謝します。
そうそう、12日付の日記に書いたバスタオルの件。
あの持ち主は、どうやら学生たちでなく、隣のテントで寝ている鷲見だったようだ。
というのも、皆で洗濯後の衣類をより分けている際、ふっかふかのバスタオルに鷲見が手を伸ばしたのを、劇団員の一人が自分にタレ込んで来た。
学生たちよ、疑ってごめん。
そして。
おい、鷲見よ。お前のバスタオル乾かすために、乾燥機代100円余分にかかっているんだぞ!
と、皆で話題にする。
集団生活というのは、かくも瑣末なことを気にして成り立っているのだ。
今日で巡業全体の日程も中盤。
これから、山形を発って石巻に移動したら、2日間の中休みがやってくる。
広報活動を展開しつつ、皆をリフレッシュさせないと。
『青頭巾』8月、秋田、山形、石巻、仙台公演決定!!
2015年6月13日 Posted in 公演記録
劇団唐ゼミ☆次回は、『青頭巾』東北ツアーに決定しました!
公演場所と日程のみですが発表です。
作:唐十郎 演出:中野敦之
◆ 秋田公演
8月9日(日)
◆ 山形公演
8月13日(木)
◆ 石巻公演
8月19日(水)
◆ 仙台公演
8月22日(土)23(日)
昨年も『木馬の鼻』で野外演劇を試みましたが、今年はその上を行く完全野外バージョン!
今回はさらに装置という装置をどんどん削ぎ落としていき、
人と人がもっとヒリヒリするような近さで出会える場を作り出します。
複数の読み合わせを経て決定したキャストも新バージョン。
衣装の打合せを進めています。
横浜国立大学生による前座パフォーマンスも絶賛準備中!
さらに9月!横浜にて凱旋公演を予定しています。
どうぞご期待ください!!
すっかりご無沙汰してしまいました。
2014年11月25日 Posted in SP ノマド演劇プロジェクト Posted in 公演記録
ノマド演劇プロジェクトも台風襲来の中、大阪公演千秋楽を
無事に終了いたしました。本当にみなさまありがとうございました。
もう既に公演終了から1ヶ月以上も経過しておりまして、
このゼミログを更新しているのがわたくし椎野でありますため
無精につぐ無精で、ここまでお礼が遅くなりましたことを心よりお詫び申し上げます。
それにしても
風神雷神さまに劇的な舞台をあつらえて頂き、
あの豪雨の中、10名を超える猛者(お客様)に足を運んで頂き、
公演をやりきることが出来ましたことを本当に感謝しております。
16時で運休を決め込み、大阪市内の人間を一人だに動かそうとしない旧国鉄連中を嘲笑うかのように
ゾクゾクと集まる強者ども。しかも、お一人は九州から、お二人は東京から!!
いやはや、本当にありがとうございました。
思いだせば
蚊が舞う横浜、名古屋ではエボラ出血熱の騒動にもかかわらず勇気を持ってご観劇頂いたり、
長野は既に到来している秋の夜の冷風にもかかわらずご観劇頂いたり、
つねに過酷な環境下でご観劇頂いていることに気づく我ら唐ゼミ。
しかしこれからも、容赦なくいい舞台を作って参りますので、
どうぞよろしくおたの申します。
さて、我ら、
今回つくりました囲い幕(我らは陣幕と呼んでおりましたが)もすっかりお洗濯をし、
舞台装置を作る作業場も片付け、整理整頓、ゴミ出しと、
次の公演に向けて着々と準備を進めつつあります。
しかしながら2014年の公演は
、このノマド演劇プロジェクトで一区切り。
2015年にまた公演を企画しておりますので、是非、次回作をご期待ください。
それでは、また!
(次回の更新は1週間以内にいたします。猛省)
名古屋にきております。
2014年9月29日 Posted in SP ノマド演劇プロジェクト Posted in 公演記録
気づけば名古屋につきましてから3日が経ち
本番2日間。非常に盛り上がっています。
<善光寺からきましたので、代表中野は傘を手にいれました>
<中日新聞にも掲載されて>
宣伝隊である、女学生戦隊ふーりんずたちは
練り歩きも熟練してきて、とうとう街頭芝居まで自分たちで
つくりはじめました。
新宿泥棒日記さながら、パフォーマンスしています。
<ふーりんずはとうとう自分たちで作品をつくりはじめました>
本日名古屋公演最終日!
がんばりまーす。
長野公演千秋楽。暖かい格好でいらしてください。
2014年9月23日 Posted in SP ノマド演劇プロジェクト Posted in 公演記録
椎野です。
長野公演、盛り上がっております。
長野の町並みを楽器を奏でながら爆走するふーりんずと
商店街の端から端まで響き渡る唐ゼミ役者陣の声で
長野の夜は大賑わいです。
<長野駅におねりです>
中でも長野の老舗映画館「長野松竹相生座」前を
ほぼジャックして舞台を組んでしまう公演に
「斬新!」とたくさん感想を頂きまして、
ああ、喜んで頂けてうれしいなぁと心から感じ入りました。
しかしながら、だんだん秋も深まる今日この頃。
お外で観劇はやや涼しい感じも否めませんので、
少々はやい冬支度にはなりますが、
マフラーや膝掛け、コートやジャンパーをはおって
会場に足を運んで頂けると助かります。
どうぞよろしくおねがいします。
本日もご来場おまちしております。
2日間、無事終了!迎えるは台風。上等だ!
2014年7月 8日 Posted in 23_木馬の鼻 決定版 Posted in 公演記録
先週おかげさまで浅草公演初日をむかえました。
ご来場頂きましたみなさま本当にありがとうございました。
<背が高いと笑顔は遠くまで届く(ワダ・タワー) >
<18時半になると並んでもらってご入場です。>
唐組のみなさま、ドガドガプラスの望月六郎さんも
初日に駆けつけて下さいました。
<絶好調だぜ(椎野裕美子)>
<純朴な青年、ラーメン屋の市(丸山正吾)>
<デパート屋上遊園地で失敗をしてしまった谷也(熊野晋也)>
<だんだんと立ち姿に貫禄がでてきた(重村大介)>
<毎回命がけで笑いをとりにいく(木下藤吉)>
<先輩を出し抜くためには手段を選ばない計測士(東侃輝)>
<今回も圧巻の踊りと歌を披露する(禿恵)>
<喫茶店のマスター、彫りの深い顔立ちはまさにピサロ(八重柏泰士)>
<旦那をしかりとばす、仙子(入谷入山)>
<涙涙で眉毛もいつも困っている妙子(津内口淑香)>
<一番意志がはっきりしている加々子(金畑里奈)>
え?今週は台風だって?
上等だ!
台風の道筋をソラセてみせますよ!
ご来場心よりおまちしております!
<お待ちしております(中野敦之)>
【写真:平早勉】
さあ!明日から本番です!
2014年7月 5日 Posted in 23_木馬の鼻 決定版 Posted in 公演記録
ということで、消防訓練も終了し
<毎回やるんです。>
<いつもありがたい避難訓練のお言葉を頂きます。>
テントのエントランスづくりで劇場づくりも
そろそろ佳境でございます。
<毎回デザインを考えて装飾。(熊野晋也)>
<今回もなかなか自信作に仕上がりました>
満を持して明日の本番を迎えます。
ご来場心よりお待ちしております!
<大学プレビュー公演より>
テントに血管が走る
2014年7月 2日 Posted in 23_木馬の鼻 決定版 Posted in 公演記録
浅草入り3日目。
己が踏みしめ立ち上がる舞台も出来上がって、
本日は装置を組み上げ、照明と音響機材を仕込みます。
<照明の配線、灯体を吊っていく女の子たち>
<コードを飛ばす飛ばす>
<ケコミをつける丸山正吾。手先が本当に器用なのであります>
形が出来上がってくると気分も盛り上がってきます。
さすがに本日は暑く、熱中症寸前。
だが、ふふん、暑さごときで我々を負かすことができるかな。
休憩中には花やしき近くの老舗かき氷屋さんで
ミルクとあずきがたっぷりかかった「あずきミルク」を堪能。
一気に回復だぜ、ベイベー。
気さくなおかみさんのトークでおいしさ倍増。
シロップはすべて手作り。手作りが一番!
<食いしん坊の金畑里奈>
<氷は滅多に食さぬ椎野であるが、久々においしかった>
夕方。夕刊の時間。
そう、昨日ご連絡があったのです。
読売新聞に公演情報を掲載していただきました!
<ご予約の電話も鳴り響きましたよ>
装置を組むために握るインパクトも心なしか機嫌がいい。
喜んでまわっていやがるな。こいつめ。
<舞台装置の中華料理屋さん。舞台が組み上がってきたぞ>
じゃ、一服いれましょかー
<ツイストパンをかじる八重柏。舞台でのツイストは見もの>
そして、本日ツイッターでmiox9001さんからこんな情報を頂きました。
グーグルストリートビューで花やしき裏に進入すると
昨年の7月公演『夜叉綺想』で建てていたテントが写っているとのこと。
素晴らしい!
教えていただきありがとうございました。
さあ明日は、エントランスを組んでいきますか。
いつもそばで支えてくれるのは脚立だな
2014年7月 1日 Posted in 23_木馬の鼻 決定版 Posted in 公演記録
浅草入り2日目。
ひたすらに劇場をつくります。
脚立に登って降りて、登って降りて。
天高く駆け上がるためには、脚立が必需品なのです。
我々はそれを「空中戦」とよぶ。
<愛すべき青テントに風と光を通す。脚立も立派な出で立ち>
<小屋番ということで脚立とともに一晩テントに宿泊(中野敦之)>
<さあ、やるか!>
<だんだん日焼けで真っ黒になってきた中川と重村、そして脚立>
テント膜を傷つけないために金具に包帯をまいていきます。
劇団で一番大事にしているのが、青いテント膜。
この膜を一枚張れば、逞しく艶やかな空間がうまれる。
傷つけるわけにはいかないのです。
<禿先生は包帯巻きの名人>
<このまま空までのぼっていってしまいそう。
一番高い脚立とともに(木下藤吉)>
<丁寧に膜をとりつける熊野。オペレーションブースをつくる東。>
甘いものが飲みたくなったので、1964年生まれのネクターを一気に飲み干す。
「ネクター」は、ギリシア神話にでてくる神々が常食とする生命の酒、
不老不死の霊薬、滋養のある飲み物「ネクタル」が語源だとか。
1964年は、唐さんの処女作
『24時53分"塔の下"行きは竹早町の駄菓子屋の前で待っている』が書かれた年。
「そうか、そういうことだな。」
なんてひとりゴチていたら、「そろそろやるぞー」の声。
脚立を抱えて、明日も舞台製作はつづく。
本日浅草入りました!
2014年6月30日 Posted in 23_木馬の鼻 決定版 Posted in 公演記録
本日、絶好のテント建て日和(圧倒的曇天!)に恵まれ、
華々しく浅草にテントが翻りました。
<丸山正吾氏のツイッター画像から拝借>
昼間には、恒例の浅草寺へお参り。
<清めたまへ、祓いたまへ(熊野晋也)>
<寺できめる二人(丸山正吾と木下藤吉)>
そして、こちらも恒例のおみくじ。
浅草寺のおみくじは冗談でなく凶が多い。
<でた!凶!2投目は見事「吉」を勝ち取った(八重柏泰士)>
例年1,000円以上かけて凶から逃れるヤカラが続出(某しいの氏や某さいとう氏など)
負けず嫌いな我らを嘲笑うかのような凶の多さは筋金入り。
<今年は吉!願い事はたいてい叶うらしいぞ(椎野裕美子)>
<満足そうな微笑み(東侃輝)>
<2枚目は見事大吉。運は力とねばりで引き寄せる(木下藤吉)>
事故無く、怪我無く無事に公演が終えられますように。
<拝む姿は一級品(中野敦之)>
明日は、舞台基礎、そして装置をくみ上げていきます。
やるぞー!
横浜国大プレビュー公演まであと一週間!
2014年6月20日 Posted in 23_木馬の鼻 決定版 Posted in 公演記録
『木馬の鼻 決定版』横浜国大公演まであと1週間となりました。
先週末にはテントも無事建ちまして、怒濤の稽古と怒濤の舞台装置作りに
邁進しております。
写真はテント建ての様子でございます。
<立て看板が光っています。>
<梅雨の中でも晴天にめぐまれ黒い鉄骨はアッツアツ>
<2mを超える(たぶん)ワダ・タワー氏。作業だけでなく絵描きとしての腕もすごい>
<椎野はお花が大好き。基本雑草と呼ばれてるものを愛す。>
<照明バーという名の鉄パイプを作成>
<テント膜もついてきたぞー>
<自分たちが立つ舞台基礎をせっせとつくります。通称「平台合わせ」>
<「平台合わせ」の達人は禿恵隊長。ああ、大きな背中>
<なんだか難しいものを作っているはずなのに速攻で仕上がった。恐るべし>
ということで、あと1週間!
ご期待ください!
(椎野裕美子)
次回公演に向け始動!
2012年7月19日 Posted in 公演記録
本日、次回公演に向け始動しました!
浅草での公演を終え、
休息を終え、
次回公演に向け始動!
詳細情報についてはお待ちください!!
<Toshinobu Adachi>
プレ公演近づく
劇団唐ゼミ☆第20回公演
『木馬の鼻』
公演まで2週間となりました。
ご予約、ただいま受付しております。
ご予約はこちら → http://karazemi.com/ticket.html
週末、土日といよいよテントが翻り、
横浜国立大学教育棟8号館裏に居を構えます。
一般の方のご来場もお待ちしております!
唐ゼミ☆のテント公演の原点の場で、
唐十郎新作書きおろし公演。
見逃すな!
<Toshinobu Adachi>
劇団唐ゼミ☆過去公演ダイジェスト
第12回『鐵假面』
第13回 『ガラスの少尉』
第15回『下谷万年町物語』(初演)
第17回『蛇姫様 ーわが心の奈蛇』
第18回『下谷万年町物語(再演)』
<Toshinobu Adachi>